Messiah

嘉禄(かろく)

Night of the moon which rose



俺は、自分の部屋でふくれっ面しながらPCと向かい合っていた。
任務終わりで包帯だらけなものの、それは常なので原因はそれじゃない。
問題は、目の前のPCの存在だ。


「…まーた上手く動かせなくなったって?」
『ごめん、結月…』


PCの中に俺のメサイアがいる。
人工知能であり、肉体もある特例となってしまったメサイア。
気弱なところはまだ変わらないけど、それでも何かを乗り越えて強くなったように思った。
俺が置いていかれそうだ。

ちょっと前まで、俺は自分のことを責めていた。
いや、今でも責めてはいる。
でも…やめて、自分を大切にしてと幸樹に言われ続けてやっと軽口を叩けるまでに戻った。
見た目も前よりはマシなはずだ。


「いつになったら俺はちゃんと幸樹に触れられるんだよー?」
『頑張ってるんだけど…』
「…わかったわかった、責めて悪かったよ」


落ち込んだ雰囲気が伝わってきたので、とりあえず言うのをやめる。

お互い触れられないのは不満であるのは事実だ、それを俺が一方的に責めても良くないだろう。
それに、任務中は人工知能として俺と共に移動するのだから触れられないことにも慣れなければならないかな…?
そこまで考えて、それを振り払うように首を左右に振った。


『結月、どうかした?』
「…なんでもない」
『そう?』


きっと、なんでもないと言ってももう今の幸樹には全て筒抜けだろう。
それでも悟られたくない、と思ってしまうのは俺のくだらないなけなしのプライドなんだと分かってしまった。


「…んなこと分からなくてもいいのにな…」
『え?』


幸樹が怪訝に思う中、俺は盛大に溜息をつくのだった。



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