Messiah

嘉禄(かろく)

Recollection of the doll


─もう、ずっと前から消えてしまいたかった。
これは、私が私の救世主メサイアと出会う前の話─


「…目が覚めたか、伊織」
「…昴、さん…?またですか…」
「そうだ、俺がお前の研究室行ったら倒れてた。
一歩遅かったら手遅れだったな」


目を開くと白い天井、その次に昴さんの顔が視界に入った。
私の身体は実に不便だ。
決まった薬を1日1錠服用しなければ体調を崩す。
運が悪ければ倒れるところまでいく。
今回は運が悪かった。
起き上がるのを昴さんが支えてくれる。


「…私はどれくらい眠っていましたか」
「今回はざっと二時間くらいかな、短い方だ」
「そうですか…なら良かった…」


…良かった、のだろうか?
その言葉が自分の口から出たあと、私は疑問を抱いた。
寧ろ、このまま永久の眠りについた方が私にとって幸せではないのか。

そう考えていると、昴さんが察したようにこう言った。


「…お前の考えてることは何となく分かるよ。
けど、お前にもいつか救いは与えられる。
それまでにどんなに辛いことがあっても、いつか幸せが訪れる。」
「…だといいですね…」


─救い、幸せ。
   
その言葉を聞いた時、以前襲撃があった時に助けてくれた彼が何故か脳裏に浮かんだ。

彼がそうだと言うのだろうか?

真実は分かりはしない、私には未来を見る力は無いから。


─だからこそ、また会えますようにと願う他ないのだ



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