Messiah

嘉禄(かろく)

Temporary parting



強くなった、と思っていた。
兄をやっと守ることが出来ると思っていた。
でも…それは大きな間違いだった。


俺はまた、敵の前に組み伏せられていた。
俺を見下ろす目には、何も宿っていなかった。
まるで、俺には価値がないというかのように。
悔しくて睨みつけると、その人は口を開いた。


「…脆いな、サクラとは。
だがその眼差しには強い意志がある…お前、私の元に来い。
世界を憂う同士よ、力を貸せ。
来ればお前を私の最高傑作にしてやろう」


何を言ってるんだこいつは、と思った。
それでも、何かが俺を惹き付けた。
気づけば俺は首を縦に振っていて、満足気な顔をしたそいつは部下に合図をした。
そして、俺は連れていかれた。


そう、チャーチが壊滅的被害を受けたその日
柚原愛斗は、チャーチから姿を消した-



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