Messiah
Blood wet impulse
「…暇だな」
僕は、僕に与えられた部屋で一人呟いた。
任務はよく与えられるものの、休めと言われて部屋にいるしかない時間が退屈でしかない。
こんな風に持て余すくらいなら、雑魚でもいいから殺させて欲しい。
殺していい任務を与えて欲しい。
他組織にいたり、一人で行動していた時の方がこんな風に焦れることは無かった。
サクラは殺してはいけないと、あの人にキツく言われている。
実際に加々美いつきを殺しかけた時は酷く怒られた。
『弱いのがいけないんだ』という考えは、チャーチでは誤りらしい。
だから、目をつけている者はいても手を出すことが許されていない。
「…ああ、殺したい。
殺せそうな命は沢山あるのに…」
僕のこの衝動は、時に僕自身ですら持て余す。
どうすれば満たされるのか、どうすればこの渇きは癒されるのか。
時折酷く苦しくなる。
僕の生きる意味が、奪われようとしている。
「…ここは人を殺せる打って付けの場所だと思ったんだけど…どうやら間違いだったみたい」
そう呟いた僕は、ふと思いついて愛用のナイフを取り出した。
そしてそのまま喉に突きつける。
鋭い切れ味を持つそれは、ちょっと触れただけで僕の皮膚を裂いた。
少しずつ流れる血を吸うかのように。
「苦しいし、死んじゃえ。
そしたら解放されるよね」
僕は名案だ、というように微笑むと一気に突き刺した。
息が苦しい、血の味がする。
それでも、その先に解放があるのなら-
『躊躇うことは無い』
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