適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。
14 お年寄りの話は……
「じゃからな、今回レキア君に渡してしまった神通力という力は本来なら人間が持ち、扱える力ではないからステータスのとんでもないところに名前があるんじゃないかのう? 本来なら、
【神通力】 神調整
という感じになるんじゃが、レキア君の場合はもしかしたら、
【文章力】 神調整
とか、なっておるんじゃなかろうか?
人間には【神通力】という項目自体がないのじゃから、行き場をなくした《神調整》がどこに行こうとも許してあげて欲しい。
じゃからというか、本来持ち得ない《神調整》という神通力が人間のレキア君にとってどんな悪影響を及ぼすのか分からんし、どんな問題がレキア君を襲うかも正直なところ分からんのじゃ。じゃがまあ、これだけは確かじゃろうな、少しの神通力なら少しのリスク、大きな神通力なら大きなリスクといった具合に力とリスクは比例する。じゃから何も知らないレキア君がむやみやたらと神通力を使ってしまい危機的状況になる前に連絡したと言う訳なんじゃ。じゃが万が一神通力を使ってしまっていて今現在、レキア君がなにかしらの謎の体調不良を感じているのならそれは恐らく、神通力による反動のようなものじゃな。まあ、神通力をさっそく使ってしまっておるなどという可能性は万に一つもありはせんじゃろうが……。それに神通力とはいっても《神調整》だけじゃしそこまでの大きなリスクがあるとは思えん。しかし少さいリスクといえどリスクである事は変わりないのじゃから慎重に扱うよーーーー」
ぐぎゅるるるぅぅぅ……。
えっ……何これ……まだ続くの?
まだ、喋るの? あのお爺さーーーー
「さて。リスクについても話したし、お次は使い方についてじゃがーー」
知ってる! それもう知ってるから、とにかく今は何か食べさせて! お願い! 死にそう!
「ステータス! と叫ぶとーーーーまあ、実は叫ぶ必要はないんじゃがーーーーその方がワシの好みであって実際にやってみるとーーーースマホのように左右にーーーーそれから各項目を上下にーーーーレキア君が知らんような項目ーーーーホッホッホッ!ーーーーナミちゃんからーーーー」
だからそれ知ってるって! 謎の体調不良の原因もわかったって! これ以上は勘弁して! 勝手に頭の中で喋らないで!
「ーーーーでだ、つまるところ《神調整》とは君達、人間が産まれる際、将来なりたいものになれるようにワシ達神が才能として個人の能力を調整する神通力じゃな。サッカー選手になりたいのならば身体能力を高めて、博士になりたいのなら知力を高めにしてやるといった具合にな。まあ……才能を与えても本人がやる気にならなんだら才能は開花せんがの……。まあまあ、とにかく! レキア君が大きな神通力を使う前に、その身が危険にさらされる前にはるばる人間界からこうして連絡をとったと言う訳じゃ。どうかな? 少しは理解できたかな?」
心配してわざわざ天界から連絡してくれたのはとてもありがたいんだけど、注意してくれた事はすでにやっちゃってるんで何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
そして、もう少し早く言って欲しい……。
「でじゃな……今話した通りレキア君は普通の人間じゃが、普通の人間ではありえない神の力、すなわち神通力のほんの一部を有しておるわけじゃ。それはとても大変な事であり、とても重要な事であり、前代未聞の大事件である」
人間でありながら神でもある。
神でありながら人間でもある。
どちらでもあって、どちらでもない。
未だかつて誕生したことがない新たな存在、名もない怪しげな存在。
「それが君じゃ」
と、神様は慎重に言葉を選んで俺に告げる。
先程までの気さくな感じはいつしか影を潜めて、現状の、事の重大さを言葉を尽くして説明するように重々しく語る。
「最後にワシからのお願いじゃ。ワシは神として生まれ、神通力を与えられ、万物を愛して生きておる。じゃがそれは神だから万物を愛しておるというわけではない。ワシは神ではなくとも万物を愛していたと思う。愛は素晴らしいものじゃし、万物全てに必要じゃと思う、万物これ全て愛がなくては存在しえんのじゃ。じゃからワシは与えられた神通力を万物に対し愛を持って施しておる。これはあくまでワシ個人の考えであってレキア君に強制できるものではないんじゃが、今回レキア君が手にしてしまった神通力をどうか願わくば万物の、愛の為に使っては貰えないだろうか。神通力とは私利私欲の為ではなく万物の為に存在する力じゃと思うから」
その言葉に込められた神様の本当の気持ちが俺の空腹の腹一杯に染み渡る。
【神通力】 神調整
という感じになるんじゃが、レキア君の場合はもしかしたら、
【文章力】 神調整
とか、なっておるんじゃなかろうか?
