閃光の勇者 〜転生したら伝説の竜になってました〜

雨猫

第2話 自然神ネア


「それではリオンくん。改めて自己紹介でもし合おうじゃないか」
「俺のこと多分網羅してんだろ」
「まあね、でも僕は順序を踏むのが好きなのさ。これからの旅の相棒だぜ?」

仕方ねえ、と俺は自己紹介をした。

「俺は平民出身のリオン=ダミナス。小さい頃から騎士を夢見て来たが、騎士として最初の戦争で首を切られ、アンタの所為で今は伝説の竜リンドブルムのリゼルとして生きている」

「よく出来ました。僕は自然神ネア。この世界で言う女神ってところかな。神は基本的にこの世界のことに干渉は出来ないんだけど、絶滅とか滅亡とかってのはいけないから、そう言う時だけは手を出す。転生させるのもそれの一環ってことさ」

「転生させなくちゃこの世界がどうにかなっちまうってことか?」

「その通り、僕のように自然神だったり平和の神がいるように、悪い事を企む魔神ってのがいるんだ。遥か昔、創造神と共にこの世界を作った時に、闇を造った彼は僕たちにこう告げた。『これから一世紀毎にゲームをしよう。僕は死んだ人間を転生させて魔王にする。君たちは誰か一人がそれを止める為の勇者を転生させるんだ。このゲームを10回続けても僕が負けたら諦めるけど、10回のうちに僕の転生させた魔王がこの世界を侵略したら、この世界は君たちの干渉を二度と許さない。僕だけの世界にさせてもらう』とね」

「神の悪戯ってところか。恐ろしいな」

「僕たちが勝手に創り出しておいて、こんな勝手なゲームをしているのは申し訳ないんだけど、僕らは断れなかったんだ」

「それはどうしてだ?」

「簡単な話だよ。さっき魔人は『闇を創り出した』って言ったよね?僕たちがこのゲームに乗らなかったら、この世界の闇を消すって言ったんだ。闇とは人間の心に備えてある嫉妬や悪意の念。そしてこの世界の影。影のないところに光は差さない。それらは、世界を作る上で必ず必要なものなんだ」

「なんか難しい話だな。まあ要はその魔王を倒せばいいんだな」

「そうだね。君にはもう少し力を付けてもらわないといけないけど、これでやっと最後の10回目なんだ。君には勝ってもらわなくちゃならない」

いきなり話が壮絶だが、英雄ってことはそんくらいのこと成し遂げるもんだよな。
俺は自分に言い聞かせた。
だけど、一つ引っかかることがあった。

「そういや、俺が憧れてる紅蓮の英雄ブレイブは、騎士1000人と同等の強さだって言われてたんだ。普通に考えてそんな力人間業じゃねえ。もしかして俺と同じで・・・」

「おお!ブレイブか!久しい名前を出すなぁ!彼は僕が一世紀前に転生させた男だな。あいつは伝説の竜が一角、極炎竜ドレイクに転生させたな。その前がメレス。その前がレント。その前がゼルボア。うむ、覚えているもんだな!」

俺は呆然としてしまっていた。
それは数々の伝承に残る偉人たちの名前だった。
まさか、それに俺が入れるのか・・・!
人生で味わったことないほどに俺の心は期待に胸を膨らませていた。

「そ、そんで、俺はまずどうすればいいんだ!」
「ん〜。取り敢えず君に任せるよ」
「え?俺に任せる?」
「そうだ。これは君の旅。君が悪い道に逸れないよう僕は着いて行くが、君の旅に干渉はしない」

そ、そうか。それならば、と俺はまず元いたドレイド帝国に戻ることにした。
俺のこと見下してた奴らをあっと言わせたかったからに他ならない。
騎士として成果を出した方が英雄としても謳われそうだしな。

よし、と立ち上がり、親父ゲゼルの元へ帰った。

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