ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~
【霊圧】
何千回、何万回と動作を繰り返していると、ある時点から私は仮想のアバターを、自在に動かせるようになってきた。
これは頭の中で作ったもののはずなのに、今までは動かすことも満足に出来なかった。
それが急に出来るようになって、感覚までリアルにわかようになるとか、私が狂い始めたのか、それとも別の要因か?
考えても答えは見つからないが、生憎とその見つからない答えを探し求める時間は沢山ある。
私はアバターの姿で坐禅を組むと瞑想を始め、より思考に集中力を割くことにした。
どれほどの時が経ったのか分からないが、一つ感じたのはこの空間の時間の流れが遅い事だ。
山の影響なのか、肉体という楔から魂が解き放たれた影響なのか、はたまた思考を加速させているせいなのかは分からないが、なんとなく私が体感しているよりも、実際の時間は大して経過していない気がする。
と、言うことはこの空間をなんとかして脱出しないと、狂うのが先だな。
そしてその方法は絶対に何処かにある。
これが修行の一環だとすれば、自分の中に答えがないのなら、おばあちゃんは絶対にその糸口を事前に提示するはず。
それがないのだから、ここを脱出する糸口は私の中に存在しているはずなのだ。
そこまで考えた私は奪われたものが五感だという事に注目する。
五感は人間の感覚、視覚87%、聴覚7%、触覚3%、嗅覚2%、味覚1%で情報を得ているという。
そしてその中に気や魔力を感じる感覚はない。
前の世界でも感じていた殺気、怒気などの感情によるものや、視線や気などという曖昧なもの。
それらを感じる感覚はないが、それらを敏感に察知出来る人間は存在する。
そしてこの異世界では更に魔力なんてものも存在し、スキルや感覚によってそれを察知する事も出来る。
なら何故、今の私は魔力や気を理解していないのか?
それらの力を理解している今の私なら、感覚が閉ざされても感知する方法はあるはずだ。
その考えに至ると私は自分の中にある魔力を探し始めた。
恐らく、私はいきなり五感を奪われた事で、外界に対してのアクセス権のほとんどを失った。
その普段無意識に頼りきっているものを奪われた事で、自身の中で何も感じないのだという、前の世界での常識的な鎖に囚われたのだ。
その結果、前の世界では存在しなかった魔力の感知をも、無意識にキャンセルしていたのだろう。
そうして見つけた。
自分の中で生成される魔力。
しかしそれは弱々しく、回復速度も極めて低い。そしてこのアバターの身体を維持するために消費され続けている。
なら、このアバターは生命活動する身体そのものなのか?
溢れる疑問を推し留め、私はやっと見つけたその魔力を、思考とアバターの身体に少しづつ循環させていく。
そうしてまた長い時間を掛けて、やっと体内に力が行き渡るのを実感した。
なぜかは分からないが、この状態では少しでも集中力を途切れさせると、魔力は瞬く間に霧散する。
恐らくこれも、五感が閉ざされたショックで、生命活動が極端に落ちているからだろうと推測する。
見えた。
体内に魔力が行き渡った瞬間、アバターの体と同じく坐禅を組む実際の体を認識出来た。
そうか、これはやっぱり私の体そのものだったのか。
虚像ではなく実像。
実際の体を正確に描き出し、その体を動かしていたのだ。
道理で想像の中なのに動かせない訳だ。
そうしてそのまま、私は自分の中に更に魔力を貯め続け、十分に溜めた後、それを薄く周囲に広げる。
そこまでしてようやく自分の周りに、いつものメンバーが居る事が理解出来た。
そして同時に、感覚が遮断された状態で周囲を知覚する事で、それぞれの物体が持つ波長も感じた。
魔力とも気とも違う。
石なら石、人なら人、草なら草の持つそれぞれの波長。
最初はあまりにも些細だから気が付かなったそれ。
だが、この状況がそれを認知させた。
 
そして、一度気が付いたからこそ、明確に分かるようになってきた。
だから私はその感覚を更に掴む事に集中する。
力を更に思考に注ぎ込み、限界ギリギリまで意識を加速させ、同時にその手網をあと一歩踏み込むと、自壊しかねない領域でコントロールする。
スキルにより脳に多大な負担が掛かっています。
このままスキルを続けると精神と肉体が乖離し、重大な後遺症が残る可能性があります。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂の負荷に耐え切り、魂の一部が感知出来るようになりました。
スキル【霊圧】を強制的に悟りました。
瞬間、魔力で周りを見ていた時とは違い、鮮明に辺りが色付く。普通なら見えない物まで視えている、そんな感覚が伝わってくる万能感。
これが第三の目とでも言うのだろうか?
