ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

おふ、私完全に勘違いだったよ・・・・。

「まさか、そこまで常識が無かったとはな・・・」


 バカな!?魔法は全員が使える物では無い・・・だと。


 いやいや、でも、私の知ってるのはほとんど使えて無かった?まあ、レイドは近接で頑張ってグロス相手にタゲ取ってたから使う暇無かったよね?ミランダは水魔法撃って貰った。他は気にする余裕なんて無かったしな~。


 そこから先もウンウン唸りながら今までの事を必死に思い出して行く私は、そこで一つの事を思い付いた。そう、それはこれだけ居る私の仲間は全員が魔法使えるのだ!


 そうだよ。魔法が一般的じゃ無いならこの偏りはおかしい・・・筈。


「で、でも、皆は魔法使えるじゃん!」
  
 私が必死に自分の正しさを肯定しようとすると、仲間は一様に困った子を見る様な優しい目になり。


「ご主人様?えっと、私はエルフですから魔法は得意な種族何ですよ?」


 いや、確かにそうだけど。


 私の言葉を肯定してくれる人を探してアリシア以外の仲間に目を向けると。


「ハクア様、ミミは魔法使えないわよ?」


 何と!?


「そうなの!?だって前に訓練してる時「魔法の練習は良いの?」って、聞いたら。「ミミは自衛出来れば良いだけだし、身体動かす方が得意だから良いの」って、言ってたからてっきり・・・」


 苦手なだけかと・・・。


「獣人は魔法は使えないわよ。その代わり獣人は他の種族よりも優れた身体能力が在るんだし。まあ、中には特殊な力を持った種族も居るらしいけど。基本的には使えないわ」


「使える可能性が在るのは他種族との混血ですね。ですが、獣人は魔法の使える子を忌み子としますから、そうそう居ませんが」


 マジかよ!?


 ミミの説明にテアの補足まで入ってくる。そして更に他の皆からも突っ込みが飛んでくる。


「残念ですがハクア様。ミルリル、コロ様もエルフの血が入っているので使えておかしくありません。異世界の方は魔法を扱える確率が高いらしいので、ミオ様、ルリ様、ユイ様も高い確率で使えるでしょう。クー様に至っては元魔王ですし、フロスト様も魔法騎士なので当然です。一番確率の低いのは私ですが、私は魔導書を読んだ事が在るので使えます」


『因みに魔導書は、魔法の才覚が全く無い人間には効果が在りませんが、少しでも才能が在れば初級の魔法を覚える事が出来るアイテムです。値段も高価ですがね。何よりも魔法のシステムは、魔法の才能が無い人族にも扱える様にする為に導入しましたから』


 おふ、私完全に勘違いだったよ・・・・。


「お前・・・・この世界の常識ちゃんと在るのか?」


 うっ、澪の言葉に少し自信が無くなるがここで引いたら負ける!何にかは知らないけど・・・。


「あ、在るよ!こ、これはただ単に勘違いしてただけだもん!ちゃんと在るもん!」


「落ち着け。幼児退行してるぞ」


 何の事か私には分からないな!


「因みにハクア。私がさっき渡した褒賞覚えてる?」


「・・・そう言えば白金貨と龍気結晶石って、何?金貨の上?何かの材料?」


「すいませんマスター。白金貨に付いては私が説明していませんでしたね。まさか、半年程でそんな物まで手に入れるとは思っていなかったので、マスターの言う通り白金貨は金貨100枚分の価値です。更に上には白大金貨も存在して、この白大金貨が一番上の価値になります」


「そ、そうだったんだ?」 


「因みにマスターの今の資産は約大白金貨10枚程になっています」


 ヘルさんの言葉に何故か皆が一斉にブフッ!と、吹き出す。


 何故に?


「お前・・・・犯罪か?」


「何でいきなりそれを疑うか!?」


 失敬な奴め!


