ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

素材は優秀な様です。

「えっと、大丈夫かなハクア?何か凄い震えてるけど・・・」


「コロが何を言ってるのか私、ワカラナイ?」


「いやいや、チワワ並の震え方よ?」


 ふっ、何の事かな?


 〈今からでも誤解を解いては?〉


 無理!あの瞳はもう裏切れない!?それにほらもう私は諦めたよ。明日の事は明日の私に丸っと投げる。


 〈・・・ダメ人間な考え方ですね〉


「それで?コロの方はブリギットとの話し終わったの?」


「あっ、うん。実現可能な範囲でハクア好みにしようと思ったんだけど、ハクアは何か希望はあるかな?」


「え~と、漠然としすぎてて分からんが例えばどんな事?」


「あっ、そっか。ハクアは知らないのか?えっとね。武器の作成には幾つか注文を付ける事が出来るんだ。まず当然だけど武器の種類だね。それからその武器の形状。後は重さや長さ、重心何かだね。後は素材かな」


「素材?」


「うん。普通出来るのはさっき言った事までだけで、使う素材の種類や品質でランダムにスキルが付くんだけど、ある程度なら切れ味重視とか壊れ難く何てスキルを付けられるんだ。それに鍛治師にはそれぞれで秘匿にしてる、独自の組み合わせに依る特定のスキルを付ける技術何かもあるんだ。だからオーダーメイドを請け負う時は、一応希望を聞くようにしてるかな」


「そうだな~・・・・んじゃあ出来る限り。武器は刀、長さは・・・・そうだな。この間より少しだけ長く、鍔は付けて欲しい。んで、刃の部分は軽く、重心は鍔の辺りに少し重めに在ると個人的に取り回しが良いかな?スキルとしては特に指定は無いけど、耐久性は高い方が良い」


 私が割と細かく注文するとコロが何故か嬉しそうに聞いている。


「あはは、ごめんね。でも、ハクア位注文を付けてくれると信頼されてるって思えて嬉んだ。指定はそれ位かな?」


「うん。後は分からんからコロに任せる」


「そうですね。良いんじゃ無いですか?白亜さんの戦い方は基本的にはヒットアンドアウェイですからね。出来れば【破壊不可属性】もしくは【物理耐久】を付け、【魔法耐久】か【魔法伝導率】とかを付けられれば、戦い方に合っていると思いますよ?」


「ですよね?その当たりはブリギット様とも話し合いました。龍気結晶石を使えば後半の方は多分付くと思います。後は、耐久かな?う~ん。ボクの持ってる素材だと確率が低いかな?」


「ではコロ。この素材は使えませんか?」


 と、何やらヘルさんが石っぽい物を取り出しコロに手渡す。


「これ、もしかしてあのガーゴイルの?」


「はい。私が取り込んでも【魔道鋼殻】があるのでスキルは増えませんし使えれば・・と」


「・・・・・うん。これなら何とかなるかも」


「他にも何か素材や手伝い要る?」


「う~ん。後は、この空の魔石にハクアの魔力を満たして欲しいかな?そしたら暫くは大丈夫だよ。その代わり後でまた魔力を流して欲しいかな」


「了解。でも、改めて見ると面白いね鍛治って」


 スキルがランダムって所がまた。ゲーマー心をくすぐるね。もっと良いもの出るんじゃね?見たいな。


「そうでしょ!素材によっては全然違って来るからね。同じ物でも品質で違ってくるし、火が得意な魔物の素材なら火の属性の武器とかが出来たりもするかな!それに混ぜ合わせる物にも相性とか在るからそれの見極めも大事な要素かな」


「ほうほう。どんな素材が良いとかは在るの?やっぱ金属や鉱物系?」


「う~ん。確かに武器は金属だから大元になるそれらは大事な要素かな?でも、スキルを付けたり、特別な効果を狙いたい場合は、魔物の素材も結構大事になってくるよ。例えばだけど、色んなスキルを持ってる魔物だとスキルが付きやすいし、凄く強い魔物だと、その魔物の得意な攻撃スキルや防御スキルが、装備に付きやすくなるんだ。それに品質が良ければ強化限界や付与数も高くなるしね」


「強化限界や付与数?」


「うん。武器の強化は出来た段階で回数が決まってるかな。強化自体は例えば、切れ味を上げたいならこの素材って感じで、鍛治師が見ればどんな物が必用か分かるんだ。だからそうやって出来た武器を更に自分好みに強く出来る。付与は後から付けられるスキルだね。最初に付く物と違って決まった物しか付かないけど、その代わり欲しいスキルが付けられるんだ。だけど品質の良くない物で作るとこれが少なるなるんだよ」


「武器へのスキル付与は武器毎に決まった分しか出来ず、更にスキルによって最大数も変わります。そうですね・・・・例えば、スキル毎にポイントがあって、30迄なら素材が揃えば付けられる様になる。と、言えばマスターにも分かりやすいですか?」


