異世界転生(仮題)

ノアール

出会い2

「よし、あとちょっとで街道に出れるぞ」

『やっとですね、マスター!』

「…誰かさんのうっかりのせいでなぁ」

この世界に来てまだ2週間も経ってないのに、散々な目にあったテルは、何回目かの遠い目をしながらそんな会話をしていた。

「ん?なんだこの反応は?」

『おそらく盗賊でしょう。誰かを襲ってる最中でしょうか。どうします?』

「…少し様子を見てみるか」

そう判断し、反応があった場所まで移動し、気づかれない様に[隠密者]を発動しながら近づく。その際、まだ約5kmくらいある距離をわずか数秒とかからず駆け抜けた。十分、人外の領域に片足どころか全身突っ込んででいた。

あれはナビが言った通り、盗賊だな。しかもかなりの人数だ。

そこには、百人以上の盗賊と思われる人間たちと、この盗賊たちに囲まれている少女がいた。少女は誰かを抱えながら泣いて怯えている様に見えた。

あの抱えられてる子は、[探索者]での反応でなんとなく察していたが、実際に見て、あの傷では恐らく亡くなっているだろう。

それにしてもあの盗賊たち、なんか違和感あるな?

『盗賊にしては装備が良すぎますね。なんとなくですが統率が取れている様な気もしす』

『この世界の盗賊ってみんなあんななのか?』

『いえ、マスターがイメージしてる盗賊とそう変わりません。おそらくですが、背後に糸を引いている者がいるかと』

よく見ると、騎士みたいな格好をしてるやつが何人かいた。

想像以上にブラックな世界に来てしまったようだな。

そう考えながら盗賊の声に耳をすますと、

「へっへっへ、これでもうお前を守る奴はいなくなったな。大人しく付いてきてもらおうか」

「誰が付いていくものですか!」

「“凍てつく氷の礫よ!我が敵を”…キャ!」

「魔法なんて打たせるかよ」

そう言って少女は魔法の詠唱をし始めたが、盗賊の頭と思われる男に蹴飛ばされた。

「大人しくしねぇっていうんなら、こうするぜっ!」

そう言って男は持っていた剣で、すでに死んでいる死体を切りつけた。

「いや!やめて!お願い、大人しくするから…それ以上傷つけないで」

「最初からそうしてりゃ良かったんだよ」

そう言って男は、蹴飛ばした少女に近づいていき手を伸ばした。

『マスター』

「ああ、わかってる」

自分でもびっくりするくらい低い声が出た。

そして、手を伸ばそうしてる男に一瞬で近づき、死なない程度に思いっきり殴った。男は近くの仲間の盗賊たちを巻き込み吹っ飛んでいった。

「「「「「…は?」」」」」

「悪いな、邪魔させてもらうよ」

表情は笑顔だが、目が笑っておらず、明らかに殺気のこもった雰囲気でそう言った。

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