Messiah

嘉禄(かろく)

Moon of the sorrow



「…どうした、以前のお前ならこれくらい楽勝だっただろう」


御津見さんに見下ろされ、何も宿っていないかのような冷たい言葉が降りかかる。
この人の稽古は厳しい、それでも前の僕の方がまだついていけていた。
悔しくて歯噛みしていると、また言葉がかけられる。


「動きが鈍くなってる。
…メサイアを失ったことが原因か?」
「…違います」


いや、違わない。
ずっと近くに感じていたメサイアが僕を捨てた。
メサイアを感じることが出来なくなった。 
あいつは僕の力だった。
代わりなんていない、メサイアだった。
あいつの隣にいたから、あいつが僕の中にいたから…僕はサクラでいられた。
サクラとして戦えていたんだ。


「今のメサイアでは…松原では埋めることが出来ない空白か」


何も言えずに唇を噛む。
埋められるはずがない、あいつじゃない奴に。
僕は信じてる…僕を迎えに来るって。


「…僕はあいつを認めない…メサイアだなんて…」


悲鳴を上げる身体に鞭打って立ち上がり、冷たい目と対峙する。

誰にも分かるはずないんだ、僕の意思なんて-



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