チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない
何はともあれ
「……つまり、こういうことか?」
アリアさんが言う。ここは、サイカくんとメロウちゃんの家。僕らの泊まっている宿だと、部屋が少し狭いからここを貸してもらった。
「ポロンは、自分が利用されるかもしれないと思って、もしもの時はサイカたちに私たちを助けるようお願いしていたってことだな?」
「最悪、自分を殺すことになってもいいって言ってたよ」
「それ聞いたとき、ほんとかよって思ったけどな」
「本当だった……」
サイカくんともう二人がそう呟く。一人は男の子でラーラくん。もう一人は女の子のミシャちゃん。ミシャちゃんの方は大人しそうな感じ、逆にラーラくんは活発な感じだ。
二人とも、サイカくんの話を聞いて、ポロンくんや僕らの顔も知らないのに、協力してくれたんだ。
「……仲間を想うのはいいこと。でも、自分のことも大事にしないとダメ」
ミシャちゃんがそう言い、ポロンくんの頭を軽く叩く。ちょっと顔をしかめて、ポロンくんはぷくっと頬を膨らませた。
「しょ、しょーがねーだろ? おいらだって、したくてそんな選択したわけじゃないやい! ただ……レクスがおいらを使ってゆすってくる可能性があるのは分かってたから、アリア姉が捕まったり、ウタ兄とフローラが殺されたりするよりはましかなって」
「ましって……ポロン! 私たちは、ポロンが死んじゃう方が嫌だよ!」
「だ、だっておいらは!」
「はいはい。二人とも喧嘩しないで。みんな無事だったからよかったじゃん。ね? アリアさん」
「まぁ……そうだな」
何はともあれ、捕まっていた人たちも、売られる前に全員捕まったし、人身売買のグループは、所属している全員が捕まってギルドに連れていかれた。
行方不明になっていた子達も、家族のところに帰れて万々歳ってことだ。
「……そういえば、ポロン」
「ん? なーにアリア姉!」
「レベル的に、お前にレクスの『操り人形』が効かなかったのは不自然じゃないか? だって、95? だったんだろ?」
「え、あ、はい」
そういえば不自然だ。レベル差が70近くあるのに、どうしてポロンくんは、『操り人形』を退けることが出来たのだろうか。
「あー……えっと、それはな……。
実は、おいらの力じゃないんだ」
「つまりどういうことなんだ?」
「サイカたちは知らないだろうけどさ……これ、持ってたからおいら、助かったんだ」
そう言いながらポロンくんがアイテムボックスから取り出したのは、単語帳だった。
「みんなを逃がしたあと、レクスがおいらを操ろうと思って入ってきたんだ。すぐにはその意図に気づけなかったんだけど、あいつは、全部分かってるみたいだった」
……怖かっただろうな、ポロンくん。一人で、どんな目に遭わされるかも分からないなか、レクスに追い詰められて…………。
「おいら……自分が利用されるのは分かっていたけど、まさか自分で仲間を傷つけることになるとは思っていなくて。ちょっとパニックになったんだ。
そしたら、これが光って、迷う前に、とにかく唱えてみたんだ」
ポロンくんがそのページを見せる。そこにあった単語は、dismiss。意味は、無視をする、だ。
……ちなみに語呂合わせは、『ディスってミスって無視をする』相変わらずひどい。
「これを小声で言ったあと、レクスに『操り人形』を使われたんだけど、なんともなくてさ。スキルの効果を、『無視した』んだって分かった。これのおかげで、おいらは操られなくて済んだんだ」
……最初買わされたときは何事かと思ったけど、何だかんだで役に立っている。塊'sに会えてなかったらと思うことが何度あったことか……。
しかも、おさくさんのあの言葉……きっと、ポロンくんが単語帳の力を使ったことも分かっていたのだろう。だから、僕に『目と耳で得たことを信じるな』つまり、『ポロンくんが操られていると言う事実を信じるな』と、ヒントを出してくれたのだ。
「……ちょっとは、見直してくれたかな?」
「はい、すっごく見直しました!」
「それはよかった! やっぱねー、グッドオーシャンフィールドは、みんなに愛されてこそ成り立つものだからねー」
「そうですねー、企業とかお店は愛されてなんぼ……」
「……えっ、と、ウタさん、その人…………」
サイカくんが指差そうとして、失礼だと思ったのか、微妙な形の手を差し出す。
僕の隣にいる元Sランク冒険者……おさくさんは、いつの間にかサイカくんの家にあがりこんで、ニコニコしながら僕らの話を聞いていた。
「よっす!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なんだよー、驚くなよー」
「驚きますよ! そりゃあ! 何でいるんですか!?」
「楽しそうなこと話してるかなーって思ってさ!」
「おさく! なんか塊'sっていつも神出鬼没だな! 来るなら来ると言ってくれ! ポロン助けてくれてありがとな!」
「わぁお。ツンデレともなんとも言えない反応ですなー。お邪魔してまっせー!」
「あ、はい」
「キャラ濃いなぁ」
「ラーラ、黙る」
呆気にとられるサイカくんたちを見ながら、おさくさんは不意に言う。
「サイカくんたちのパーティー名は何て言うのー?」
「あ、『雪月花』です。みんなのイメージを合わせて……」
「ふんふん、ウタくんたちは?」
「……あ」
そういえば、パーティー名考えてない。
「あのね? 老害が言うまいと思ってたけどさ……いい加減考えなさいな!」
「は、はーい……」
