Messiah

嘉禄(かろく)

The tears which dissolve in the sea


─冷たい、寒い

その感覚で僕は意識を浮上させた。
何かの流れに体がさらされている…これは、水?
呼吸のために開いた口に水が飛び込んでくる、それは塩辛かった。
自分が海に沈んでいることにそこで気づく。

それでも、もう泳いで上がるだけの体力は残っていなかった。

思い出した、戦闘で追い詰められて海に逃れるように落ちたこと。
体中に傷を負ったこと。
一人で散るなんて、思いもしなかった。
きっと、僕の体は海の中ですぐに傷んで骨しか残らないだろう。

─きっと、見つけられない。
    僕のメサイアにも。

そっと目を開けると、ぼやける中で僕の黒髪が流れに舞っていた。
君が綺麗だと言ってくれた僕の黒髪、この体…もう、君に見せることは出来ないね。

…僕が死んだ時、僕を見つけて見て欲しいと思っていつも懐にしまっておいた君宛ての手紙も読めないまま終わるんだろうな…

頬に一雫あたたかいものが流れる。
それは海の流れにも負けず、僕の顎まで伝った。


─さよなら 智晴─



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