異世界転生(仮題)

ノアール

冒険者ギルド

冒険者ギルドについた。

ギルドの中はイメージより綺麗だった。何は酒場が併設されており、食事もできるようでちらほら食事中の人も見かける。

奥には受付カウンターと依頼を貼るボードがあるが、依頼の方は朝がピークなのか数枚ほどしか依頼書は残っていない。

冒険者というのは荒くれ者のイメージが少なからずあったのと、ナビにもテンプレの話を聞いていたのでこの光景に戸惑いを覚えた。

『何ですかこのほのぼのとした光景は!?』

「うおっ?!」

突然のことにびっくりして声が出てしまった。幸い人が少なかったので、気づかれなかったが。

『いきなり大きな声を出すなよ。びっくりして声が出ちゃったじゃないか。ちょっと落ち着けって』

『これが落ち着いていられますか!本当だったらマスターがギルドに入ってきた瞬間、不躾な視線を浴びせられ受付で登録しようとすると、ガタイがよくガラの悪い冒険者たちに、‘ぎゃははは、オメェみてぇな弱っちぃガキが冒険者なんて笑わせるぜ!とっとと帰ってママのおっぱいでも吸ってな!’って絡まれて、それを無視したマスターに逆ギレした冒険者が因縁つけて殴りかかってくるが、返り討ちに合うっていうワクワクドキドキの展開を裏切られたんですよ!』

『何でそんなに具体的なの!?しかもその例えのどこにワクワクドキドキの展開があるんだよ!……はぁ、とりあえず買い取り終わらせるから』

めっちゃ疲れた。

買い取りカウンターの受付に行く。

「魔物の素材の買い取りお願いします」

「身分証を提示してください。…確認しました。ではこちらの台に素材をおいてください」

支持された台は確かに受付のカウンターより大きいがまもの素材を奥には全然大きさが足りなかった。

「あの、たくさんあるのでここだと出せないのですが…」

「え、でも何も持っているようには見えないのですが……ああ、失礼いたしました。アイテムボックスをお持ちでしたか」

「いえ、収納魔法が使えるんです」

「珍しいですね。でしたら裏の解体場に行きましょうか」

ギルドに裏の解体場に案内される。

「おう!ロンナ、解体場になんか用か?」

解体場に入ると、筋骨隆々のヒゲを生やしたおっさんがこちらに話しかけてきた。

「あ、バンズさん。こちらのテルさんが魔物の素材を売りにきたのですが、量があるそうなのでこちらに来ていただきました」

「何だ、アイテムボックス持ちか?」

「いえ、収納魔法が使えるそうです」

「そいつは珍しいな。俺はバンズってんだ。よろしくな!」

「俺はテル・ウィスタリアっていいます」

バンズと呼ばれるおっさんと握手する。

「素材はどこに出したらいいですか?」

「この場所に出してもらって大丈夫だ」

言われた通り、収納魔法から魔物の素材を出していく。

出すのは樹海で出会ったゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンヒーラー、ゴブリンナイト、ゴブリンジェネラル、ゴブリンキング、オーガ、キャンディッドモンキー、ハーピー、変態ゴリラ、最後に唯一迷宮産のブラックオーガを出した。種類はこのくらいだが、数が100を超えていた。

「「………」」

2人とも口が開きっぱなしの間抜けズラの状態で静止している。

ある程度予想していたが、予想通りだったようで苦笑する。

「………な、何じゃこの量は」

数分が経ち、最初に復活したのはバンズさんだった。

「ゴブリンにゴブリンの上位種、オーガにこいつらは【常闇の樹海】のモンスターたちか?それに最後のこいつは……オーガみたいだがこんな皮膚の色をしたオーガは見たことがないぞ」

あまりの量と未知の魔物があるせいか、バンズさんはかなり興奮しているようだ。

「それで値段はどのくらいになりそうなんですか?」

「え、ああ、こんなに量があると査定に時間がかかっちまう。それにこのくらいオーガについては少し調べる時間を欲しい」

「構いません。査定はいつ終わるかわかりますか?」

「明日には終わらせる。だから明日また来てくれ」

「わかりました」

とりあえず必要のない魔物の素材は売れたし、良しとするか。

なんとなく気軽な気持ちで出した、黒いオーガのせいで厄介ごとに巻き込まれるとはこの時は微塵も想像していなかった。

◆ ◇ ◆ ◇
side.バンズ

テルが解体場を後にするのを見送った後、バンズは解体場の奥にいる部下に声をかけた。

「おい、手の空いたやつからここの素材を奥に運んでくれ!」

「了解っす!」

「それにしてもすげぇなこの量は」

先ほどの少年が置いていった魔物を見て嘆息まじりに呟いた。

実際、ゴブリンの群れを討伐してくる冒険者パーティー(・・・・・・・・)はたまにいるが、キングまで倒せる奴はそうそういない。これだけのゴブリンの群れと他の魔物を見る限り恐らく、樹海の魔物たちだろう。ただ樹海の魔物たちは普通の魔物よりも強いく、Aランク以上の冒険者ですら命を落とすことが多い危険な場所だ。だからこの魔物たちを持ってきたのが、あんな少年だとは信じられなかった。

「なぁロンナ、テルなんて冒険者聞いたことがないんだが、そんな冒険者聞いたことあるか?」

隣にいた受付嬢に問いかける。

「え、ええーと…あのですね」

ロンナの口ごもる様子にバンズは訝しむ。

「なんだ、はっきり言えよ」

「…テルさんは冒険者ではなく、商人なんです」

「はぁーっ?!」

耳を疑った。

これだけの魔物を買ったやつが冒険者ではなく商人なんて自分の耳がおかしくなったかと思った。

「ほ、ほんとうなのか?」

「はい。間違いなく身分証に商人と書かれていました」

「………」

もう何も言う気が起きなかった。

信じられないことが立て続けに起こったせいで疲れたバンズは、思考を放棄した。

「…とりあえず、査定に取り掛かるか」

「そうですね」

ロンナは受付に戻っていった。

会話をしている間に部下たちが奥に運んで解体、査定していて、最初より1/3が減っていた。

「この明らかにヤバそうなオーガは何なんだ」

長年この仕事をしているが、黒い皮膚をしたオーガなんて聞いたことも見たこともなかった。だが、他のオーガより体格は一回り大きく、皮膚も硬いみたいだ。

「解体用のナイフが折れそうだ」

慎重に解体していき、胸部の魔石を探す。

「お、見つけた。ん?………ッ!」

魔石を見つけ、取り出したが普通の魔石と違い黒く濁っていた。

バンズの中で1つの仮説が浮かぶと同時に解体場を飛び出した。素材を腐らせないためにかける保存の魔法をかけるのも忘れて。

バンッ!

「ど、どうしましたバンズさん?」

「今すぐギルドマスターを呼んでくれ!……迷宮の魔物が討伐されたと」

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コメント

  • 時龍クロノス

    2度もって…1度は、シアなのは分かるんだが…もう1度が分からないんだがw

    0
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