Messiah

嘉禄(かろく)

The love that accomplished incubation



「ねえ、智晴」


何十日ぶりかのオフの日、僕は紅茶の入ったカップを片手にメサイアに問いかけた。
武器の手入れをしていた彼は、その問いに顔を上げる。


「なんだ、宋」
「愛斗、最近大人っぽくなったと思わない?」
「愛斗が?」


僕は、チャーチにいる時は基本他のサクラや候補生のフォローをする立場に自然と納まっている。
だから、周囲の観察を欠かさない。
その結果、愛斗は少し見ないうちに大人っぽくなった。
見た目はあまり変わらないけど、気配が違う。
どこか弱くて、守ってあげなければと思わされる彼の面影は消えていた。
原因は恐らく、百瀬さんから聞いたあれだろう。


「戻ってきてからそういえば見てないな」
「きっとすぐに会うよ、驚くと思う」
「成長したんだな、見るのが楽しみだ」
「そうだね」


人は変わる。
蛹に篭っていた幼虫も孵化をして、美しい羽を手に入れる。
固い殻を破って大きな羽を広げる様は、とても美しい。


「…強く、美しくなったね…愛斗」


そう呟いて、僕はカップに口をつけた-


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