Messiah

嘉禄(かろく)

A human being reaching new counterfeits


…今年も終わる。
今年は色んな変化の年だった、と思い返しながら夜空を見上げる。

チャーチに入り、メサイアと出会い、自分の正体を知った。
思考を制御出来ない時も未だにある…それでも、メサイア…衛がいれば少しは耐えられたような気もしている。

白い息が夜空に上るのを見つめていると、後ろから足音がした。


「...伊織、見つけた。またいなくなったかと思った…。
部屋戻ろう?風邪ひく」
「衛…もう少しいてもいいですか?星が綺麗なんです」
「少しだけ、だからね」


そう言うと衛も空を見上げる。
少しして、低く響く一年最後の日ならではの音が聞こえてきた。
衛は聞くのが初めてのようで、きょろきょろしたあと私に問いかけてくる。


「…伊織、これなんの音?」
「除夜の鐘、と言って大晦日に108回鳴らすんです。
煩悩を消す意味があるそうですよ」
「そうなんだ…」


何となく目を閉じて除夜の鐘に耳を傾ける。
すると、突然首周りがふわっと暖かくなった。
目を開くと、衛が後ろにいて私を抱きしめていた。


「衛、どうかしましたか?」
「…こうすれば、俺も伊織もあったかい」


それを聞いて私はふと微笑んだ。
…如何にも衛らしい、と思ってしまって。


「…ありがとうございます、暖かいです」


大人しくしていると、珍しく衛から口を開いた。


「…ね、伊織。
来年、もさ…俺と一緒にいる?背中合わせて戦える?」
「…当たり前でしょう、この身体が壊れるまで共に居ますよ」
「約束、したもんね」
「…来年も、これから先ずっと…よろしくお願いしますね?」


衛が頷くのを感じて、私は再び夜空を見上げるのだった─



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