異世界転生(仮題)

ノアール

公爵家当主

2人と別れた後、ロランさんに連れられて応接室に向かっていた。
屋敷の中はシャンデリアや壺、絵画など、価値がたかそうな品が飾ってあったが、決して派手ではなく、落ち着いた雰囲気があった。

「ロランさん、ここの装飾品はご当主の趣味ですか?」

「はい、飾られている壺や絵画、屋敷の雰囲気などはほとんど旦那様の趣味です。
…もう少し華美な印象を持たれてましたか?」

「そう、ですね。失礼ながら貴族の方々は、派手な暮らしをしている印象だったので驚きました」

「旦那様と奥様は、あまり華美な装飾は落ち着かなくて好ましくないそうです。ですが、テル様の印象もあながち間違いではないかと。一部の貴族の方々は税金を自分のものと思い込み権力に物言わせ、贅沢三昧している方もいらっしゃいますしね」

「なかなか辛辣ですね」

「私としたことが出すぎたようで、このことは聞かなかったことに」

『探られてますね』

『みたいだね』

素性の知らない旅人が何十人もの盗賊を倒して、公爵家の娘を助けたなんてありえないからな。どこかの貴族の子息と考えるのが普通か。

● ○ ● ○

それからロランさんと他愛もない会話をしながら応接室に向かった。

「ここが応接室でございます。旦那様がいらっしゃるまで少しかかりますので、紅茶をお持ちいたします」

「ありがとうございます」

少ししてロランさんが紅茶を持ってきて淹れてくれた。

「どうぞ」

「…おいしい。スッキリとした甘さがすごく好きです」

「お口にあってよかったです。おかわりはいかがですか?」

「お願いします」

紅茶のお代わりをもらっていると、応接室の扉が開いた。

「待たせてすまないね。君が娘とミッシェルを助けてくれた旅人だね」

「はい、テル・ウィスタリアと言います」

「そうか、私は公爵家当主、グラン・ノア・レイルリットだ。グランと呼んでくれ。2人を助けてくれて感謝する、ありがとう。大事な家族を失うとこだった」

そう言いながら、頭を下げた。

「いえ、他の方にも言ったんですが、助けることができたのは偶然です。それに、自分は平民なんですから公爵家当主様が簡単に頭を下げないでください」

「いや、身分など関係ない。これは親として当然のことだ」

「…わかりました」

「うむ、して、ことの詳細を聞きたいのだが…」

「失礼します、お父様。お待たせいたしました」

「…入れ」

着替えに向かったアリスとミッシェルが応接室に入ってきた。
アリスは、まえの服装より少し豪華になり、ミッシェルも剣だけは帯刀していたが鎧などは外していた。

「娘もきたことだし、盗賊に襲われたという件について詳しく教えてくれ」

「それについては、私からお話しします」

そうアリスは言って、森で盗賊に襲われたところからいまに至るまでの経緯を話していった。

「……そうか。はぁ、まさか護衛につけていた騎士が裏切るとはな。まぁいい、とりあえず2人とも無事でよかった」

「テルさんがいなければ私たちは、ここにはいなかったでしょう」

「そうだな、テル、君には何かお礼をしたい。何か欲しいものはないか?」

「欲しいものですか……でしたら少しの資金をいただけないでしょうか?」

「わかった、ロラン」

「かしこまりました」

ロランさんが一旦応接室を出て、お金が入ってるであろう袋を持ってくる。

あれ?少しの資金って言ったんだけど、明らかに少しの量を超えているよね。

「娘を助けてくれたことと、道中の護衛に対するお礼だ」

「あの、ちなみにいくらでしょうか?」

「白金貨に20枚だ」

「!?」

「む、少なかったか?ならば…」

「いえいえ、十分過ぎます!俺、少しって言いましたよね?!」

「娘を助けもらったんだ、本当ならそれでも足りないくらいなんだ。だからどうか受け取ってくれ」

「…わかりました」

● ● ○ ○

「そういえばお父様、お土産があるんです」

「お土産?」

「はい、これを見てください」

アリスは、自分のアイテムボックスからジュエルフルーツを取り出す。

「なっ!それはピジョンブラッドか!それにレッドダイヤモンドにデマントイドガーネット、その他にこんなにもたくさんのジュエルフルーツ見たことないぞ!どこで見つけたのだ?」

「【常闇の樹海】にあるセーフティゾーンでこれを見つけました」

「こんなに一度に見るとは思わなかったぞ」

「お母様が帰ったら、一緒に食べましょう」

「そうだな………ん?」

「どうしました、父様?」

「そ、それは、まさかアイテムボックスか?」

「はい、アイテムボックスですよ」

「そんな貴重なものどこで見つけたのだ」

「テルさんから貰いました」

「なんだと!?」

「ちなみに私も同じものを貰いました」

「ミッシェルもか!てるよ、なぜ貴重なアイテムボックスを2人にあげたのだ?」

「俺は、収納魔法が使えるからアイテムボックスは必要ないんですよ」

「しかし、売ればかなりの値段になるはずだが?」

「また、作ればいいですよ」

「…は?」

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