Messiah

嘉禄(かろく)

The crime that should be judged



俺が海外での任務を終わらせて国内に戻ってきた時のこと。
突然奴から指令が入った。


『雛森くん、国内に戻りましたね?』
「…何の用だ」
『君に探って欲しいことがありまして。
私とのやり取りは切らないまま、これから伝える場所に向かって下さい』
「…どうせ厄介事だろ、分かったよ」


休むはずだったのに、と思いつつ伝えられた場所に向かう。
そこは廃墟で電気もついておらず、不気味な雰囲気を放っていた。
奥に進むと、椅子に縛り付けられた男がいた。
白衣を着ている、医者か?


「誰だこいつ」
『外部の研究者です』
「…正面から一発脳を撃ち抜かれて死亡。
けど出血が多い、素人だな」
『そうですか…その男の経歴と殺された要因を洗って下さい』
「…了解」


それから経歴を洗ったところ、その男の研究は北方と繋がっていることが分かった。
十中八九フォークス機関絡みだ、今はもう無いが。
研究内容のデータベースを洗うと、男が殺された理由も自ずと見えてきた。


「…自分の子供を実験体に使ったのか、その末に子供は死んでる。
母親が夫を殺した説が濃厚だな」


そこまで辿り着いて奴に連絡を入れる。


「経歴と要因が見えた、そっちに送っておく。
俺はそいつの家に行ってくる」
『分かりました、気をつけて』


それから家に着くと、中は真っ暗で不用心にも鍵が開いていた。
部屋を進むと、妻と思われる女が首を吊って死んでいた。
遺書には、夫に対する怨みが書かれていた。
それから子供を守れなかった後悔も。


「…子供のところに行ったか。
一嶋、妻の死体があった。
鴉に処理を頼む」
『分かりました、鴉が到着するまで待機していて下さい』
「了解」


フォークス機関、国内の他組織にも根を張っていたとは…。
他の組織にも探りを入れる必要がある、そう思いながら俺は鴉を待った-



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