Messiah

嘉禄(かろく)

Even if there is not the future


─それは、朧月が照らす夜のことだった。

"俺たち"はそれぞれの敵と対峙していた。
月光に照らされた銃やナイフが鈍く光る。


「…こんなところで終わるとはな…」


誰かが呟く。
その声は風に流され、届けたい場所には届かない。


「…幻でもいい、会いたいな…散る前に…」


前に半身に問われた言葉を思い出す。


『✕✕✕は、もし今世界が終わるとしたら何をする?』


その時俺はこう答えた。


『そうだな…その時になんないと分からないかな』


…まさに今がその時だ。
会えない今となっては、ちゃんと答えなかったことが悔やまれる。


「…もう一度聞いてくんないかな…したら、お前と笑っていたいって答えるのに…」


ずっと預けていた背中はもうここには無い。
温かな体温も、重ねる鼓動もない。


それでも、俺たちは鬨の声を上げる。
銃声と金属がぶつかり合う音が響く。


─もしも、この世界に未来がなくても。
俺たちには戦い抜く運命さだめがある。
だから俺たちは戦い続ける…


『君と生きるために』



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