Messiah

嘉禄(かろく)

Darkness to lodge itself in a heart



『人の心はね、とても脆く儚いの。
でも澄んだお前の心はとても美しい…きっと、お前の周りにはいつしかお前を慕う人々が集うでしょう』


幼い日、母は僕によくそう言って聞かせた。
母の言う美しい心、というのが僕にはよく分からなかったけれど…でもその言葉に間違いはないとどこかで思っていた。

でも今は違う。
僕の傍にいてくれる人なんて、誰一人いないじゃないか。
たった一人、僕を救うことを許されたメサイアに裏切られて死にかけて。


「美しい心、醜い心…僕は美しくなんかない。
僕の心にも巣食う闇はある…それでも脆く儚いものにはしない。
僕は、僕の心は誰よりも強く…メサイアなんて要らないくらい、強く在る。
脆く儚い心なんて要らない。
僕は、前の僕から変わってみせる」


メサイアとは、僕にとってはただ生きる為に利用するべき存在というだけ。
だからメサイアにも言おう。


-僕はお前と心を通わせるつもりはない
   だからお前もメサイアとして僕を利用しろ

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