Messiah

嘉禄(かろく)

Love to go on a rose



『お前には薔薇が似合う』


前に、そう言われたことがある。
誰に言われたかは覚えてない。
…それなら、今の俺は綺麗だろうか?
例え血に塗れていても、薔薇に包まれていれば。

俺は失敗した。
けれどすぐに殺されはしなかった。


『薔薇の庭に捨てろ、さぞかし美しい死体になる』


そう聞いたのは覚えている。
力を振り絞って目を開いても、紅しか見えない。
これは、俺の血か…それとも咲き誇る薔薇か…

薔薇の香りが強く漂っている。
どこかで聞いた、薔薇の香りで自殺が出来ると。


「…それも悪くないかな…」


俺の呟きに答えるように薔薇が揺れる。


─どうか、俺の海は生きて
    俺の分まで



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