ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~
口が軽いのは災いの元なの
「ハ・ク・アーー!」
「とーうなのーー!」
「グハッ!」
相手のダイレクトアタック成功。大ダメージを負った。
じゃなくて。
アカルフェルを追い払い、部屋から出て行ったのを見送ると同時、左右からシーナとムニがいきなり抱き着いてきた。
だが忘れてはいけない。
こやつ等は見た目こそ可愛い女の子(スレンダー系とワガママボディ系)だが、その中身は歴とした竜なのだ。
しかも龍王に近しい実力を持つ竜。
そんな二人に抱き着かれたら、豆腐メンタルならぬ豆腐ボディの私など簡単にパチュンしちゃうのだ。
だがそれが嫌という訳では無い。嫌という訳では無い!
だって柔らかいし、いい匂いするんだよ!
もしこれが死因になったとしても私に後悔などありはしない!(注、ただし本当にこれで死ぬとあらゆる意味で馬鹿な奴と言われかねない)
などという冗談は置いといて。
「どうしたの?」
 
「いやー、すごいスッキリしたから思わず」
「スカッとしたの」
「そりゃよござんした」
いやほんと、アイツら嫌われとるのう。
「しっかし、何をしたのかは知らないっすけどアカルフェル滅茶苦茶キレてたっすね」
「ハクア何したの」
「えっ? 知りたい?」
二人して不思議そうな顔をするからニコリと笑いながら聞くと、何故か二人は高速で私から離れ、取れそうな程の勢いで首を横に振る。
「いや、いいっす。私らが悪かったっす。世の中には知らなくていい事は沢山あるっす」
「そうなの。ムーは何も聞かないの。因みにムーはハクアの事大好きなの」
「わ、私だってハクアの事好きっすよ」
うん。見た目可愛い女の子から好きと言われるのは嬉しいが、何故こんなにもだから殺さないでと言わんばかりの雰囲気なのだろうか? 解せぬ。
 
「ああそうだ。テア」
「どうしたのですか白亜さん?」
「いや、私の防具ってどうなった? いや、ニコリじゃなくて」
一向に音沙汰のない防具の事を聞いたら、何も言わずにいい笑顔だけで乗り切ろうとしやがったよこのメイド。
「鋭意製作中です」
「まだやってんの!?」
「ええ、白熱してまして」
「それ制作まで行ってなくない? まあいいや。出来てないならついでにコレも渡しといて」
ドンッと、音を立てながら袋に入った素材を渡す。
「これは……」
「無限湧きするゴミから拾った」
「いや、これどう見ても地竜の───」
「シッ! ダメなのシーナ。口が軽いのは災いの元なの」
「ハッ! そうっすね。私は何も気が付かなかったっす!!」
袋から覗く素材を見たシーナがボソリと言うと、それを普段からは想像出来ないスピードでムニが口を塞ぎ、シーナもまた、やらかした! という顔をすると、力強い宣言と共に冷や汗を流しそう吠える。
ドラゴン共が私に恐怖してる件。ってか、この世界にも口は災いの元なんて言葉あるのね。
「まあでも凄い素材だね。鱗に爪、牙に角……えーと、ハクちゃん? 瞳に竜玉、骨も混ざってるんだけど?」
「「ヒッ!?」」
「何か問題が?」
「……うん。ないね」
「だよねー」
ソウもまた何も見なかった事にしたのか、素材袋をスキルで仕舞い、何事もなかったように振る舞う。
「また、無茶苦茶したのうハクア」
「そうでもないけどね」
「そういえば白亜さん。今回の成果はこれだけではないのでしょう?」
「ああうん。何個かスキルゲットした」
「ほほう。どんなのじゃ?」
「えっとねぇ。まず継承が完了して称号【竜体】を獲得したら【竜人化】が解放された」
「むっ、これでハクアも正式にわしらの同族じゃな」
「そうなるんかね」
ここからまだまだ長いがな。と言いつつも、ミコトの顔は嬉しそうだ。
そんな風に喜んで貰えたら私としても悪い気はしない。
「後はなんかあったんすか?」
「えっと後は【結界】が【龍種結界】になって、【鬼竜之外殻】に統合されたけど【地竜の加護】も覚えた」
「な、ななななな、なんでハクアが【地龍の加護】を!? それに【龍種結界】も地竜しか使えないはずなの!?」
「そうなん?」
「ええ、普通はそうね。普通は」
「そうだな。普通は……」
うん。おばあちゃんとトリスはなんでそんなに、普通という言葉を強調するのかな?
「まだ詳細は見てないけどどんなもんなの?」
「【地竜の加護】は一度に受けるダメージの上限が9999に固定されるの」
えっ、何そのゲーム的なスキル。
しかも君達地竜ってHPヤバいくらい高いよね? それでダメージ上限固定? 道理で大技連発しても耐えるとかって話だよ!?
ただでさえクソ硬い防御を貫いてもダメージ固定じゃ、そりゃどんなに強い奴が戦っても時間掛かるわ!
