ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

消化してからは反則だ!

 ボコッ


 私が罠に掛かった獲物を仕留めると声が聞こえた。


 ▶ゴブ子のレベルが2になりました。
 HPが70に上がりました。
 MPが35に上がりました。
 物攻が4に上がりました。
 物防が4に上がりました。
 魔攻が5上がりました。
 魔防が5に上がりました。
 敏捷が10に上がりました。
 知恵が105に上がりました。
 器用が55に上がりました。
 スキル【野生LV.1】習得しました。
 スキル【罠師LV.1】習得しました。
 スキル【言語LV.1】習得しました。
 スキルポイントを5獲得しました。


 スキル確認から数時間、狩りを続けてレベルが上がりました!


 ただ1つ言いたい!RPGか‼何このゲームみたいな仕様、あの駄女神共どんだけ気合い入れてふざけた世界作ったの!?


〈お怒りの理由は解らないでも無いですが。取り敢えず習得したスキルの説明に入りたいと思います〉


 流された!?くっ、流石クールビューティー風、宜しくお願いします‼


〈分かりました。それでは先ず【野生】ですが。これは、動物やモンスターを狩る事で熟練度を上げられます。効果は気配や罠の有無などに気が付くようになります〉


 おっ、便利!レベルが上がればよりはっきりと分かるような感じだね!


 〈その通りです。次の【罠師】は、罠を仕掛ける事で熟練度を上げられるようです。効果は罠を仕掛ける際の効率上昇、不発確率軽減、罠の隠蔽率上昇です〉


 これも地味に便利だな。穴掘ったりするの結構時間掛かるし不発しなくなるのも嬉しい。それに隠蔽率上昇って事は獲物がかかりやすいって事でもあるしね。


 〈そうですね。【言語】は魔物専用スキルですね。元々喋れない生物が喋れる様になった時発現するようです〉


 へぇー、じゃあ他のゴブリンもレベルが上がれば喋れるようになったりするのかな?


 〈いえ、習得には知恵のパラメータが必要なのであの巣の中ではゴブゑくらいしか今のところ可能性は無さそうです〉


 そうか、別に良いけどね。でもゴブゑとは話してみたいかも?よし、せっかくだから喋ってみよう!


「……あ…い…うぅ…え……お」


 何か凄く疲れるんだけど何これ?


 〈レベルが低いからですね。レベルが上がってくれば普通に喋れるようになります〉


 まあ、別に私喋るの苦手だから良いんだけどね。


 レベルが上がって予想外にスキルが増えたのに喜びつつ。今日捕れた獲物を持って巣へと帰る。途中、昨日の夜に食事として出てきた木の実を発見。意外に美味しかったし大量になっているので、お腹が空いていたのもあり摘まんで食べる。


 ゴブゑは食べないのかな?


「ギギ」


 食べないの?と、言うニュアンスを込めて木の実を差し出すが首を振っている。


 結構美味しいのに?まぁいいか。うん、この舌にピリッと来るのがいい感じ。そう思いながらパクついていると。


 ▶スキル【マヒ耐性LV.1】習得しました。


 はぁっ?


〈どうやらその木の実、弱いですが食べるとマヒするようですね。調べて見たところ苦い筈なのですが苦くなかったですか?〉


 いや、むしろ少し甘いくらいでしたから‼ハッ、まさかこれが【喰吸】の何でも美味しく食べる効果?


 〈恐らくそうでしょう〉


 ウゥ、確かに耐性が増えるのは嬉しいけど!まさか、初日から毒食わされていたとは‼ゴブリンこわい‼


 〈因みに果物の方には弱毒が入っていたようです〉


 本当に毒しか食べていなかった!


 などという事実を知り私はブルーになりながら巣へと帰るのであった。


「ギギ!ギー!」


 巣へ帰り私とゴブゑの寝床に帰ると。またゴブゑが抱き付いてきた。いきなりだとやっぱりちょっと恐い。


 〈いい加減慣れてください。見ているこちらが少し可哀想になってきます〉


 また怒られてしまった。


 けど、私自身もそうだけどメスのゴブリンは普通のゴブリンと違って人間みたいに髪が生えてるのに、顔だけ物語とかで醜悪とか言われてるゴブリン顔だから普通より違和感が半端無いんだよ!


〈言っていることは分かりますが。慣れるように努力してあげて下さい。マスターと同じで進化出来なければ寿命で死んでしまうんですから〉


 そう、ゴブゑって私と同じ状況でしかも少し早く産まれてるんだよね。


 あれ?そういえばゴブリンのメスって皆私達と似た境遇何だよね?


〈はい、そうですがそれがどうかしましたか?〉


 いや?狩りしてわかったけどたとえ状況が少し変わっても進化なんてほとんど絶望的なんじゃない?他のメスゴブリンってどれくらいの確率で進化出来るの?


〈………………〉


 あれ?ヘルさん?


〈……マスターそれを聞いてしまいますか?〉


 えっ、何この返し何か怖いんですけど!でも、今後の為には聞いておかないとなんだよね。


〈分かりました。マスターがそこまでおっしゃるなら答えましょう。メスゴブリンが進化出来るのは全体の1%です〉


 うわ、思った以上に低い!


〈しかも、何故か進化したメスゴブリンは同じ巣にいるゴブリンに殺されてしまうので、今のアースガルドに進化した個体は居ません〉


 何で?何で進化したら同じ巣のゴブリンに殺されるの?


