Messiah

嘉禄(かろく)

Resistance of the doll, Impeachment of the crow



「…あの子に教えたんですか、自身の正体と過去を」


私は事を聞きつけて直ぐに一嶋さんの元に向かった。
伝えてくれたのは雛森。


『草薙が任務から戻った、そんでデータの解析をしてたらしいんだが…他の任務から戻った俺が一嶋に報告をしてたらあいつが入ってきて、いつもと様子が違った。
不審に思ってたら恨み言を言いながら銃を突きつけたんだ。
俺がいなくても一嶋なら我が身くらい自分で守っただろうけどな』


それで私は全てを察した。
そして今に至る。

問いかけても、一嶋さんは黙ったまま何も言わない。
私は痺れを切らして机にわざと大きな音をたてて手をついて体を乗り出した。


「…いっちー!答えてください」


すると、一嶋さんは溜息をついたあとやっと口を開いた。


「…ええ、実験のことは直接教えた訳ではありませんが」
「同じことです、どのデータを探るか指定したのは貴方でしょう!
太万島での任務で正体を教えた時にも批判したはずです、その結果草薙くんは自暴自棄になって貴方にも強い恨みを抱いて…今回のことと言い、何がしたいんですか!
彼は貴方の人形ではないんですよ?!」


私が言いたいことを一気に言って捲し立てると、一嶋さんは再び溜息をついた。


「…いずれ知らせるつもりでした、これは草薙伊織が乗り越えるべきものです。
確かに彼は失敗作、チャーチに連れてきたのも人員確保のため。
ですが、憎しみを知って彼は強くなる…文句や批判は受け付けます、雛森くんにも嫌味を言われたばかりですし。
ですが、少し見ていてください」


…まただ、この人は大事なことは結局話さない。
私たちには、一嶋晴海の考えはことが起こるまで分かりはしないのだ。
今度は私が大きな溜息をつくのだった─



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