しかし、これは私にはもってこいのスキルかもしれない。
この世界はHPが残っていても、心臓を貫かれたり、頭を吹き飛ばされれば一発で死し、外傷がなくてもHPがなくなれば死ぬ。
だが逆に言えば、致命的な欠損さえなくてHPがあればなんとかなるのだ。
そしてこのスキル。
再生スキルがある私なら、脳と心臓さえ無事なら大抵復活出来る。と、言う事は、紙防御故、一発でHPが吹き飛ぶ心配がなくなり、生存率が大幅に上がるに等しい。
地竜ずりぃと思ったが、私のプラスになるならなんの問題もない。
「で【龍種結界】の方は?」
「そっちはいくつか特殊な結界術と封印術を覚えて、更に普段の【結界】が大幅に性能が上がるの」
「ほほう」
「どっちも紙防御のハクちゃんにはもってこいだね。【結界】もハクちゃんは普通よりも沢山使うし」
「だね。早い段階で使い心地を確かめなきゃ」
因みに特殊な術というのは大規模結界術、地煞龍脈陣と、相手を縛る封印術、封龍地縛糸という重奏術式・奏 竜縛呪を使いやすくした感じのものの二つだった。
地煞龍脈陣はその名の通り、龍脈を利用した結界術だ。
半径三メートル程のドーム状の半球形で、見ようによっては亀の甲羅のように見える。というかまんま半透明に光る亀の甲羅のようなものだった。
しかも任意で中の仲間に防御力upのバフまで付けられるハイスペックな性能。
時間も掛かる上に力は使うが、大規模結界術の名に相応しく、その気になれば街一つを覆う程大きく出来そうだ。
難点は龍脈を利用する為、龍脈の無い所では使用出来ないし、地面に接していなくても使う事が出来ない点だろう。
封龍地縛糸は対象を地面から伸びた糸で縫い付け、相手の力を糸で吸収、弱体化させながら、縫い付けた地面も強化して抜け出せなくする技だ。
発動まで時間は掛かるが、実験台となったムニも抜け出せないレベルの封印術だった。
戦闘中は使えないかもしれないが、罠としてなら幾らでも使い道があるスキルだ。
ついでに糸で縫い付けられたムニの姿がとても良かったとだけ言っておこう。
どうやら特殊な術とやらは、個々人の資質に合わせたものになるらしい。
【結界】の方は【金剛陣】へと変化。
性能は格段に上がり、以前なら数秒しか持たなかったトリスのブレスを一分近く耐える事が出来た。
これでますますトリスをイジれるように───あっ、すいません。なんでもないんです!! ぎゃぁあーー!
何はともあれ中々の収穫になったのは確かだった。
「とーうなのーー!」
「グハッ!」
相手のダイレクトアタック成功。大ダメージを負った。
じゃなくて。
アカルフェルを追い払い、部屋から出て行ったのを見送ると同時、左右からシーナとムニがいきなり抱き着いてきた。
だが忘れてはいけない。
こやつ等は見た目こそ可愛い女の子(スレンダー系とワガママボディ系)だが、その中身は歴とした竜なのだ。
しかも龍王に近しい実力を持つ竜。
そんな二人に抱き着かれたら、豆腐メンタルならぬ豆腐ボディの私など簡単にパチュンしちゃうのだ。
だがそれが嫌という訳では無い。嫌という訳では無い!
だって柔らかいし、いい匂いするんだよ!
もしこれが死因になったとしても私に後悔などありはしない!(注、ただし本当にこれで死ぬとあらゆる意味で馬鹿な奴と言われかねない)
などという冗談は置いといて。
「どうしたの?」
 
「いやー、すごいスッキリしたから思わず」
「スカッとしたの」
「そりゃよござんした」
いやほんと、アイツら嫌われとるのう。
「しっかし、何をしたのかは知らないっすけどアカルフェル滅茶苦茶キレてたっすね」
「ハクア何したの」
「えっ? 知りたい?」
二人して不思議そうな顔をするからニコリと笑いながら聞くと、何故か二人は高速で私から離れ、取れそうな程の勢いで首を横に振る。
「いや、いいっす。私らが悪かったっす。世の中には知らなくていい事は沢山あるっす」
「そうなの。ムーは何も聞かないの。因みにムーはハクアの事大好きなの」
「わ、私だってハクアの事好きっすよ」
うん。見た目可愛い女の子から好きと言われるのは嬉しいが、何故こんなにもだから殺さないでと言わんばかりの雰囲気なのだろうか? 解せぬ。
 
「ああそうだ。テア」
「どうしたのですか白亜さん?」
「いや、私の防具ってどうなった? いや、ニコリじゃなくて」
一向に音沙汰のない防具の事を聞いたら、何も言わずにいい笑顔だけで乗り切ろうとしやがったよこのメイド。
「鋭意製作中です」
「まだやってんの!?」
「ええ、白熱してまして」
「それ制作まで行ってなくない? まあいいや。出来てないならついでにコレも渡しといて」
ドンッと、音を立てながら袋に入った素材を渡す。
「これは……」
「無限湧きするゴミから拾った」
「いや、これどう見ても地竜の───」
