Messiah
Is it a true doll to sleep?
あの二人が衛藤くんのところからチャーチに戻り、数日が経った頃。
私は一嶋さんに言われて定期的に様子を見に行っていた。
前よりは落ち着いたと聞いていたけれど、それでもどこかまだ彼らは…特に、草薙くんは不安そうに見えた。
でも、眼鏡を取ったのは変化と言えるかもしれない。
良い変化か悪い変化か、はまだ図っているところだけれど。
でも、まだ気にかけてあげなければならない。
そう確信して、だから今日も様子を見に部屋を訪れた。
いつも通り、中は誰もいないかのように静かだった。
いや、衛ちゃんはいないみたい。
草薙くんは…と探すと、ベッドの上に置いてあるクッションに寄りかかって埋もれていた。
ちなみにそのクッションの山は、二人が帰ってきた時に皆で押し付けたもので…眠りを拒んでると聞いたから半ば押し付けたのは思い出だ。
眠りを前よりは恐れなくなった、それは良い傾向だと思う。
安心したように、目を閉じて穏やかな寝息を立てていた。
「ちゃんと横になればいいのに…それにしても真っ白ね。
呼吸してなければ端正な人形かと思うくらいには…体温も低いし…」
起こさないように傍に座り、そっと頬に触れるとひんやりとした。
すると、そこでドアが開いて衛ちゃんが戻ってきた。
「…百瀬さん」
「ごめんなさいね、いつもの様子見にお邪魔してるわ」
「…大丈夫」
私が草薙くんの傍から退くと、そこに衛ちゃんが座る。
「…伊織、ちゃんと横になろう」
「…ん…衛…?」
やっと草薙くんが目を開き、衛ちゃんが寝かしつける。
この二人の間にも、裂くことの出来ない絆が生まれた。
「…願わくば、その絆が長く続きますように」
私はそう呟いてそっと部屋を出た。
それだけが、私の願い。
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