適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。

しみずん

15 ようやく

「と、言ったところで話はだいたい終わりなんじゃが。かなり話の内容をかいつまんで端的に、簡潔に語った訳じゃが、きちんと理解して貰えたかのう? まあ、端的に、簡潔にとは言っても、たんに天界一寡黙で話し下手なだけなんじゃが……。まあ、お利口さんなレキア君ならきちんと理解してくれるじゃろうとワシは信じておる。あと神通力の使い道についても、な。さて……話すべき事は話したし、休憩も終わりじゃ。ワシの仕事はまだまだ終わりは見えんし、さっきからナミちゃんの咳払いがどんどんとその大きさと回数が増えておるからのう、また叱られる前に仕事に戻らなくてはいかんのう(まだ先の話じゃろうがレキア君も結婚したら気をつけるんじゃよ?)それでは名残惜しいが本当にここいらで終わりとしようかの……」

 やっと終わりかよ……3話に渡って喋りまくってくれちゃって、主人公は俺なんだよ? 全く……。

「じゃあの。万物を愛する、つまりは君の事も当然愛しておる人間界の神、ナギ爺ちゃんでした。PS、身体に気をつけてのう」

 最後にそう言って、俺の頭の中から? 神様は消えたようで、その後は神様の声は全く聞こえなくなった。

 何で最後は手紙風に……。

 というか。突っ込むタイミングを完全に見失っていたけれど、俺、ルキアだから。

 縦棒一本足りないから……。

 愛してくれるのは素直に嬉しい限りだが、惜しいというかなんと言うか……ツメが甘い。

 だから神通力なんて代物を間違えて与えちゃうんだよ……。

 本当にもう……。

 ぐるぐるぎゅるるぅぅぅ。

 徐々に意識が覚醒して、視野が、感覚が、通常の状態へと戻った。

「腹……減ったぁ……」

 俺の腹の虫は腸内に食料がないと判断し、もはや頭の中まで駆けずりまわっていてどうにも手がつけられない状態だった。

 さっきの神様の言葉が正しければ、俺を襲う飢えと気だるさ、また糖の欲求は《神調整》による反動という事だが……。

 単純に考えて【力】を上げたから通常よりもエネルギー消費が爆発的に激しくなり、今のこの激しい飢えと疲れになってその反動が現れたって事か。

「……あぁ、なるほど」

 そうやって考えてみれば今の状況というものは全然、謎の体調不良ではなくむしろ理にかなった体調不良だと思えた。

【賢さ】と【理解力】を上げたから脳が文字通りフル回転して、見たことも聞いたこともない文字と言葉を扱えた。

 そして、疲れた脳は《糖》を欲する。

 だから甘党ではない俺が珍しく糖分を求めていたって訳か……。

 なるほど、なるほど。

 それこそ【賢さ】と【理解力】で分かりそうなものなんだけど、初見の文字と言葉を理解するという偉業を成し遂げたせいで脳が疲れ機能が低下していたのであろう。

 だから神様に言われるまで、思いもしなかった。

 そこまで分かってしまえば俺の次にとるべき行動は明らかだった。

「……ステータス」

 チキチキチキーーーー

 ・
 ・
 ・
【賢さ】   20
 ・
【理解力】  20
 ・
 ・
 ・

 俺は【賢さ】と【理解力】の値を調整して気付く。

「頭いい人も色々と大変なんだな」

 ぐるぐるぅぅぅ……ぎゅーん!

 俺の腹の虫はまだおさまらない。





 

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