自己嫌悪と消滅願望

浮艇景

自己嫌悪と消滅願望

 もどかしい。
 心はとても焦っているのに、身体はちっとも前に進まないんだ。それが更に焦りを募らせて、心はいよいよそんな不甲斐ない身体に苛立ちを覚え始めるのに、身体は余計に前へと進まなくなるんだ。


 情けない。
 本当は好きになりたいのに、そんな自分が自分は大嫌いだ。いっそ端から存在しなければよかったのになんて思ってるんだ。存在しなければ、代わりなんていくらでもいるのだからこんなに迷惑かけることなんて最初からなかったのだからね。
 存在していて、ごめんなさい。


 切ない。
 仮にこの世で誰かがいなくなったとしても、いつしか代わりの誰かで埋め合わせられる。それが当たり前のまま時は過ぎていく。だから一般市民一人いなくなったところで、世界は何も変わらない。だから、たとえ自分が消えても別にいいような気はするんだ。


 でもね、でも。
 もしも自分が存在することで、こんな自分の隣で君が笑ってくれたら……
 自分がこの世界に存在していても許されるかなって、そう思える気がするんだ。

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