人間には【神通力】という項目自体がないのじゃから、行き場をなくした《神調整》がどこに行こうとも許してあげて欲しい。
じゃからというか、本来持ち得ない《神調整》という神通力が人間のレキア君にとってどんな悪影響を及ぼすのか分からんし、どんな問題がレキア君を襲うかも正直なところ分からんのじゃ。じゃがまあ、これだけは確かじゃろうな、少しの神通力なら少しのリスク、大きな神通力なら大きなリスクといった具合に力とリスクは比例する。じゃから何も知らないレキア君がむやみやたらと神通力を使ってしまい危機的状況になる前に連絡したと言う訳なんじゃ。じゃが万が一神通力を使ってしまっていて今現在、レキア君がなにかしらの謎の体調不良を感じているのならそれは恐らく、神通力による反動のようなものじゃな。まあ、神通力をさっそく使ってしまっておるなどという可能性は万に一つもありはせんじゃろうが……。それに神通力とはいっても《神調整》だけじゃしそこまでの大きなリスクがあるとは思えん。しかし少さいリスクといえどリスクである事は変わりないのじゃから慎重に扱うよーーーー」
ぐぎゅるるるぅぅぅ……。
えっ……何これ……まだ続くの?
まだ、喋るの? あのお爺さーーーー
「さて。リスクについても話したし、お次は使い方についてじゃがーー」
知ってる! それもう知ってるから、とにかく今は何か食べさせて! お願い! 死にそう!
「ステータス! と叫ぶとーーーーまあ、実は叫ぶ必要はないんじゃがーーーーその方がワシの好みであって実際にやってみるとーーーースマホのように左右にーーーーそれから各項目を上下にーーーーレキア君が知らんような項目ーーーーホッホッホッ!ーーーーナミちゃんからーーーー」
だからそれ知ってるって! 謎の体調不良の原因もわかったって! これ以上は勘弁して! 勝手に頭の中で喋らないで!
「ーーーーでだ、つまるところ《神調整》とは君達、人間が産まれる際、将来なりたいものになれるようにワシ達神が才能として個人の能力を調整する神通力じゃな。サッカー選手になりたいのならば身体能力を高めて、博士になりたいのなら知力を高めにしてやるといった具合にな。まあ……才能を与えても本人がやる気にならなんだら才能は開花せんがの……。まあまあ、とにかく! レキア君が大きな神通力を使う前に、その身が危険にさらされる前にはるばる人間界からこうして連絡をとったと言う訳じゃ。どうかな? 少しは理解できたかな?」
心配してわざわざ天界から連絡してくれたのはとてもありがたいんだけど、注意してくれた事はすでにやっちゃってるんで何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
そして、もう少し早く言って欲しい……。
「でじゃな……今話した通りレキア君は普通の人間じゃが、普通の人間ではありえない神の力、すなわち神通力のほんの一部を有しておるわけじゃ。それはとても大変な事であり、とても重要な事であり、前代未聞の大事件である」
人間でありながら神でもある。
神でありながら人間でもある。
どちらでもあって、どちらでもない。
未だかつて誕生したことがない新たな存在、名もない怪しげな存在。
「それが君じゃ」
と、神様は慎重に言葉を選んで俺に告げる。
先程までの気さくな感じはいつしか影を潜めて、現状の、事の重大さを言葉を尽くして説明するように重々しく語る。
「最後にワシからのお願いじゃ。ワシは神として生まれ、神通力を与えられ、万物を愛して生きておる。じゃがそれは神だから万物を愛しておるというわけではない。ワシは神ではなくとも万物を愛していたと思う。愛は素晴らしいものじゃし、万物全てに必要じゃと思う、万物これ全て愛がなくては存在しえんのじゃ。じゃからワシは与えられた神通力を万物に対し愛を持って施しておる。これはあくまでワシ個人の考えであってレキア君に強制できるものではないんじゃが、今回レキア君が手にしてしまった神通力をどうか願わくば万物の、愛の為に使っては貰えないだろうか。神通力とは私利私欲の為ではなく万物の為に存在する力じゃと思うから」
その言葉に込められた神様の本当の気持ちが俺の空腹の腹一杯に染み渡る。
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