適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。
5 冷静に
『きぃ……』
鉄格子はまたも弱々しい悲鳴をあげ、大きく開いたその大口を閉じた。
「…………う~ん」
俺は突然の出来事に再度、空っぽの頭を4回転半ひねって考える。
俺の正面では鉄格子が少し変形した口を開いて『ちゃんと真っ直ぐな状態に戻してくれ』と言わんばかりに俺の次なる行動を静かに見守っている。
「まさか……ね」
普通に考えれば、そういう事なのだろう。
そういう事なのだから、こういう結果になったのだろう。
つまり?
俺はステータス画面を呼び出して検証してみる事にした。
「ステータス!」
【☆】 1
【名前】 ルキア神調整
【LV】 1
【力】 927
【守り】 10
【速さ】 8
【賢さ】 0
【運】 5
【スキル】 ーー
・
・
・
・
・
・
俺は指先でそっと【力】の欄を下方向へ撫でてみる。
チキチキチキチキーーーー
またしても聞き覚えのある音が鳴り響く。
【力】 ……81 82 83
数字が変化しさっきよりかなり低い数値になった。
81の部分を指先でそっとタッチする。
【力】 81
またしてもバグは治りなんだか綺麗に整った。
そして、
俺は鉄格子を両手に掴んで力いっぱい広げてみた。
しかし、鉄格子はビクともせずに先程のような弱々しい悲鳴をあげる事もなく俺の前に立ち塞がっている。
そんな鉄格子に足を掛けて広げてみてもビクともせず、噛み付いてもビクともせず、頭突きをしてみたらしっかりとタンコブが出来た。
鉄格子は完全に自信を取り戻したのか一層、黒く冷たく光って俺の前に立ちはだかり見下ろしている。
「……やっぱりそうか」
検証の結果。
どうやら俺はステータスの値を#調整__・__#する事ができるらしい。
「ちゃんとスキル持ってるじゃん。良かった」
ちゃんとスキルを持っていた事にひとまず安堵し、そしてなぜか名前の後ろにスキル名があるのがとても気になった。すごいイライラする。
俺はこう見えてA型なんだ。スキルはスキルの欄に行け!
だが、何度試してもスキル名をスキルの欄に移動させる事は出来なかった。
なので、いつかどうにかなるだろうと自分に言い聞かせそのままにしておく事にした。
「さてさて……じゃあこれからいったい、どうしたものか」
能力の値を変更できるのなら、牢屋から抜け出すのはさっきもやった通り簡単な事だ。
【力】を上げれば力持ち。
【守り】を上げれば鉄壁に。
【速さ】を上げれば韋駄天に。
【賢さ】を上げれば天才に。
【運】を上げればラッキーマンに。
「…………」
考えれば考えるほどに何でもできてしまえる今のこの状況をやっと理解して、胸がはち切れんばかりにワクワク、ドキドキしていた。
やっべ。神対応ならぬ神調整マジ最強じゃん!
俺は静まりかえった牢屋の中で、1人寂しく右手の親指をぐいと立てた。
鉄格子はまたも弱々しい悲鳴をあげ、大きく開いたその大口を閉じた。
「…………う~ん」
俺は突然の出来事に再度、空っぽの頭を4回転半ひねって考える。
俺の正面では鉄格子が少し変形した口を開いて『ちゃんと真っ直ぐな状態に戻してくれ』と言わんばかりに俺の次なる行動を静かに見守っている。
「まさか……ね」
普通に考えれば、そういう事なのだろう。
そういう事なのだから、こういう結果になったのだろう。
つまり?
俺はステータス画面を呼び出して検証してみる事にした。
「ステータス!」
【☆】 1
【名前】 ルキア神調整
【LV】 1
【力】 927
【守り】 10
【速さ】 8
【賢さ】 0
【運】 5
【スキル】 ーー
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俺は指先でそっと【力】の欄を下方向へ撫でてみる。
チキチキチキチキーーーー
またしても聞き覚えのある音が鳴り響く。
【力】 ……81 82 83
数字が変化しさっきよりかなり低い数値になった。
81の部分を指先でそっとタッチする。
【力】 81
またしてもバグは治りなんだか綺麗に整った。
そして、
俺は鉄格子を両手に掴んで力いっぱい広げてみた。
しかし、鉄格子はビクともせずに先程のような弱々しい悲鳴をあげる事もなく俺の前に立ち塞がっている。
そんな鉄格子に足を掛けて広げてみてもビクともせず、噛み付いてもビクともせず、頭突きをしてみたらしっかりとタンコブが出来た。
鉄格子は完全に自信を取り戻したのか一層、黒く冷たく光って俺の前に立ちはだかり見下ろしている。
「……やっぱりそうか」
検証の結果。
どうやら俺はステータスの値を#調整__・__#する事ができるらしい。
「ちゃんとスキル持ってるじゃん。良かった」
ちゃんとスキルを持っていた事にひとまず安堵し、そしてなぜか名前の後ろにスキル名があるのがとても気になった。すごいイライラする。
俺はこう見えてA型なんだ。スキルはスキルの欄に行け!
だが、何度試してもスキル名をスキルの欄に移動させる事は出来なかった。
なので、いつかどうにかなるだろうと自分に言い聞かせそのままにしておく事にした。
「さてさて……じゃあこれからいったい、どうしたものか」
能力の値を変更できるのなら、牢屋から抜け出すのはさっきもやった通り簡単な事だ。
【力】を上げれば力持ち。
【守り】を上げれば鉄壁に。
【速さ】を上げれば韋駄天に。
【賢さ】を上げれば天才に。
【運】を上げればラッキーマンに。
「…………」
考えれば考えるほどに何でもできてしまえる今のこの状況をやっと理解して、胸がはち切れんばかりにワクワク、ドキドキしていた。
やっべ。神対応ならぬ神調整マジ最強じゃん!
俺は静まりかえった牢屋の中で、1人寂しく右手の親指をぐいと立てた。
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