それに【霊圧】スキル。このスキルは魂の重さそのものを視ることが出来る。
外見上のものだけではなく、内面をも見通す力。
五感とは全く別種の力。
だから通常の方法では鍛える事も獲得することも出来なかったものなのか。
なるほど、この山が特別な修行場として大切にされる訳だ。
龍神が神に至った場所。
そう考えれば確かに、この場は魂を上の次元に引き上げるには最適かもしれない。
身震いするほどの恐怖を感じる圧倒的な強者の風格。それは、こうやって魂を鍛え上げる事で得た、文字通り格の違いなのだろう。
ただそうなると、格の高い神やそれに準ずる者たちは見つけやすいが、例えばゴブリンのような圧倒的な弱者は見つけにくい。
それすらも見付けられるようにすれば……欲を言えば更に細かく判別まで可能にしたい。
そうすれば力を隠す強者であっても、的確に相手を見極め、その正体を見抜く事が出来るはず。
自分自身の考えにゾクリとする。
そこまで出来れば……この感覚を自在に使う事さえ出来れば、今までとは見える景色の全てが文字通り変わるはず。
……しかし、覚えるとすれば第六感とかそんな感じのスキルかと思ってたのに【霊圧】なのか。まあ、その辺はいいか。
だが、そこまで思い付いたが、ここから先どうすれば良いのかまでは分からない。
今はまだ自分の周囲少ししか感知出来ないこれを、どうやって広げていけば良いか、この辺が大きな課題になりそうだ。
そんな私の背後におばあちゃんが気配を消してゆっくりと近付いてくる。
気配……消してるよな?
実際おばあちゃんの気配遮断は完璧だろう。
存在までも希薄にし、動きには一切音もなく、空気の動きさえもコントロールしている。
しかし、今の私にはその全てが視えている。
だからこそ思ってしまった疑問だ。
だが、そんな事を考えている間にもおばあちゃんの動きは続く。
私の後ろまで移動したおばあちゃんは、そのままの流れで私の側頭部目掛け、龍の力を存分に活かした横薙ぎの蹴りを放つ。
昨日のようなおふざけレベルの威力ではない。
私の命を確実に消し飛ばす為に放たれた、圧倒的なオーバーキルの攻撃だ。
その攻撃をほんの少しだけ体を動かし回避し、攻撃によって生じた風圧に逆らわず、逆にその風の力も使いその場を脱する。
速い。
しかしキルゾーンから脱出した私に、おばあちゃんの猛追が迫る。
繰り出される攻撃は先程よりも威力のない軽いもの、しかしそのどれもが、私の命を刈り取るには十分過ぎる力を有している。
おばあちゃんの猛攻を、思考に魔力を注ぎ込み、集中力を爆増させながら、防御に専念する事でなんとか紙一重で躱し続ける。
いくら分かるようになったとはいえ、私の身体能力が上がった訳ではないのだ。
どれほど視えても、私のステータスではこれが限界である。
おばあちゃんの猛攻を避けながら、なんとか反撃の糸口を必死に探し続ける私だった。
これは頭の中で作ったもののはずなのに、今までは動かすことも満足に出来なかった。
それが急に出来るようになって、感覚までリアルにわかようになるとか、私が狂い始めたのか、それとも別の要因か?
考えても答えは見つからないが、生憎とその見つからない答えを探し求める時間は沢山ある。
私はアバターの姿で坐禅を組むと瞑想を始め、より思考に集中力を割くことにした。
どれほどの時が経ったのか分からないが、一つ感じたのはこの空間の時間の流れが遅い事だ。
山の影響なのか、肉体という楔から魂が解き放たれた影響なのか、はたまた思考を加速させているせいなのかは分からないが、なんとなく私が体感しているよりも、実際の時間は大して経過していない気がする。
と、言うことはこの空間をなんとかして脱出しないと、狂うのが先だな。
そしてその方法は絶対に何処かにある。
これが修行の一環だとすれば、自分の中に答えがないのなら、おばあちゃんは絶対にその糸口を事前に提示するはず。
それがないのだから、ここを脱出する糸口は私の中に存在しているはずなのだ。
そこまで考えた私は奪われたものが五感だという事に注目する。
五感は人間の感覚、視覚87%、聴覚7%、触覚3%、嗅覚2%、味覚1%で情報を得ているという。
そしてその中に気や魔力を感じる感覚はない。
前の世界でも感じていた殺気、怒気などの感情によるものや、視線や気などという曖昧なもの。
それらを感じる感覚はないが、それらを敏感に察知出来る人間は存在する。
そしてこの異世界では更に魔力なんてものも存在し、スキルや感覚によってそれを察知する事も出来る。
なら何故、今の私は魔力や気を理解していないのか?
それらの力を理解している今の私なら、感覚が閉ざされても感知する方法はあるはずだ。
その考えに至ると私は自分の中にある魔力を探し始めた。
恐らく、私はいきなり五感を奪われた事で、外界に対してのアクセス権のほとんどを失った。
その普段無意識に頼りきっているものを奪われた事で、自身の中で何も感じないのだという、前の世界での常識的な鎖に囚われたのだ。
その結果、前の世界では存在しなかった魔力の感知をも、無意識にキャンセルしていたのだろう。
そうして見つけた。
自分の中で生成される魔力。
しかしそれは弱々しく、回復速度も極めて低い。そしてこのアバターの身体を維持するために消費され続けている。
なら、このアバターは生命活動する身体そのものなのか?