「ご、ご主人様、いつの間に私達に内緒でそんな大金を・・・」


「・・・大白金貨って本当に在ったんだ」


 えっ?マジですかエレオノさん。そんなレベルなん?!


「フープの国家の1/10の予算レベルですよマスター」


「あっ、比べるのそこのレベルなんだ」


 能力チート貰えなかったけど、いつの間にか予算チートになっていたらしい。


 アレ?私、本当に働かなくて良いんじゃね?


「どうやったらそんな金手に入れられるんだよ嬢ちゃん」


「知らん!」


 いや、マジで。どうしてそうなった。


「マスターがアリスベルで十商に売り付けた商品の数々のお陰ですね。物では無く権利を売り付けて商品を売り込んだので、そこからの派生の商品も含めて一つ売れる毎に資金が発生します。なのでそこから生まれる利益が爆発的にお金を産み出しています」


 う~む。知らんかった。宿屋で何泊出来るか考えていた時が懐かしいぜ!あんま時間経って無いけど。


「権利の売買特許の様な物か?そんな物まるで無い世界に良く持ち込んだな?」


「いや~。まあね」


 そういや、カーラ以外の十商にも売り付ける事にした時に、商業ギルドと冒険者ギルド巻き込んで色んな権利の確保する機構作ったっけ?作ってお金が入る様にしたらすっかり忘れてたわ。


 私がやった事は簡単だ。


 この世界で商売をするには商業ギルドに登録する必要がある。


 なので私は、カーラに紙を売る際にした契約を両ギルドを巻き込んで都市全体に拡げただけだ。


 カーラとの契約だとギルドは重要では無かったが、都市全体に拡げるにはここが重要なのだ。


 今まで商業ギルドでやっていたのは商人に関する登録だけだった。だけど今度から私の商品に関しては、売る際に商業ギルドに申請、登録する義務を作ったのだ。


 つまりは・・・・。


 私の商品を作る→商業ギルドに商品の数を登録→登録した商品を店に卸し売る→一月で売れた分をギルドに申請→全体の額の10%をギルドに渡す→その10%の内、1%を商業ギルドに、1%を冒険者ギルドに納める→8%が私の利益として流れて来る。


 こんな感じの機構を作ったのだ。


 一見私の利益が下がった様に見えるが、村でも都市でも冒険者ギルドか商業ギルドは在る。


 この義務はその全てに通用するのだ。


 製品はアリスベルで作られている。だから他の都市の人間が店で売る際には、アリスベルで大量に買い付けしなければいけない。なので私の商品は売れただけ私の利益になる。


 加えて私の商品を売るにはギルドの許可証も必要だ。だから許可の無い人間はすぐに分かる。


 商業ギルドは回収義務を請け負って貰い。冒険者ギルドでは、商人側が不正をした際に金を回収して貰える。


 これにより全てが結託して私を騙さない限りは、何処かが着服する可能性を限り無く小さくした。


 流石に個人の商店までは全部把握出来ないけど、それでもかなりの確率で回収は出来る。


 他の都市に工場が出来てもそのレベルになれば、今度は十商が利益の確保の為に動き、商業ギルドや冒険者ギルドに連絡が入るので、この機構は他の場所でも適用される。


 まあ、大体こんな感じだ。詳しい所は十商に投げたからよく知らん。


 それを私が話すと、最初から私の監視をしていたヘルさんと、途中からこの辺に関わっていたエルザ以外が呆れた顔をしていた。


「お前、そんな物作って何で放置なんだよ」


「作った後は興味無くなくて。エルザに任せてた」


 私がそう言うと皆の視線がエルザに集中する。そして一言「ハクア様に金額を報せると何をするのか予想が出来なかったので」と、言う言葉に、澪と瑠璃、テアの三人がエルザを褒め称えていた。


 解せぬ。


「何でそこで褒めるのさ!」


「市場の混乱、金銭価値の変動、それに関わるトラブル幾らでも想像出来るが?」


 澪の言葉に何故か皆が頷く。解せぬ。


「うう、じゃあ。もう一つの龍気結しょーーーー」


「龍気結晶石は凄い珍しい鉱物何だよ!!」


「お、おう?」


 私の質問に珍しく鼻息荒くコロが食い気味に詰めよって来る。


 あ、アレ?キャラ違いませんコロさん?


