ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

この世界私に厳しすぎるでしょ

「何なんだ?何なんだよあれは?!」


「うるせぇ!叫んでる暇が有るならモンスターをぶっ殺せ!」


「やってんだろぉがよ!テメェこそもっと動きやがれ!」


「何だとテメェ!」


「やめろ!言い争う時間さえ惜しい一匹でも多くぶっ殺せ!」


 クソ!何でこうなった!
 少し前まで俺らが優勢だった筈なのに、奴ら何も無い所に魔法を撃ったと思ったらタイミングよくモンスターが湧きやがる。


「おい、どうなってンだよ!何であいつらが魔法使うとそこにモンスターが出てくんだよ!何かのイカサマか?!」


「俺が知るか!クソ!クソ!奴らどんなイカサマ使ってやがる。
兎に角、今は一匹でも多くぶっ殺せ!」


「ふざけんな!さっきからそればっかじゃねぇか!」


「それ以外に何言えって言うんだ!あんなイカサマ相手に!」


 クソ!何処で計画が狂った?何を間違えた?あいつらさえ、あいつらさえ居なければこんな事には・・・・・!?


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
 うわ~、またすっごい睨まれてるな~、まだプライド残ってるのかね?


 〈残ってると思いますよ〉


 だよね。


「やった。ハクア私達が1位だよ!」


「やりましたねご主人様!流石です!」


「作戦勝ちゴブ」


「でも、まだまだ油断大敵かな」


「うん、気を引き閉めて行こう」


「「「「了解」」」」


「でも、あいつらまだ諦めないんだね?」


「そうですね。あんな卑怯な手を考える人達だから劣勢になったら簡単に諦めると思いました」


「まぁ、諦めないと思うよ」


「何でかな?」


「あいつらは、卑怯な手を使ったとは考えてないから」


「どう言う事?」


「あいつらにとっては卑怯な手じゃなくて只の努力何だよ。だから反省しないし、悪いとも思わないから諦める理由にもならない。むしろそれを暴きたて、糾弾するギルドや私達は、努力してる自分達を責める只の悪者だと思ってる」


「なにそれ?自分勝手にも程がある!」


「それが私達とあいつらの違いだよ。それにさ人間なんてそんなもんだよ?一つの方向から見ればアレだってルールの隙を突いた作戦と取れなくも無い。自分達の努力を踏み躙る私達を倒す、このモチベーションが有る限りあいつらは諦める事は無い、まぁこんな奴らだからこっちも容赦する気無いけどね」


「そっか、難しくてよく分からなかったけど分かった。あいつらには負けたくない!だから勝とうねハクア!」


「うん、それだけ分かれば良いよ。頑張ろう皆」


 私がそう言って皆を見ると首肯き返し討伐に戻る。
 しかしまだ動かないのか~、ヘルさんはどう思う?


〈判断材料は少ないですが恐らくはマスターの考えている通りかと〉


 う~ん、問題はあれが何なのかだよね?


〈はい、動機が分かれば行動も分かるのですが〉


 まぁ、今は気にしてもしょうがないから試合に集中かな。


〈はい、それがいいと思います〉


 私はヘルさんの同意を得て再び得点を引き離す為、指示を出し始めた。


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「クソ!何であいつらは動かねぇんだよ、リーダー!」


「そんなもん、俺が知るか!」


 クソ!約束が違うじゃねぇか!


 まさか!俺はあの時騙されたのか?


 三位のパーティーであるチームアキラは本当の所俺達の仲間だった。正確に言えば俺達の噂を聞いて仲間に成りたいと言ってきたのだ。だから俺はあいつらを利用する為に仲間に引き入れた筈だった。


 あいつらを入れた理由は簡単に言えば決勝で俺達の支援をさせる為だ。


 前回の大会で俺達がひとつのチームにスコアを集中しているのが露見した。だからこそ、今回の大会で俺達の仲間に成りたいと言ってきたこいつは、決勝戦でも疑われる事も無く支援や妨害が出来ると思った。


 それがチームアキラを引き入れた本当の理由だ。


 祭りが始まってあのガキ共が現れる迄、チームアキラは俺の言う事をよく聞く扱いやすい手駒だったが、奴らが二位に浮上してきた次の日から、こいつらはいきなり言う事を聞かなくなった。


挙げ句決勝戦ではこの様だ。


 クソ!何がどうなってる!どいつもこいつも馬鹿にしやがって!!


