Messiah

嘉禄(かろく)

HINAMORI of the sleep side Raven



雛森が休暇に入って数日後、私はふと思い立って雛森の様子を見に行った。
本来ゲストルームにいるサクラには緊急時以外は会いに行かないのが暗黙の了解なのだけれど、私が行くならば問題ないでしょう。
恐らく、今雛森はメサイアに会いたくないみたいだから。

雛森のいる部屋の前に立ち、ノックをして扉を開く。


「雛森、入るわよ」


入って声をかけると、雛森は珍しくソファで眠っていた。
足元に本が落ちていたので拾ってテーブルに置く。


「…ロビン・フッド物語?
こんなの買ってきたのかしら」


ロビン・フッド物語は、十二世紀後半のイングランドが舞台。
当時悪政を強いていた国王に反感を抱いたロビン・フッド率いる集団が主役のお話。


「雛森がこんなの読むなんて意外…でも読んでる途中で疲れて寝落ちたのね」


本をぱらぱら捲って見てから雛森に目を戻す。
…そういえば、誰かがこんなに近づいても起きないなんてこれまた珍しいわね。
余程お疲れみたい。
こうやって雛森の寝顔をちゃんと見たのは何年ぶりかしら、ってくらいには珍しい。
いつも寝てるところに遭遇してもすぐに起きちゃうから。


「…ソファじゃなくてベッドで寝なさいよ、子どもじゃないんだから」


溜息をついて、仕方なく雛森をベッドに運び横にする。
それでも一向に起きる気配はなく穏やかな寝息を立てている。


「…何日ぶりの深い眠りなのかしらね…まあ起きるまでそっとしておきましょうか。
尋ちゃんが会いたがっていたけれど、ここにいるって伝えたら寂しそうだったわよ?
気が向いたら行ってあげなさい、また来るわね」


聞いてるはずは無いと思いながらも、一応雛森に声をかけて私は部屋を出たのだった。


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