Messiah

嘉禄(かろく)

After Christmas



今年もクリスマスが終わった。
チャーチの面子には世間一般のような、恋人とイルミネーションを見たり食事を一緒にするなどのクリスマスは無い。
だからこそ、せめてチャーチの中ではクリスマスらしくしようと毎年飾り付けやクリスマスツリーに豪華な食事とプレゼントが用意される。
まあ、考案するのは決まって百瀬さんだけど。
そして片付けをするのはいつも俺。
手間だけど、まあ嫌いではないので自然とやっている。

通路の壁に付けられた飾りを全て回収したところで雪斗が来て下から声をかける。


「お、やってるな。随分綺麗に元通りになった」
「まあ、あとはツリーだけだし」
「なら俺も手伝う」
「サンキュ」


飾りを箱にしまってからツリーが飾られている部屋に向かう。
役目を終えたツリーは光が切られてぽつんと立っていて、少し寂しげにみえた。
近くに脚立を立てて上から片付けていく。
取った飾りを下で雪斗が受け取りしまってくれてるお陰でさっきより片付けはスムーズに進んだ。


「これで最後…よし、終わり。
雪、手伝ってくれてありがと」
「気にすんな、お前がいなくて暇してたし。ほらこれ置いて戻るぞ」


頷いて脚立から下りて、ツリーと飾りを倉庫に片付ける。
こいつらの役目はまた来年、それまで倉庫で留守番。
お疲れ、と心の中で労いながら倉庫の扉を閉めて部屋に戻る。
すると突然目の前にマグカップが差し出された。
ほかほかと湯気を立てるそれは、甘い香りを放っていた。


「…ホットチョコレート?」
「正解、通路の片付けとかしてて冷えてるだろうと思って。
梓音猫舌だから、少し置いといたんだけどまだ熱いと思う」
「サンキュ、気をつけて飲むからいい」


受け取って少し息を吹きかけてから口をつけると、いい感じの温度になって飲みやすかった。


「…今年のクリスマスは騒がしかったな」
「まあサクラも増えたし、新双子もいるからな」
「プレゼント、喜んだかな」
「あー、ちょっと見かけたけど嬉しそうに開封してたぞ?
海斗はラッピングビリビリに破ってたけど」
「…来年は開けやすいラッピングにするか」
「お、梓音お手製か?器用だもんなお前」
「…それくらいなら骨折ってやる、手間はとらない方がいい」
「ま、そうだな。ほんと面倒見いいよなお前も陰では」


そう言われたのを何となく自分らしくないと思いながらマグカップに再び口をつける。
クリスマスの余韻のせいか、俺の脳内にある事が過ぎった。


「…なあ、雪」
「ん、なんだ?」
「…来年のクリスマスイブ、どっか行かね?」


それを聞いた雪は目を丸くしたあといつもの笑顔を浮かべて頷いた。


「わかった、来年行きたいとこ話し合うか」
「事前に百瀬さんに言っとく、絶対休み取る」
「だな、まあ早すぎるような気もするけど確定するに越したことない」


気が早すぎる、確かにそうだ。
でも、俺は今からわくわくして雪に気づかれない程度に口角を上げた─



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