 そこからのコロ様はなんと言うか職人と言う名のオタクだった。


 普通の鉱物との違いから始まり、金属との融和性、秘めた魔力、魔物の素材を使った際の効果、どれ程の価値が在るか、職人としてどれ程作りたかった素材かなど熱く暑く語って下さいました。


「ーーーーと、取り敢えずこんな所かな!!」


 やっと、終わったよ~。


 余りの熱量に私は、お、おう。としか返せず聞き続けた。


 しかも皆助けてくれないし!何で私の常識に付いて話してるのさ!?


 要約すると、この石自体が凄く強い魔力を有しており、魔力の伝導率が良いミスリルとの相性抜群、オマケに魔物の素材を使って強化する事で、武器自体が成長して行く物が作れるとか何とか?


 とにかく良い物貰ったらしい。


「ハクアの武器は直ぐに壊れるから良い物を頑張って作るかな!」


「すいません!よろしくお願いします!!」


 最後の言葉に今までの減なりした気分を放り投げ頭を深く下げる。


 うん。私武器壊しまくってるからね!頭が下がる思い。と、言うよりも頭を下げなきゃって思うよ!いや、マジで。本当すいません。


「やだなハクア頭なんか下げなくて良いよ。ボクの作る武器がハクアの実力に見合って無いだけなんだから。むしろボクの方こそごめんね?次こそはハクアがずっと使える様な武器を作るから、ハクアにも少し協力して欲しいかな?」


 嫌~!ごめんなさい!ごめんなさい!本当にごめんなさい!次からの武器はちゃんと大事にします!だから謝らないで!そんな澄んだ瞳で無邪気に笑わないで~!!


 コロの純真無垢な笑顔に私の心が滅され掛けていると、こちらの話が終わった事に気が付いたのか澪が話し掛けてくる。


「ん?終ったか?じゃあ白亜、ちゃんと明日からテアとヘルに常識習えよ?」


「いつの間にそうなった!?」


「今ですよハーちゃん」


「大丈夫!私常識在るから」


「信用出来ん。そもそも、何処からその自信が来るんだよ」


「この世界の事を知る為に図書館で色々調べたもん!」


「ん?図書館?ハクア、貴女字が読めるの?まだ半年位しか経って無いんでしょ?」


「えっ、幾ら頭悪くても流石に見てたら覚えるよ私だって」


 む~。流石に失礼だと思うぞアイギス。


「・・・見ただけで覚えて頭悪いとか」


「相変わらずですね白亜さん」


 えっ?何が?何で皆驚くの?解せぬ。


「まあ、何時もの事だ。因みにハクア?平民や冒険者は大半が字を読めないのはちゃんと知ってるか?」


「・・・嘘でしょ?今度こそ、それは無いって!私を騙して、常識の勉強をさせるつもりだな!」


「本当ですよご主人様」


「・・・うそん。皆読めてたじゃん」


「えっとねハクア。私も一応ギルド長の娘で、お父さんの手伝いとかしてたから読めるよ。アリシアやコロも物を売って生活してたんだから少しは読めるよ。エルザ何て教育受けてただろうし」


「私はエルザから教えて貰いました」


「ミミはたまに来てた行商に教えて貰ったわ」


「決定ですね。ちゃんと常識の勉強をしましょう」


「・・・・はい」


 私の常識が全く無い事が露呈した為、常識の勉強が決定しました。


 ・・・・・・・私、本当に常識無かったんだ。ぐすん。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品