ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

〈既に調教完了しているのでは・・・〉

「もうやだ~!何で我ばかりこんな目に会うんじゃ~!」


 現在心を粉々にされ尽くされた魔王はガチ泣きしていた。


 うわ~、どうしよう?


 私は皆の意見も参考にしようと皆の方を見る・・サッ!見る・・ササッ!


 ちくしょう!露骨に眼を背けやがる!私だけに投げる気か!!ヘルさん?ヘルさんは違うよね?!


〈頑張って下さいマスター〉


 丸投げだ~!


『シルフィン:プスー!自業自得ですね!』


 いや、あんたもだろ!


『シルフィン:私女神なんで、魔王は声かけられたく無いんじゃ無いですか?』


 くっ!正論か!!


「ぐすっ!ひぐっ!我ばかり、我ばかり何で苛めるんじゃ~!」


 魔王が苛められる発言とか斬新過ぎませんかね!?


「ぐすっ!千年前には勇者に封印されるし!」


 それ私のせいじゃないよ!?と言うかあんたが魔王何てやってるからだろ!!


「千年掛けてやっとまあまあ強めな部下召喚出来た筈じゃったのに、ここに来る前に10階位で倒されちゃうし!」


 あれ?それガシャドクロ?もしかして私のせいか?


「封印解けたら解けたで腹パンされてお腹痛いのじゃ~!」


 ヤバイ!人生の不幸ランキングトップ3の内、二つが私関連だ?!そんなバカな!!と言うか千年の封印とその二つ並べるなよ!もっとあるでしょ!!


『シルフィン:いや、魔王何て呼ばれる位になったんだから、意外に挫折とか無かったんじゃ』


 マジか?そう言われるとそんな気がする。


 そんな魔王の泣き言を延々聞かされていると、やっと魔王が落ち着いて話せる位にまで回復してきた。


「それで白いの?我をどうする積りじゃ」


 ふむ、どうする・・・か、正直何も考えて無いんだよね?


「幾つか質問がある」


「ふん、我は腐っても魔王じゃぞ。誰が小娘の言う事な・・・ど・・・分かった何でも聞くといいのじゃ」


 魔王が喋ってる途中私は偶然、たまたま、何となくボクシングのシャドーをしつつ、これまた何となく、ボディーをアッパー気味に抉る練習をすると、何故だか知らないけど魔王が大量の冷や汗を垂らしながらそんな事を素直に申し出て来る。


 これも人徳の成せる業だね。


『約全員:それ只の脅しだから!!』


 偶然なのに失敬な!!


「いや、今のはどう見ても・・・」


「しっ、ダメだよエレオノ!巻き込まれるかな」


「そうですよ。ここはご主人様に任せないと」


「関わるととばっちりが来る・・・ゴブ」


 君達の私に対する評価!!


「まずひとつ目あんたは過去に何をしたの?」


「ハクア?なに言ってるの?」


「そうだよハクア。そんなの図書館の本に書いて有った筈だし、誰でも知っているかな」


『シルフィン:私も興味有りますね』


 あんたも知らないの?


『シルフィン:ええ、昔は今ほどシステムが整っていなかったので大まかにしか知らないんですよ。まぁ貴女に分かりやすく言うと、歴史の年表は知っているけど実際は分からないと言った所ですね』


 なるほど。


「我は何もしてないのじゃ!我は最初から強い力を持っていたから疎まれていたのじゃ。だから魔族領を出て各地の迫害されていたはぐれ者を集め、誰も居らんかったここに来たのに、暫くすると人間どもが我達の事を殺しに来たのじゃ」


「そんな」「うそ・・・でしょ」


「なるほどね。それを撃退して防衛を増やすために死者を死霊魔法で使役する。それで更に人間や他の種族が攻めてくる。その繰り返しで魔王と呼ばれる様になったのか」


「うむ、最初は本当に静かに暮らしていたのじゃ。それでも、攻められ耐える度に仲間は殺され、我は仲間と離れたく無くて死霊魔法で・・・」


「分かった。次、何でフードを被って言葉使いも変えてたの?」


「それは・・・・昔、最初の頃にそんな口調じゃ舐められると言われて、皆で考えたんじゃ。何回か変えてる内に我もこれが普通になったけど、まぁ最初お主らに言ってたのは魔王モードじゃな!フードはこれも女だと舐められると言われてじゃ」


