Messiah

嘉禄(かろく)

Shadow in the Sakura



「あーあ、エレン任務だしほとんどサクラいないし暇だなぁ」


独り言を言いつつ暇を持て余してチャーチの中を歩いていると、前から新入りが歩いてきた。
僕に気づくとすぐに表情を変えて近寄ってくる。
さっきまで目が合ったやつ全員目線で殺しそうな目してたくせに器用なやつ。


「あ、もしかして神代万夜?」
「そーだけど?また業の深そうなやつが来たなぁ…」


見るからに問題児です、という雰囲気がある。
これは百瀬さんが骨折るやつだな…。
そう思ってるのを知ってか知らずか、そいつはペラペラ話し出す。


「へー、あんたが元御神体かぁ。ねぇ、神様になるってどんな感じなの?」


…何がしたいんだろ、こいつ。
答える義理なんて無いんだけど。


「なんで会ってすぐのやつにそんなこと聞かれなきゃなんない訳?」


僕、こういうやつ嫌い。
何も知らないで人の心にずかずか土足で踏み込むやつ。


「えー、だって気になるし?
あ、思い出したくないから答えたくないとかー?」
「ふーん?僕そういうやつ嫌いだなー」


向こうがわざとこっちの心を逆撫でするような口調を使ってるから、僕も負けじと笑顔で応酬する。
売られた喧嘩は買ってこてんぱんに負かす主義だから。


「だーって神様なら皆に敬われてちやほやされんでしょ?
さぞいい気分だろうなーって?」


そう言いながら馬鹿にしたような目で僕を見てくる。
こいつ、ほんとに僕のこと怒らせようとしてるな。
問題児とは聞いてたけど酷いもんだ。
まあ買うんだけど。


「へー、よく知ってるじゃん?
その分なら僕を含めた過去や今の御神体がどんな想いで神様やってるかも知ってるんだろ?」


そう投げかけると一瞬そいつの目に違う光が宿った。


「この世に神はいらない。そんなものが無くても、人は強く生きられると僕は思う。
君の考えとは違うかもしれないけどね、黒瀬俐弦」


名を呼んで、肩をぽんと叩いて隣を通り過ぎる。
今頃悔しくて歯噛みしてるかと思うと少し気分はよかった。


「…でも、僕は僕の太陽がいないなら生きたくないなぁ」



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