Messiah

嘉禄(かろく)

HINAMORI of the sleep



それから数ヶ月後、任務が終わり帰還した時のこと。
チャーチのエントランスで百瀬が待っていた。


「お帰りなさい、負傷は?」
「…そうだな…右頬の銃創と腹のかすり傷くらいか」
「まずは手当ね」


百瀬が俺を先行して医務室に歩き出す。
その後を怪我を庇って歩きながら、俺は背中に問いかけた。


「尋は?」
「任務の指示にあたってるわ、終わり次第戻ったことを伝えるつもり。
いつも通り、二人の部屋で休むんでしょう?」


逆に返された問いに、俺は少し黙って考え込んだあとこう返した。


「…いや、今回はゲストルームを使う」
「…珍しいわね、あそこはネットから切り離されてるから誰とも連絡取れないのに。
ゲームも出来ないのよ?」
「分かってるよんなことは」


そこで医務室に着き、手当を受けてからゲストルームに向かう。
その入口まで百瀬はついてきた。


「…じゃあ、ここでいい」
「そうね…何かあったら私が直接伝えに来るわ」
「ああ、頼んだ」


百瀬と言葉を交わして中に入り、軽い荷物を置く。
中には着替えや財布等必要最低限の物しか入っていない。
連絡を取るために必須の端末も百瀬に預けた。
これで、俺は誰とも連絡を取ることなく一人の休暇を過ごす。
戦いの中に身を置くのが日常の俺にとって、ここの方が余程非日常だ。


「…きっと、尋は俺に会いたがるだろうな…んで、ここにいることを知ってきっと落胆するんだ。
…悪いな、尋」


少しの間だけでいい。
一人になることを、許してくれ。
そう思いながら、俺はベッドに横になって目を閉じた-



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