適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。

しみずん

2 はずれの勇者召喚

「…………うっ」

 再び気が付くと辺りは全く見たことのない人達がたくさんいて、服装から察するに何となく神に仕える高僧だとか、召喚士みたいな妖しい術を使いそうな連中が数人いた。

 そういった人達が絶望に満ちた眼で俺を見下ろしていた。

 その中の1人の男が光る杖先で俺を照らしつつ重々しく口を開く。

「……陛下。ご報告します。残念ながら星1です」

「またダメか……」

 陛下と呼ばれた男は見るからに上等な布で作られた服を着ていて細部の装飾や頭部の王冠を見るかぎり、まるで絵本に登場する王様そのものだった。

 肩を落とす陛下の側では数人の男達が何やらひそひそと話している。

「ああ……やっぱり。魔法陣が白だったから」

「確定のレインボーとまではいかんでも、せめて金の魔方陣ぐらいは……」

「どうするのだ、なけなしの財産だったのだろう……」

「ああ……どうすれば……これからいったいどうすれば……」

「陛下……この者、いかが致しましょう?」

「…………」

「陛下っ!」

 もはや放心状態の陛下は、ただ力無く右手を上げてそれに答えた。

 光る杖先で俺を照らしていた男が見下したように言う。

「はぁ……どこからどう見ても普通の少年だな。疑いの余地がまったくない程に……戦闘力のカケラも感じられない。逆にすごい事だよ」

 何だろう、これ。

 すっごいムカつく。

 白の魔法陣、レインボーなら確定、せめて金の魔法陣、落胆の様子、見下した眼差し。

 これだけヒントを貰えれば嫌でも分かる。

 つまり。

 念願の勇者召喚されたはいいが、俺は。

 #はずれキャラ__・__#扱いって事なんだろう?

 俺の胸の中では真っ黒な悲しみと怒りが渦を巻いていた。

 でも、それはついさっきまで俺もスマホのゲームキャラに対してやっていた事と同じなので、ここで俺が怒るにはあまりも自業自得と言うか、自分勝手のように思えてきて。そう思うと不思議とさっきまでの怒りや悲しみは治っていった。

「魔物の餌くらいにはなるだろう、とりあえず廊へ放り込んでおけ!」

 そう言われて俺は2人の男に連れられて地下にある牢獄へと蹴り込まれた。


 

「適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く