適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。

しみずん

13 神様

 視界がぼやけ始め意識も朦朧とし始めたその時、突然聞き覚えのある声が耳に、いや、頭の中に響いた。

「ああ。ああ。ワシの声が聞こえるか? お前さんは確か……レキア君じゃったかな? ワシは人間界の神じゃ。覚えておるか? そうーーーーお前さんをそこに送ったのがワシじゃな。突然すまなかったね、ビックリしたじゃろう? 最近は異世界の連中が暇を見つけては人間界から勇者召喚と称して君達、人間を召喚するもんじゃから人間界の神であるところのワシは出界の手続きに追われて大変なんじゃ。まあ、人間だけではなく犬や猫と言った動物達も勇者召喚に巻き込まれておるが……。連中もビックリするじゃろうな、勇者を召喚したのに実際は動物達が召喚されてくるんじゃから肩透かしとかいうレベルではない話じゃのホッホッホ! そこいくところ今回はレキア君というちゃんとした、純粋な、まがい物でない人間を運良く召喚できたんじゃ、連中は大喜びじゃろう連中の満足げな顔が目に浮ぶわい。はしゃいどったんじゃろうなぁ……年甲斐もなく『いよっしゃぁぁぁ!』とか言ったりしての。ワシとしてもレキア君を送り出した身として鼻が高いわい。あっそうじゃ。今回レキア君は勇者召喚に巻き込まれた訳じゃけれども、元いた世界では事故死した事になっておるから安心してほしい(もちろん死体はワシが用意したダミーじゃが)ただ、親御さんには申し訳ない限りじゃ、大事に育てた最愛の#息子__宝物__#を無理矢理に奪ってしまったんじゃからのう。そして当然、まだまだ幼いレキア君から最愛の両親との間を引き裂いてしまっておるんじゃから、繰り返しになってしまうが申し訳ない。どうしようもない事とはいえワシが神である以上ワシが責任を取るべきなのじゃが、今は、というか多分これからも君達親子に償いをする事は出来ないと思う。無力なワシをどうか許して欲しい。これも都合がいい話じゃな。あぁ……いやいや、ワシが話そうと思ったのは今回の経緯ではない。ワシが真に話したいのは、また別の話じゃ。年を取ると話が長くなりがちでいかんのう。レキア君も見たと思うがワシの抱えておった仕事量ハンパじゃなかったじゃろう? 机の上資料の山じゃったろう? 辺り一面勇者召喚待ちの人間じゃったじゃろう?(ここだけの話……実は神とはブラック企業なんじゃないかとワシは睨んでおるんじゃ)こう見えてもワシは天界一仕事が早い、疾風のナギちゃんとしてかなり有名なんじゃぞ? ワシのこの仕事の早さを見てナミちゃんはワシに惚れたと言っても過言ではなかろうよ。ああ、ナミちゃんとはワシの奥さんの事じゃな。ナミちゃんは天界一の美貌と噂されるほどそれはそれは美神なんじゃぞ。それに美人なだけではない、ひとつひとつの所作が洗練されておって眺めておるだけで心が癒されてしまうんじゃ。まあ、簡単に言ってしまえばワシの自慢の奥さんじゃ。ああ、違う違う。ナミちゃんの自慢をしたい訳じゃないんじゃ。いかんいかん、また話しが逸れてしまった。ごめんのうレキア君。それではここからが本題じゃ。単刀直入に話そう。レキア君。君に与えたスキルがあるじゃろ? あれは実はスキルではないのじゃ、うん? じゃあ何かって? うん。あれはな《神通力》じゃ。まあ、簡単に言ってしまえば神の力、神様だけが使う事を許された奇跡の力じゃな。それをワシの手違いで君、レキア君に渡してしまったんじゃよ。うん? うん。ワシもすっごい怒られた。ナミちゃんに。反省反省。でな、ワシら神と呼ばれる存在はその神通力をいくら使っても特にこれといって危険性みたいなものはないんじゃがレキア君達、人間が神通力を使うとそのあまりの力に身体がついていけずに多少のリスクが生じてしまう。と、思う。なぜ『思う』と不確かな感じなのかは、これが前代未聞の出来事だからじゃよ」



 ……主人公差し置いて喋りすぎじゃね?


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