「おい、アキラいい加減にしろよテメェ!テメェらが仲間に成りたいって言うから、こっちはわざわざ迎えてやったんだぞ!」


 俺は対に我慢できずアキラに詰め寄るしかし。


「五月蠅い黙れ」


「何だとぉ!」


「黙れと言ったのが聞こえなかったか」


「ふざけんな!高々Eクラスの癖に誰のお陰で今ここに居れると思ってンだ!」


 そうだ、こいつらが計画通り動いていればここまで苦しまずに勝てた筈だ。


「頃合いか」


「はい、彼女の実力は大体把握しました」


「もぉ良いだろ!やろうぜ!もぉ我慢できねぇよ」


「黙りなさいグロス!ガダル様に何と言う口を聞くの!」


「うるせぇなカーチスカ、俺はガダル様に聞いてンだよ!」


「良いカーチスカ、グロスそんなにやりたいのか?」


「クはは、ガダル様にもわかってンだろ?あいつ確かにステータスは弱ぇけど、それを補うくれぇスキルの扱いがうめェゼ!それにありゃあ戦いなれてやがる。あれならグルドにまぐれでも勝てたのは分からなくもないぜ!」


「カーチスカも同じ意見か?」


「はぁ、グロスごときと同じ意見と言うのは遺憾ですが、概ねは・・・」


「おい、カーチスカ俺ごときたぁどういう意味だ!」


「概ねとはどういう事だ」


「報告によるとグルドを打倒した時は、多数の冒険者の力もあったとの事、彼女達の実力だけではありません。しかし同時に今は相応に力を付けてきています。これから先我らの障害になるやも知れません」


「ふっ、そうか」


「おいこら、何を無視してンだ!」


 何なんだこいつら?行きなり俺を無視して変な話を始めやがって、お前らもかお前らも俺をバカにするのか?!
 俺は苛立ち何故か仲間からガダルと呼ばれていたアキラに手を伸ばし掴み掛かろうとする。


 ゾンッ!


「人間ごときがガダル様に触れられると思うな!」


 俺の手がアキラに触れる瞬間、カーチスカと呼ばれていた女が叫びながらそう言った。
   
 ボトッ!


「あっ?」


 気が付くと俺の腕から先が無くなり、いつの間にか地面へと落ちていた。


「あっ、アァぁぁガァぁいあ!う、腕がオでの腕がぁぁあ!」


「ふん、こんな物」


 女はそう言って俺の落ちた腕を魔法で消炭にする。


「あぁぁあ、腕が俺の腕がぁぁぁああ!」


「な、何してやがる!」


 腕が切り落とされ俺が痛みに叫んでいると、俺のパーティーの奴らが気が付きアキラのパーティーへと斬りかかる。


「この、死ね!」


 俺のパーティーは五人で前衛が4人、後衛の死霊術師が1人のパーティーだ。俺がやられた事で三人になったがEランク如きに倒せる奴等では無い。


 俺はそう思い自分の腕を切り落とし消炭にしてくれた女が、無惨に殺られる所を見る。筈だった。


「お前ぇらの様な雑魚に興味ネェンだよ!」


 グロスと呼ばれていた男が何処から出したのか、身の丈程も有る大剣を何処からか取りだし目にも止まらぬ早さで降り下ろす。


 ドガァアァ!


 俺が見たのはその大剣が降り下ろされた事で起こった結果だった。俺の仲間だった奴らの足はひしゃげ、腕が吹き飛び、胴は潰され、何が起こったのかも分からずに驚愕のまま目を見開き死んでいく仲間の姿。


「イギァァアガアナ!」


 その内の一人、一緒に斬りかかったが運悪く死ぬ事が出来なかった奴は、ひしゃげた足を吹き飛ばされて、もう存在しない腕で必死に掴もうとするが。


「チッ、まだ生きてやがるか。しぶてぇ虫だなぁ。よっと」


 ブンッ!


 そう軽い調子で大剣を降り下ろす。


 ブジヂァッ!


 降り下ろす大剣の先にはかつて仲間だった筈の肉片と血がばら蒔かれる。


「う、うぁぁぁあ!」


 それを見て固まっていた。死霊術師が我にかえりスケルトンを呼び出した。


「邪魔よ?」


 ズザザン!


 しかし、女が一言呟くと死霊術師が呼び出した筈のスケルトンは一斉に死霊術師に向き直り、手に持つ剣を死霊術師に突き刺し始める。


「イギァァァガァ!な、なンでおでが、ごうげき、ざれて」


「そのまま殺しなさい」


「や、ヤベデ、じにだぐなぁ・・・ギャァァァ」


 ザンッ!グチャ!ブチュ!


 死霊術師は最後にそう言い残し自分で呼び出したスケルトンにバラバラに分解されていく。


「あ、ああぁぁぁあぁあ」


「次は貴方ね?ガダル様に触れようとした事を後悔なさい」


 女がそう言って俺に手をかざすと俺の体の中が急激に熱を帯び、血が沸騰しそのまま肌まで沸騰して全身が泡立ち始める。


「イギァガァ!熱い、苦しいダズゲテ、イヤだ、じにだぐなぁイ、ダレガだず・・・」


 ブチャッ!


 その音を最後に俺の体の至る所が弾け飛び俺の意識は朦朧とする。


「さあ、ごみ掃除は終わった次は貴様だ」


 最後にそんな声が聞こえ俺の意識は消え去った。


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 クソ!間に合わなかった。別に絶対助けたかった訳では無いけど目の前でこんな死に方されるのは目覚めが悪い。


「さあ、ごみ掃除は終わった次は貴様だ」


 私の目の前で冒険者の男を殺し目の前の奴がそう言い放つ。
 ねえ、絶対強制死亡イベント有るでしょ?


『シルフィン:だから違いますって』


 スケルトン祭り決勝戦の最後に死亡イベントとしか思えない物が始まった。
 この世界私に厳しすぎるでしょ。

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