NIGHTMARE in Church

嘉禄(かろく)

The helping hand is not held out

私がいつも通り情報部で監視カメラを見ていると、あの声が聞こえてきた。


『おっ久しぶりぃー、百瀬多々良』
「…その不愉快な話し方、相変わらずね。今回は随分お世話してくれたようで?」


私が宙を睨みつけると、後ろから抱きつかれた。
まるで慈しむように頬を撫でられる、けれど私は特に抵抗をしなかった。


『そーそー、久しぶりにこんなに頑張ったから疲れちゃった。』
「労いの言葉なんてかけないわよ」
『えーつれないなー?雛森雪の時なんて奮発したのにー…君が来ないからだよ、百瀬多々良』


そいつ…ナイトメアは私の耳元で囁いた。
それにも私は動じずかと言って拒みもしなかった。
それをどう思っているのかは知らない、ただナイトメアは変わらず耳元で語りかけてくる。


『メサイアの脱走を手助けし、その後どんなに裏社会で名を轟かせようと癒されない孤独。救われることの無い悪夢、絶望は君の中にある。ねえ、こっちにおいで?楽になれるよ?』

気づけば私は暗闇に包まれていた、恐らく雛森を閉じ込めたのと同じナイトメアの夢でしょう。


「…知っているでしょう、私は私自身に楽になることを許していないのよ」
『…そうだね、それでこそ僕達の至高…百瀬多々良、誰より深き闇を知る者…君のそばは心地良い、また会いに来るよ』


闇が晴れていく、目の前には変わらず監視カメラの複数の映像があった。


「…救われることのない悪夢、それを課したのは他でもない私自身。
私は、私にとってのNIGHTMAREね…」


私は呟いて、そのまま作業に戻った─

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