異世界転生は終わらない。

ユキ

どうやら僕は災害らしい。


今日リベリエット国付近の森での不思議な噂を耳にした。

白い化け物が現れたと。

正確に言えば、白い蜘蛛の魔物が現れたと聞く。

その蜘蛛の体長は人と同じ程、けどその強さは災害級のBランクの強さだという。

普段あの森にはFランク~Dランクの強さの魔物しか出ないはずなのにだ。

突然現れたBランクの蜘蛛は人は襲わないものの目の前に現れた別の魔物は1匹も逃す事なく、すべて捕食してしまうらしい。

Cランクの冒険者パーティー3人に聞いた話なので少し曖昧だが....

なかなかに面白そうな話ではないか、いつもの私であればそんな事くだらないと気にも止めなかっただろうが。

白い体型、大食い、蜘蛛。
それを聞いて私は眼を見開いた。
何故か?
私の最愛の娘を食い殺してった魔物に良く似てるからだ。
その魔物を殺す準備をしにこの国に来たのだからだ。


暴食惚ぼうしょくこつグラトニアス。
ランクはBランク。
体型は人並みよりやや小さめ。
そのすばしっこく凶暴な性格から別名"食に狂った白い悪魔"と呼ばれ、ある地域では恐れられている。

その魔物はあまり地域を離れないでここいらには出ない筈だが、何事にも例外というものはあるのだろう。

私のランクはBランク、あの頃から鍛え続けたのだ。今ならもしかしたら娘の仇が打てるかもしれない。

だがあの化け物のスピードは異常なほど早かった、防御力は低いものの攻撃力とスピードが物凄く早いのであの時は追っ払うのに精一杯だった。

だが今は違う、仲間もいるし、前よりも強くなった。

仲間集めのためにこの国に来たつもりだったが、都合がいい、今こそ復讐の時だ。

あの地域に戻る前に1匹殺せる。
こんなに嬉しい日は無いな。
やっと復讐出来る。


パパは頑張るからな、見ててくれよニーナ。



そして私は近々始める復讐の日に向けて着々と準備を始めた。


ーーーーーーーーーー


朝起きて、目が覚めた。
いつも通りの朝だ。
目の前には森が広がり、私の巣には何匹かの魔物が引っかかってる。

いつもならご飯を食べて、巣をしまって、すぐに出かける。

そう、いつもなら。

「ぐっ!くそ!!このまま食われるのかよ!!くそ!!くそ!!!」

「ちょっと!静かにしなさいよ!!他の魔物やこの巣の主が来たらどうするの!!焼き切るなりあなたのご自慢の短剣で切ればいいじゃない!!」

「お前の方がうるせえよ!!さっきから試してるよ!!切れねえから言ってんだろ!!」

「まあまあ、2人とも落ち着いてよ」

「「落ち着けるか!!!!!!」」

そう、なんか巣に人間がすんごいかっこで引っかかってたのだ。
いや、どうやったらそんなかっこで引っかかるのか本当に不思議でたまらない。
人間の言語は日本語に変換されて聞き取れるが明らかに口の動きと喋ってる言葉が一致してない。

これも転生チートぽいな。

「お、おい、あれ」

「あ、あぁぁいや、こ、こないで」

「あー、これやばいかもですねー」

あ、目があった。
でも目があっただけで失禁するのは良くないと思う、少し傷つく。
とりあえず人間は食べる気にならないので糸を解いておくか。

「く、くるなくるなくるなくるらくるなぁぁああああ!!!!!」

「も、もうやだぁー、まだ死にたく無いよぉー」

お、おう。
とりあえずそんな顔青くさせなくても食べないし、泣かれても困るんだけどなぁ。
どうしようか、うーん。
あ、忘れてた、そういえば僕念話使えるわ。
初めて使うからあんましわかんないけど。
こんな感じかな?
届け!僕の思い!

"オマエマチコロサナイ、ワタシニンゲンハタベナイ、ホントウ"

「は?」
「ふぇ?」
「ぶふっw」

三者三様の反応だな...そして最後のやつほんと冷静だな、てか笑うなし。

とりあえず三人の糸を解いていく、女性の糸を解く時はお漏らししてるので触らないように外していった、女性もそれが分かったらしく青い顔が一気に赤い顔に変わっていく。
紫にはならないのかな?

「あ、ありがとう」

いえいえ、どういたしました。
糸を解いたしもういいよね?
お腹空いたので魔物をむしゃむしゃ。
いやお腹滅茶滅茶空いててヤバかったんだよね。
そんな事してるうちにいつのまにか三人とも凄いスピードで走って逃げてった。
1人だけ笑って手を振ってる奴もいたけど。




とりあえず私も手を振っておいた。




ーーーーーーーーーー
現在の白のステータス

種族:アリアドネ(希少種)

ランク:A+

名:ハク

レベル:21

スキル:鑑定、操糸、毒牙、念話、罠師、過食→暴食、正義、思考速度上昇

称号:神と親しき物、元人間、神のお気に入り、禁忌ノ陵域Lv.1

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