「シッ! ダメなのシーナ。口が軽いのは災いの元なの」
「ハッ! そうっすね。私は何も気が付かなかったっす!!」
袋から覗く素材を見たシーナがボソリと言うと、それを普段からは想像出来ないスピードでムニが口を塞ぎ、シーナもまた、やらかした! という顔をすると、力強い宣言と共に冷や汗を流しそう吠える。
ドラゴン共が私に恐怖してる件。ってか、この世界にも口は災いの元なんて言葉あるのね。
「まあでも凄い素材だね。鱗に爪、牙に角……えーと、ハクちゃん? 瞳に竜玉、骨も混ざってるんだけど?」
「「ヒッ!?」」
「何か問題が?」
「……うん。ないね」
「だよねー」
ソウもまた何も見なかった事にしたのか、素材袋をスキルで仕舞い、何事もなかったように振る舞う。
「また、無茶苦茶したのうハクア」
「そうでもないけどね」
「そういえば白亜さん。今回の成果はこれだけではないのでしょう?」
「ああうん。何個かスキルゲットした」
「ほほう。どんなのじゃ?」
「えっとねぇ。まず継承が完了して称号【竜体】を獲得したら【竜人化】が解放された」
「むっ、これでハクアも正式にわしらの同族じゃな」
「そうなるんかね」
ここからまだまだ長いがな。と言いつつも、ミコトの顔は嬉しそうだ。
そんな風に喜んで貰えたら私としても悪い気はしない。
「後はなんかあったんすか?」
「えっと後は【結界】が【龍種結界】になって、【鬼竜之外殻】に統合されたけど【地竜の加護】も覚えた」
「な、ななななな、なんでハクアが【地龍の加護】を!? それに【龍種結界】も地竜しか使えないはずなの!?」
「そうなん?」
「ええ、普通はそうね。普通は」
「そうだな。普通は……」
うん。おばあちゃんとトリスはなんでそんなに、普通という言葉を強調するのかな?
「まだ詳細は見てないけどどんなもんなの?」
「【地竜の加護】は一度に受けるダメージの上限が9999に固定されるの」
えっ、何そのゲーム的なスキル。
しかも君達地竜ってHPヤバいくらい高いよね? それでダメージ上限固定? 道理で大技連発しても耐えるとかって話だよ!?
ただでさえクソ硬い防御を貫いてもダメージ固定じゃ、そりゃどんなに強い奴が戦っても時間掛かるわ!
しかし、これは私にはもってこいのスキルかもしれない。
この世界はHPが残っていても、心臓を貫かれたり、頭を吹き飛ばされれば一発で死し、外傷がなくてもHPがなくなれば死ぬ。
だが逆に言えば、致命的な欠損さえなくてHPがあればなんとかなるのだ。
そしてこのスキル。
再生スキルがある私なら、脳と心臓さえ無事なら大抵復活出来る。と、言う事は、紙防御故、一発でHPが吹き飛ぶ心配がなくなり、生存率が大幅に上がるに等しい。
地竜ずりぃと思ったが、私のプラスになるならなんの問題もない。
「で【龍種結界】の方は?」
「そっちはいくつか特殊な結界術と封印術を覚えて、更に普段の【結界】が大幅に性能が上がるの」
「ほほう」
「どっちも紙防御のハクちゃんにはもってこいだね。【結界】もハクちゃんは普通よりも沢山使うし」
「だね。早い段階で使い心地を確かめなきゃ」
因みに特殊な術というのは大規模結界術、地煞龍脈陣と、相手を縛る封印術、封龍地縛糸という重奏術式・奏 竜縛呪を使いやすくした感じのものの二つだった。
地煞龍脈陣はその名の通り、龍脈を利用した結界術だ。
半径三メートル程のドーム状の半球形で、見ようによっては亀の甲羅のように見える。というかまんま半透明に光る亀の甲羅のようなものだった。
しかも任意で中の仲間に防御力upのバフまで付けられるハイスペックな性能。
時間も掛かる上に力は使うが、大規模結界術の名に相応しく、その気になれば街一つを覆う程大きく出来そうだ。
難点は龍脈を利用する為、龍脈の無い所では使用出来ないし、地面に接していなくても使う事が出来ない点だろう。
封龍地縛糸は対象を地面から伸びた糸で縫い付け、相手の力を糸で吸収、弱体化させながら、縫い付けた地面も強化して抜け出せなくする技だ。
発動まで時間は掛かるが、実験台となったムニも抜け出せないレベルの封印術だった。
戦闘中は使えないかもしれないが、罠としてなら幾らでも使い道があるスキルだ。
ついでに糸で縫い付けられたムニの姿がとても良かったとだけ言っておこう。
どうやら特殊な術とやらは、個々人の資質に合わせたものになるらしい。
【結界】の方は【金剛陣】へと変化。
性能は格段に上がり、以前なら数秒しか持たなかったトリスのブレスを一分近く耐える事が出来た。
これでますますトリスをイジれるように───あっ、すいません。なんでもないんです!! ぎゃぁあーー!
何はともあれ中々の収穫になったのは確かだった。
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