NIGHTMARE in Church
The tone brings a nightmare
俺は、加々美いつきと有賀涼に襲いかかる悪夢を夢を通して見ていた。
…やはり彼は悪夢に打ち勝った。
俺が出ればまた話は変わったかもしれない、でもそれは俺の望みではなかった。
背後に慣れた存在が降り立って、俺に頬擦りする。
その気配は楽しんでいるような、苛立っているような…どちらとも言えない複雑さを極めていた。
「…分かってると思うけど、彼乗り越えたよ」
「分かっているよ、見ていたから」
「残念だったねぇ、負けたら僕らのものだったのに。
…良かったの?君は出なくて」
俺を試すようなその問いかけに、俺は淡々と返した。
「いいんだ。確かに彼に会えるのはいい、でもね…彼は勝つと分かっていた。悪夢に屈するような、弱い男じゃないよ。
…でも、有賀涼との会話で俺の名前を出したのは頂けない」
「ごめんて、彼の心を揺さぶるにはやっぱり君は必要不可欠なんだよ。
…あーあつまらない、君も含めね?
有賀涼をいらないなんてさー、きっといい駒になってくれただろうに」
俺から離れて不貞腐れたように宙を舞うのを見て俺は苦笑した。
「チャーチに縛り付けられていた君を迎え入れたのは、解放もあるけど役に立つと思ったからだよ?
有賀涼に働かないんじゃ意味ないじゃない?」
「ごめんね、彼が道を誤ったら出るからさ」
俺は自ら望んで悪夢になった、チャーチの中にいるのもいいけどこうした方が色々と自由が効いたから。
現世を映して、相変わらず表情が読めない彼にそっと呼びかける。
「…有賀、君は終わりのない血と硝煙の中で生きるんだ。
決して、狂わないように…まあ大丈夫だと思うけど。
俺は君の悪夢として、遠くからずっと見ているよ」
俺を殺したメサイア、有賀涼。
君の美しい理想、叶うといいね。
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