「まぁ確かに、そのロリ姿だとね」


「失敬な!我は元はもっといい感じの身体だったんじゃ」


「あ~、うん、そうだね」


「信用しとらんじゃろ!!」


「さて、最後の質問。復讐したい?それとこれから何したい?」


「ハクアそれってどう言うことかな」


「ご主人様?」


「復讐はどうでも良いのじゃ」


「そうなの?」


「うむ、我達の敵は全て殺した。我を封じた勇者ももう居ない。守ろうとした仲間も・・・な。それなのに復讐をこの時代の人間にするのは意味が無いじゃろ?」


「確かにね」


「しかし、これからしたい事か・・・最後に仲間とした約束なら有る」


「何?」


「それは・・・・」


 その瞬間、魔王は私の結界の拘束を抜け出し私に襲い掛かる。私は予め予期していた行動なので素早く後ろに飛び距離を取る。


「ご主人様」


「大丈夫。それで、約束って?」


「うむ、我が我らしく生きる事じゃ。と、言う訳でお主を殺して部下にするのじゃ」


「何ともまぁ、分かりやすい」


「ふふん、白いの!腹パンの礼をしてくれるのじゃ!!」


 私は会話をしながらスキル【魔獣調教】を発動する。


▶【魔獣調教】をグールに使用しました。


「ふん、我は魔王だぞ!テイミング等・・・って、あれ?グール?」


▶グールの××××××が、貴方をマスターと認めませんでした。
弱らせる事でテイミング可能です。


 システムがそう告げた瞬間、私達の足元に魔方陣が浮かび上がる。


「我、魔王だぞ!何でグール?進化前に戻ってるのじゃ?」


「力漏れすぎて退化したんじゃない?」


「そんなんあり!?」


『シルフィン:実際オリジナルの封印ですからね?副作用は有るかも』


「しかも、弱体化してるのも忘れてるでしょ?」


「あぁ~、そ、そうだった!ま、待つのじゃ白いの!腹パンは・・・ズドムッ!ミギャ」


▶グールの××××が、貴方に服従を認めました。
スキル成功です。


「きゅ~、な、何で腹パンばかり、お主我のお腹に何か恨みでもあるのか?」


 いや、勿論無いですよ?


「無い」


「うう~、だったらせめて腹パン以外が良かったのじゃ~!」


「うわっ、魔王をテイムしちゃった」


「もう、何が何だか分からないかな」


「ご主人様流石です」


「それ今言うセリフ違うゴブ」


「「確かに」」


 何か外野が騒がしい?


「さて、今からあんたは私の何だけど・・・どうしよっか?」


「ノープラン?!せめて目的を持って行動するのじゃ」


「う~ん、何か良いこと有る?」


「なんじゃ!その言い草は・・・有る、有りますのじゃ」


 私が再びシャドーを始めると敬語に変わる元魔王。


〈既に調教完了しているのでは・・・〉


 私は何もしてないよ?


 ヘルさんと話をしていると魔王は洞窟の端に走って一枚の絵を持ってきた。


 なにコレ?


「これは、封印前の一番我が凄かった時に仲間が描いてくれた我の絵じゃ!」


 そこに描かれていたのは黒髪黒目の超絶美人の絵だった。


 おお~!これはなかなか!


「我が進化していけばその内この姿になるのじゃ」


 魔王は今はまだ何も無い胸を張って宣言する。


 全くこんな事で私が懐柔されるとでも思っているのかね?この元魔王は全く!!


「採用!!!」「うむ」


「ご主人様・・・・・・」


「冗談冗談」「ご、ごめんなさいなのじゃ」


 やだな!本気で言う訳無いじゃん!!しかも何で魔王も謝ってるの?


 私達は二人で大量の冷や汗を垂らしながら再び話を続ける。


「白いの、お主の事は主様で良いじゃろ?」


「うん、良いよ」


「して、主様よ。主様は何なんじゃ?」


 う~ん、何で皆コレ聞くかな?私そんな変?


「えっ?もしかして自覚なかムグ・・・」


「「エレオノ」」「し~」


 エレオノが何か言い掛け皆に拘束される。


 何してるの?


「私は転生者で元ミニゴブリンだよ」


「なっ!ゴブリン・・・しかもその中の劣等種のミニゴブリン・・・・」


 うわ、何か傷付くわ~、その反応。


「我、魔王なのに、魔王なのに、ぐすっ!」


 ガチ凹みだ!しかもまた泣いた!?


「ぐすっ!それで主様はモンスターなんじゃろ?」


「そうだけど?」


「主様は人間達や魔族とどっちの味方なのじゃ?見た所もう一人モンスターが居て、エルフ、ドワーフ、それに吸血鬼、いやダンピールか?随分色んな種族が居るが?」


「私は誰の味方でも無いよ?今は魔族に狙われてるけど、実際その内人間にも狙われたりするだろうしね?もしかしたら勇者共とはあんまり考えたく無いな~」


「・・・ハクアは何処に向かってるの?」


「いや、そもそも私はモンスターだし」


「そう言えばそうだったかな」


「ここのギルド長とか仲良くする気無いし」


「それは確かにそうですね」


「あの禿げ未満何てもしかしたら、その内私の事殺そうとでもするんじゃない?」


「おねちゃん挑発するから」


「くはははは、主様もその仲間も面白いのじゃ!ふむ、我もこれからよろしくなのじゃ!」


「こちらこそよろしくお願いします」


「よろしく」


「よろしくかな」


「よろ」


 こうして私は魔王少女をゲットした。

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