課題、パーティー名案を作る。
アリアさんが言う。ここは、サイカくんとメロウちゃんの家。僕らの泊まっている宿だと、部屋が少し狭いからここを貸してもらった。
「ポロンは、自分が利用されるかもしれないと思って、もしもの時はサイカたちに私たちを助けるようお願いしていたってことだな?」
「最悪、自分を殺すことになってもいいって言ってたよ」
「それ聞いたとき、ほんとかよって思ったけどな」
「本当だった……」
サイカくんともう二人がそう呟く。一人は男の子でラーラくん。もう一人は女の子のミシャちゃん。ミシャちゃんの方は大人しそうな感じ、逆にラーラくんは活発な感じだ。
二人とも、サイカくんの話を聞いて、ポロンくんや僕らの顔も知らないのに、協力してくれたんだ。
「……仲間を想うのはいいこと。でも、自分のことも大事にしないとダメ」
ミシャちゃんがそう言い、ポロンくんの頭を軽く叩く。ちょっと顔をしかめて、ポロンくんはぷくっと頬を膨らませた。
「しょ、しょーがねーだろ? おいらだって、したくてそんな選択したわけじゃないやい! ただ……レクスがおいらを使ってゆすってくる可能性があるのは分かってたから、アリア姉が捕まったり、ウタ兄とフローラが殺されたりするよりはましかなって」
「ましって……ポロン! 私たちは、ポロンが死んじゃう方が嫌だよ!」
「だ、だっておいらは!」
「はいはい。二人とも喧嘩しないで。みんな無事だったからよかったじゃん。ね? アリアさん」
「まぁ……そうだな」
何はともあれ、捕まっていた人たちも、売られる前に全員捕まったし、人身売買のグループは、所属している全員が捕まってギルドに連れていかれた。
行方不明になっていた子達も、家族のところに帰れて万々歳ってことだ。
「……そういえば、ポロン」
「ん? なーにアリア姉!」
「レベル的に、お前にレクスの『操り人形』が効かなかったのは不自然じゃないか? だって、95? だったんだろ?」
「え、あ、はい」
そういえば不自然だ。レベル差が70近くあるのに、どうしてポロンくんは、『操り人形』を退けることが出来たのだろうか。
「あー……えっと、それはな……。
実は、おいらの力じゃないんだ」
「つまりどういうことなんだ?」
「サイカたちは知らないだろうけどさ……これ、持ってたからおいら、助かったんだ」
そう言いながらポロンくんがアイテムボックスから取り出したのは、単語帳だった。
「みんなを逃がしたあと、レクスがおいらを操ろうと思って入ってきたんだ。すぐにはその意図に気づけなかったんだけど、あいつは、全部分かってるみたいだった」
……怖かっただろうな、ポロンくん。一人で、どんな目に遭わされるかも分からないなか、レクスに追い詰められて…………。
「おいら……自分が利用されるのは分かっていたけど、まさか自分で仲間を傷つけることになるとは思っていなくて。ちょっとパニックになったんだ。
そしたら、これが光って、迷う前に、とにかく唱えてみたんだ」
ポロンくんがそのページを見せる。そこにあった単語は、dismiss。意味は、無視をする、だ。
……ちなみに語呂合わせは、『ディスってミスって無視をする』相変わらずひどい。
「これを小声で言ったあと、レクスに『操り人形』を使われたんだけど、なんともなくてさ。スキルの効果を、『無視した』んだって分かった。これのおかげで、おいらは操られなくて済んだんだ」
……最初買わされたときは何事かと思ったけど、何だかんだで役に立っている。塊'sに会えてなかったらと思うことが何度あったことか……。
しかも、おさくさんのあの言葉……きっと、ポロンくんが単語帳の力を使ったことも分かっていたのだろう。だから、僕に『目と耳で得たことを信じるな』つまり、『ポロンくんが操られていると言う事実を信じるな』と、ヒントを出してくれたのだ。
「……ちょっとは、見直してくれたかな?」
「はい、すっごく見直しました!」
「それはよかった! やっぱねー、グッドオーシャンフィールドは、みんなに愛されてこそ成り立つものだからねー」
「そうですねー、企業とかお店は愛されてなんぼ……」
「……えっ、と、ウタさん、その人…………」
サイカくんが指差そうとして、失礼だと思ったのか、微妙な形の手を差し出す。
僕の隣にいる元Sランク冒険者……おさくさんは、いつの間にかサイカくんの家にあがりこんで、ニコニコしながら僕らの話を聞いていた。
「よっす!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なんだよー、驚くなよー」
「驚きますよ! そりゃあ! 何でいるんですか!?」
「楽しそうなこと話してるかなーって思ってさ!」
「おさく! なんか塊'sっていつも神出鬼没だな! 来るなら来ると言ってくれ! ポロン助けてくれてありがとな!」
「わぁお。ツンデレともなんとも言えない反応ですなー。お邪魔してまっせー!」
「あ、はい」
「キャラ濃いなぁ」
「ラーラ、黙る」
呆気にとられるサイカくんたちを見ながら、おさくさんは不意に言う。
「サイカくんたちのパーティー名は何て言うのー?」
「あ、『雪月花』です。みんなのイメージを合わせて……」
「ふんふん、ウタくんたちは?」
「……あ」
そういえば、パーティー名考えてない。
「あのね? 老害が言うまいと思ってたけどさ……いい加減考えなさいな!」
「は、はーい……」
課題、パーティー名案を作る。
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