Messiah

嘉禄(かろく)

God is sometimes cruel



─それは、風の強い日だった。
チャーチの中にいても、礼拝堂の中でも風の音が聞こえる。


「…うるさいなぁ…」


そう呟くと、階段を降りてくる足音が聞こえた。
その人物は、僕に気づいて声をかけてきた。


「…神代くん?
ここにいたんだね、百瀬さんが探してたよ」
「前谷尋…あっそ、気が向いたら行くよ」
「気が向いたら、って…出来るだけ早めに行きなよ?」
「はーい」


背を向けたまま適当に返事をすると、軽く溜息をついたあと階段を登っていこうとする。

─そうだ、あれを教えてしまおうかな。

僕は気まぐれで前谷尋を呼び止めた。


「ちょっと待って、いい事教えてあげる」
「…いい事?」


登る足を止めてこっちを振り向く。
僕も振り向いて目を合わせた。


「君のメサイア…雛森雪は、いつかメサイアたる君を救うことよりも任務遂行を優先するよ」
「え…?」


これは僕の預言。
僕しか知らない未来、そして雛森雪の顔。

─外れることのない、未来。
必ずそれはいつか起きる。

いくらメサイアとは言え…どれだけの時を一緒に過ごし、どれほどの波を共に乗り越えたとしても所詮他人。
人と人の間の絆なんて、脆く儚いもの。

─ほら、もうその心に疑いの芽は顔を出している。


『これからこの二人がどうなるか、見ものだね』


僕は心の中で呟き、こっそり笑った─



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