Messiah

嘉禄(かろく)

The putrefactive left arm



それは、播磨と話していた時のことだった。


「でさー…っ…!」
「…俐弦?どうしたの、どこか痛い?」
「…気にすんなって、ちょっと煙草…」


適当に理由をつけて外に出る。
播磨は敏い…いや、誰が見ても痛いことくらい分かるか。
左腕の袖を捲ると、接続部分が変色してきていた。


「…くそ、腐ってきた…痛てぇ…」


その部分を隠すように右手で掴むと、耐えかねたように金属の腕が落ちた。
ガシャン、と無機質な音が鳴る。
嫌な汗が頬から首に流れる。
痛みを堪えて俺は左腕を掴む右手に力を込めた。


「…こんな腕じゃ戦えやしない…いや、戦うどころか…それでもいいか、分かってんだろ俺が一番…」


不規則な呼吸を繰り返しながら空を見上げると、冷たいものが頬を打った。
それは瞬く間に世界を濡らしていく。


「…んな時に雨か…丁度いい、持ってけよ」


そう呟いて、俺は目を閉じた-



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