〈それが分からないのです。こればかりは女神様ですら理由が分かりません〉


 それじゃぁ、ヘルさんが分からないのも無理ないね。何せ、自称神である駄女神ですら分からないんだから。


〈お役に立てず申し訳ありません〉


 ううん、充分役に立ったよ。やっぱり私は早い段階で、このゴブリンの巣から逃げ出さないといけないって事がわかっただけでも収穫だよ‼


〈私もそれには賛成です。でも、その為には色々準備をしないと多勢に無勢で直ぐに捕まってしまいます〉


 まあ、その時の為に普段から少しずつ用意をしないとね?


〈ええ、微力ながら協力します〉


 ヘルさんとそんな話をしていると食事係の奴隷が私達のご飯を運んでくる。


「ギギ?ギー♪」


 ゴブゑが肉の入ったスープを見て喜んでる。


 流石に15匹も捕まえてきただけあって私達にもお肉が回って来たようだ。因みにヘルさん、これうさぎの肉だよね?


〈ここまで細かいと流石に【鑑定士】のスキルでも分からないようですね〉


 まぁいいか、他に肉なんて無いしね!どうせここで生きる為には例えモンスターの肉でも食べなきゃなんだし。いただきまーす。


 こうして私達は産まれて初めての肉に舌鼓をうった。そして2時間程たった頃・・・・。


 ▶【喰吸】のスキルが発動しました。
【弓のコツLV.1】を習得しました。
【風魔法のコツLV.1】を習得しました。


 ………はぁっ!?どうしてこんなスキルが上がるの?心当たりなんてさっきの肉しか?


 そこまで思って私は肉の正体に気が付いた。それと同時に意識が遠退き目の前が暗くなる中私は消化してからは反則だっ!!と、心の中で叫びながら前世も含めて産まれて初めて食事で気を失ったのだった。
 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 あれから7日。


 産まれてから10日経ち、今のところ人生の3分の1の時間が過ぎ去った。


 物理的なお袋の味を味わった事で食事に対する忌避感は大分薄まり、今では最初に出されたマヒの実も毒の果物も耐性を上げるついでにおやつ代わりとして食べている。


 〈7日間食べていましたから大分耐性が上がりましたね〉


 そう、この7日で私のスキルは大分上がったんだけどどれくらい上がったんだっけ?


〈今上がったスキルを表示します〉


【喰吸LV.1→LV.2】【鑑定士LV.1→LV.2】
【魔物調教LV.1→LV.3】【野生LV.1→LV.2】
【罠師LV.1→LV.3】【マヒ耐性LV.1→LV.3】
【毒耐性LV.1→LV.2】【言語LV.1→LV.2】


 う~ん、自分でやったとはいえ本当に結構上がってるな。


 因みに新しいスキルの【弓のコツ】【風魔法のコツ】は、レベルに応じて命中率と威力に補正がかかるスキルらしい。


〈レベルも3になった事でステータスが少し上がりましたね〉


   名前:白亜改めゴブ子
 レベル:2→3
   性別:女
   年齢:10日
   種族:ミニゴブリン
   HP:70→90
   MP:35→45
   物攻:4→6
   物防:4→6
   魔攻:5→8
   魔防:5→8
   敏捷:10→13
   知恵:105→110
   器用:55→65
    運 :20→20
   
   名前:ゴブゑ
 レベル:2→3
   性別:女
   年齢:11日
   種族:ミニゴブリン
   HP:60→70
   MP:80→100
   物攻:2 →3
   物防:1 →2
   魔攻:10→15
   魔防:10→15
   敏捷:5 →8
   知恵:50→60
   器用:30→40
    運 :10→15
 スキル:【風魔法LV.1】【言語理解LV.1(新)】


 うん、私もだけどゴブゑもかなり上がったね。でも、もうこれ魔法1択のステータスだよね絶対‼しかも、スキルも増えてるし!


〈この【言語理解】は恐らくマスターの【言語】の熟練度上げを聞いていた、お陰でしょう〉


 ああ、なるほど!でも、このままのペースだとやっぱり寿命までに間に合いそうに無いね。


〈合間を見て準備を進めていますけど、相手の規模とこちらの戦力を考えると、実行に移すまで最低でも後10日は欲しいところですね〉


 うん、そんなところだね。何せ実行の時にはゴブゑにも手伝ってもらう予定だけど準備は私一人だからね。やっぱり時間が掛かるよ。でも、ゴブリン達の動きによってはこっちも行動に移さなくちゃだからなるべく静かに素早くやろう。


〈了解です。こちらも少しずつ調べておきます〉


 この1週間で大分色々な事も分かった。


 先ず、私達のいるゴブリンの巣にはリーダー格のホブゴブリンが1体、ゴブリンソルジャーが3体、普通のゴブリンが6体いるらしい。他にはコボルトという犬のような種族の奴隷が1体いるらしいのだが。


 ヘルさん曰くこれはいざとなれば逃げ出すから心配は要らないらしい。


 〈私のスキルが役立って良かったです〉


 そう、この情報は全てヘルさんのスキル【俯瞰LV.1】のお蔭だった。実は私がレベル3になった時、ヘルさんのこの【俯瞰】スキルが増えたらしい。


 これは私を中心に上から覗き込むように全体を見る事ができるスキルなんだそうだ。


 〈それでも油断は出来ません〉


 そうなんだよね。


 数でも圧倒的に負けているのにその上1回進化したのが3匹、二回進化したのが1匹いる。


 これは相当策を練らなければ、ワンサイドゲームになるよね?なにか状況をかせる要素があれば良いんだけど、そんな物そんな簡単に出てこないしな~。 


 ゴブ子寿命まで後20日

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