「うん。スッゲー分かりやすい」


 ふむ。確かにそれは重要だ。


「因みに、武器自体に武技や素材にした魔物のスキルが付いてると、付与枠はそれに取られて少なるなるかな。その代わりスキルなんかは強力な一点物になるけど」


「ふ~ん。因みに、さっき言ってたけど私の魔力を入れた魔石とかって何で必要なの?」 


「龍気結晶石は前も言ったけど魔力の親和性や伝導率何かが凄く良いんだ。だから、作成する素材に使用者の魔力を使うと凄く馴染み易いかな。【魔法剣】とかだとその辺も重要になるからね」


「なるほど、なるほど。じゃあさスキル沢山持った魔物の素材は結構良いんだよね?」


「うん。特別なスキル何かが付きやすくなるかな!」


「じゃあさ。え~と・・・・・・在った。これ使える?」


 そう言って私は大事にしまってあった。もとい今の今まで存在をすっかり忘れていた物を取り出しコロに見せる。


「これもしかしてゴブリンかな?」


「ご、ご主人様?これってもしかして・・・と、言うかもしかしなくても・・」


 と、何故かアリシアが冷や汗をダラダラと流しながら聞いてくるので、私はコクンと一つ頷きながら。


「うん。懐かしのホブゴブリン君に切り飛ばされた私の手足」


 言った瞬間皆がズザッと引いていく。


 えっ!?その反応はちょっと傷付くんですけど。


「お前、何て物持ち歩いてんだよ!と言うか、切り飛ばされたって?」


 あれ?言わなかったっけ?


 私は一番最初ホブゴブリンとの戦闘に付いて、アリシアやヘルさんと細かく説明した。


「随分とハードモードね?」


「うむ。私が駄女神に殺意を抱く理由が分かったでしょ?」 


「いや、それは分からん」


 何故だ!?


「まあ、とにかくその時の手足だよ。今まですっかり忘れてたけど。自分の体が素材なら親和性は高くなるんじゃね?後は・・・」


 私は次に【鉄蜘蛛糸生成】のスキルで指の先から糸をウニョウニョっと出してみる。


「これも素材にならない?今ならスキル山盛りの魔物の素材だよ?」


「ちょっと待って欲しいかな・・・・・うん。この糸なら・・・それに・・うん。こっちもゴブリンの筈なのに・・・うん。ハクアの言う通り両方素材になりそう・・かな。こっちは片方で大丈夫。それじゃあ早速始めて来るかな!」


「よろしく。後で呼んでね」


 コロは鑑定が終わるや否や、私が渡した物を持って早速武器の作成準備に取り掛かった。


「しかし、貴女良く自分の手足何て今まで持ち歩けたわね?私なら絶対嫌よ」


「そうは言ってもさアイギス。自分で自分取り込んだら何か面白いスキル増えるかな~。とか思ったんだもん」


「その発想が既に普通じゃ無いからな?」


 澪の言葉に全員が頷く。解せぬ?


「では、取り込むんですかマスター?」


「んにゃ。前にやろうとしたら駄女神に意味無い言われたからやらんよ」


『シルフィン:ヘルに取り込ませたらどうですか?正直あの頃では大したスキル在りませんでしたが、【喰吸】がどんな風に働くか分かりませんし』


 ふむ。それは確かに興味あるかも。


「ヘルさん。駄女神がヘルさんが取り込んだらだって」


「そうですね。せっかくなので試してみましょうか」


「気を付けて下さいねヘル。白亜さんの身体何て取り込んだら変なウィルスとかあるかも知れませんから」


 テアの何気無い一言にヘルさんの手がビタッと止まる。


「失礼な!誰がパチもんのアップデートプログラムか!?」


「ああ、良くあるな。あのバージョン1,035みたいなの」


「あったわね。たまに動作不良しか起こさない物が」


 失礼だよ君たち。


「だ、大丈夫です。マスターの事は信用しているので」


 嬉しいけど確実に最初の一言、言い澱んだよね?


 ヘルさんは意を決した様に手を伸ばし私の足を取り込む。すると、少し驚いた様な顔をして「本当にスキルを覚えました」と、新しいスキルを説明してくれた。


「覚えた物は【武装作成能力】と【自己進化付与】です。【武装作成能力】は素材や部品から強化パーツを作る事が出来る様です。【魔創】とは違い、一度の戦闘で駄目にならず修理可能な外部パーツですね。【自己進化付与】はその武装に必ず付き。私の使用しやすい様に武装が成長する様です」


「・・・私の素材。優秀じゃね?」


「正直かなり優秀ですね」


 ここ最近で一番びっくりする事実が判明したよ。私、素材は優秀な様です。



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