溢れる疑問を推し留め、私はやっと見つけたその魔力を、思考とアバターの身体に少しづつ循環させていく。
そうしてまた長い時間を掛けて、やっと体内に力が行き渡るのを実感した。
なぜかは分からないが、この状態では少しでも集中力を途切れさせると、魔力は瞬く間に霧散する。
恐らくこれも、五感が閉ざされたショックで、生命活動が極端に落ちているからだろうと推測する。
見えた。
体内に魔力が行き渡った瞬間、アバターの体と同じく坐禅を組む実際の体を認識出来た。
そうか、これはやっぱり私の体そのものだったのか。
虚像ではなく実像。
実際の体を正確に描き出し、その体を動かしていたのだ。
道理で想像の中なのに動かせない訳だ。
そうしてそのまま、私は自分の中に更に魔力を貯め続け、十分に溜めた後、それを薄く周囲に広げる。
そこまでしてようやく自分の周りに、いつものメンバーが居る事が理解出来た。
そして同時に、感覚が遮断された状態で周囲を知覚する事で、それぞれの物体が持つ波長も感じた。
魔力とも気とも違う。
石なら石、人なら人、草なら草の持つそれぞれの波長。
最初はあまりにも些細だから気が付かなったそれ。
だが、この状況がそれを認知させた。
 
そして、一度気が付いたからこそ、明確に分かるようになってきた。
だから私はその感覚を更に掴む事に集中する。
力を更に思考に注ぎ込み、限界ギリギリまで意識を加速させ、同時にその手網をあと一歩踏み込むと、自壊しかねない領域でコントロールする。
スキルにより脳に多大な負担が掛かっています。
このままスキルを続けると精神と肉体が乖離し、重大な後遺症が残る可能性があります。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かっています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂に負荷が掛かり壊れ自壊し始めています。
魂の負荷に耐え切り、魂の一部が感知出来るようになりました。
スキル【霊圧】を強制的に悟りました。
瞬間、魔力で周りを見ていた時とは違い、鮮明に辺りが色付く。普通なら見えない物まで視えている、そんな感覚が伝わってくる万能感。
これが第三の目とでも言うのだろうか?
それに【霊圧】スキル。このスキルは魂の重さそのものを視ることが出来る。
外見上のものだけではなく、内面をも見通す力。
五感とは全く別種の力。
だから通常の方法では鍛える事も獲得することも出来なかったものなのか。
なるほど、この山が特別な修行場として大切にされる訳だ。
龍神が神に至った場所。
そう考えれば確かに、この場は魂を上の次元に引き上げるには最適かもしれない。
身震いするほどの恐怖を感じる圧倒的な強者の風格。それは、こうやって魂を鍛え上げる事で得た、文字通り格の違いなのだろう。
ただそうなると、格の高い神やそれに準ずる者たちは見つけやすいが、例えばゴブリンのような圧倒的な弱者は見つけにくい。
それすらも見付けられるようにすれば……欲を言えば更に細かく判別まで可能にしたい。
そうすれば力を隠す強者であっても、的確に相手を見極め、その正体を見抜く事が出来るはず。
自分自身の考えにゾクリとする。
そこまで出来れば……この感覚を自在に使う事さえ出来れば、今までとは見える景色の全てが文字通り変わるはず。
……しかし、覚えるとすれば第六感とかそんな感じのスキルかと思ってたのに【霊圧】なのか。まあ、その辺はいいか。
だが、そこまで思い付いたが、ここから先どうすれば良いのかまでは分からない。
今はまだ自分の周囲少ししか感知出来ないこれを、どうやって広げていけば良いか、この辺が大きな課題になりそうだ。
そんな私の背後におばあちゃんが気配を消してゆっくりと近付いてくる。
気配……消してるよな?
実際おばあちゃんの気配遮断は完璧だろう。
存在までも希薄にし、動きには一切音もなく、空気の動きさえもコントロールしている。
しかし、今の私にはその全てが視えている。
だからこそ思ってしまった疑問だ。
だが、そんな事を考えている間にもおばあちゃんの動きは続く。
私の後ろまで移動したおばあちゃんは、そのままの流れで私の側頭部目掛け、龍の力を存分に活かした横薙ぎの蹴りを放つ。
昨日のようなおふざけレベルの威力ではない。
私の命を確実に消し飛ばす為に放たれた、圧倒的なオーバーキルの攻撃だ。
その攻撃をほんの少しだけ体を動かし回避し、攻撃によって生じた風圧に逆らわず、逆にその風の力も使いその場を脱する。
速い。
しかしキルゾーンから脱出した私に、おばあちゃんの猛追が迫る。
繰り出される攻撃は先程よりも威力のない軽いもの、しかしそのどれもが、私の命を刈り取るには十分過ぎる力を有している。
おばあちゃんの猛攻を、思考に魔力を注ぎ込み、集中力を爆増させながら、防御に専念する事でなんとか紙一重で躱し続ける。
いくら分かるようになったとはいえ、私の身体能力が上がった訳ではないのだ。
どれほど視えても、私のステータスではこれが限界である。
おばあちゃんの猛攻を避けながら、なんとか反撃の糸口を必死に探し続ける私だった。
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