Messiah

嘉禄(かろく)

Finally shining 3



目が覚めると、先程とは違う部屋にいた。
コンクリート剥き出しで、薄暗い照明しかない。
そして、俺は椅子に座らされ後ろ手を鎖で縛られていた。


「…さっきのやつ、どっかで…顔よく見えなかったけど、匂いが…誰だ?」


考えても思い出せない。
思い出せないということは、覚えておく価値のない雑魚か?

そう思いながら周囲を改めて見ようとした時、足音が聞こえた。
正面の暗闇から何者かが姿を現した。
フードを深く被っていて、顔は見えない…いや、何かマスクをつけているみたいだ。


「…誰だてめえ」


試しに問いかける。
しかし答えは返らなかった。
俺の横を通り過ぎ、背後に回る。
銃を突きつけるかと思いきや、鎖を解いた。

本当にナイトメアそっくりだ。

そう思いながら、俺はあの時と同じように椅子を蹴って立ち上がりそいつに銃を突きつける。
同時に相手も銃を向けた。


「…なかなか速いじゃねーか、手応えありそうだ!」


ふと笑みを浮かべると俺は相手の間合いに突っ込んだ。
しかし相手はすぐに後退。
手足が長いからか、スピードも速い。
俺よりリーチもある、接近戦の方が好きなんだけどしょうがねーな…!

仕方なく銃を構え連射し反撃の隙を与えないようにする。
けど相手も大したもんだ、身軽に避けて逆に突っ込んでくる。
顔の右横にナイフが突き出され、ギリで避けたつもりが浅く切れていた。
くそ、思ったよりやり手かよ…。
リーチが俺より長い、結構不利だ。
近づく前にそのリーチでやられる。


「…だったら…!」


突き出された腕を掴み、そのまま勢いに任せて放り投げた。
受け身を取った隙に上に乗り頭に銃を突きつける。


「…もう一度聞く、誰だてめえ」


目を細めて問いかける。
俺もだいぶ口が悪くなった、ドスが効いてる自覚もある。

答えを待っていると、相手が口を開くより先に上から声が聞こえた。


『もういいですよ、松原くん』
「…その声…なんであんたが」


一嶋晴海、俺たちサクラの指導者。
またあんたの差し金か…。


「…こいつ、サクラか?
道理で覚えのある匂いだと思った…けど、聞きたいことがある」
『遠目にでも見たんですか?
流石に鼻が利きますね。
聞きたいこととは?』
「…涼の銃。
あれはなんだ、涼もこれに加担してんのか」
『あれは、有賀くんに貸してもらいました。
実際百瀬くんに持ってきてもらいましたが』
「…ドッキリにしちゃ随分大掛かりだ、なんか他の目的があったんじゃねーの?」
『目の前にいる君の後輩にあたるサクラの実力を見たいと思いましてね』


そう言われて、相手のマスクを取る。
確かにチャーチ内で見た顔だった。


「…松原エレン、神代万夜のメサイア」
「…すんません、加々美さん」
「…別に、お前には何も思わない。
けど、あんたは一回ぶん殴る」
『痛いのは嫌ですねぇ、お手柔らかに』


それを聞いて俺は溜息をつきながら、松原を起こしてやった。

ちなみに、その後数日一嶋さんの頬が腫れていて涼が俺を宥め続けたのは余談だ。



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