ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

迷子の迷子の孤島さん?

 「今回受けてもらう依頼は薬草採取の依頼です。なので余程のことがない限り戦闘はありませんよ」

 というシャルルの声を聞くと、さっきまでやる気に滾っていたクリスとリリスは目に見えて落ち込んでいた。

「そ、それじゃあ、主様に私たちの力を見せる舞台は・・・」

「また今度の機会にして下さい」

「えー、マジかよォ。完全に狩りの気分だったのによォ」

 リリスはショックによって固まってしまって、クリスはブーブー不平を言っている。

 ちなみに俺はどちらかというとそっちに混ざりたい気分だ。だって薬草採取とか見るからにつまんないじゃん? 腰痛くなりそうだし、見分けつかないし。

「運が良ければ、ふわふわモコモコの生物を見れるかもしれませんよ?」

「行きますっ!」

 ふわふわモコモコが居るなら薬草採取に行ってもいいね。

「手のひら返すの早いですね・・・」

 当たり前だ! 状況や報酬によって仕事をやるかやらないか決めるのは当たり前だろ? やるからにはちゃんと報酬がないとねー。

『ルーは寝てるねー』

 ルーちゃんは薬草には興味がないらしい。生肉でもガンガン食べるルーちゃんも薬草を取れたまんま食べようとは思わないらしい。

「となると留守番が必要ですね。では、半蔵お願いします」

「じ、自分でござるか?」

「いや、私がやる。サボれるし、ルプルと遊べる。一石二鳥」

 ヤミのやる気のなさはいつも通りなんだな。

「いえ、今回は半蔵にお願いします。半蔵は1度倒れていますし、この後必須の戦力になりますからね」

 必須の戦力ってなに? なんか起こるの? 俺たち何者かに襲われたりすんの?

「むーーー、しょうがない。今回は半蔵に譲ってあげる」

 ヤミはほっぺたをプクーっと膨らましてご機嫌斜めだ。

「それじゃあ行きましょうか」


 
 ってことでやって来ました。前回と同じくスライムの里です。薬草採取なのに何故かって? それは薬草はスライムの里を少しこえた所にある森で採れるからだ。
 俺はシャルルの横を歩き、その後ろにクリスとリリスがヤミに絡まれながら着いてきている。

「スライムの里を通るからルーちゃんは連れてこれなかったんだね」

「はい、ルプルがここに来たらここで時間をかなり取られてしまいますからね。
 半蔵を置いてきたのもルプルを1人でお留守番させておくのは心配だったからです」  

 ルーちゃんって結構ワガママだからね。
 ルーちゃんよりスーちゃんを連れてきた方が良かったんじゃないかな?

「そうしたいのは山々ですが、スフィアを連れてくるとご主人様が逃げた時に誰も追いつけませんからね」

 まぁ、そうだよね。俺、1回逃げたもんね。そりゃ警戒するわ。

「はぁ、スフィアがいてくれたらルプルの面倒も見てくれて色々活躍するというのに、ご主人様が逃げ出すからこうなってしまったんですよ?」

 とっても耳が痛いです・・・

「あら、そんなことを話している間に着きましたね。プルーンフォレストに」

 プルーンフォレスト。名前にプルーンと着いているのにプルーンの木は生えてないらしい。名前の由来はなんなんだろうね。

 シャルルが言うにはふわふわモフモフの生物が住まうことで有名な森らしい。とっても楽しみだ。

 まぁ、その前に仕事はしないとな。薬草採取。この依頼は事後報告でも問題ないらしいので今回は冒険者ギルドに寄ったりはしていない。なのでクリスとリリスの契約魔獣の登録も帰りにすることになっている。

「さて、ご主人様。薬草の採取の仕方なんですがとっても簡単な方法があります」

 そんなに簡単なの? 鑑定するよりも?

「えぇ、もちろん。それは手当たり次第生えてる草をぶち抜くことです」
  
 でた、シャルルの脳筋。それじゃ薬草以外も混ざっちゃうでしょ!

「ところがどっこい! この森には薬草以外の草は生えていません! その代わり木の樹液には猛毒が含まれています!」

 何この森! 怖っ! ・・・ってかなんでシャルルはそんなに興奮してるの?

「こんなに暗殺のための素材が採れる場所ありませんよ! さぁ! 行きましょう! 採取を! 採取を!」

 なんかシャルルのテンションがおかしいのはほっとこう。多分これ手が付けられないやつだ。

「その通り。あのシャルルはほっとくのが吉」

 ヤミもそう言ってるし無視しておくか。というかシャルルがもう森の中にずんずんと入っていってしまってる。
 これちゃんと日没までに帰ってくるよな? 大丈夫だよな? 俺は確認のためヤミの方を向くとヤミは目をそらす。

 ・・・まぁ、その時はその時だ。その時考えよう。

 俺はシャルルに言われた通り、目に見える草をある程度残しながら根っこから引っこ抜いていく。取りすぎて薬草が全滅するのは良くないしね。
 
 そんな俺の前に現れたるキノコの群れ。その周りには苔がたくさんの生えている。
  
 むっ? そういやキノコとか苔とかってどうすればいいんだ? 
 
 まっ、鑑定すればいっか。まずはThe毒キノコって感じの真っ赤で立派なキノコ。

 レッドマッシュルーム:解毒効果がある。だが、とてつもなく苦い。だが、食感はいい。

 へー、これは見かけによらず毒がないんだな。俺はそのキノコを保管庫に突っ込む。

 次は紫色と白のストライプをもったひょろひょろキノコ。

 ポイズンマッシュルームモドキ:ポイズンマッシュルームに見えるが毒はない。ほんのり甘く、人気が高い。だが、生えてる数は少ないので高値で取引される。

 こいつも大丈夫と。ただ、同じようなキノコを見つけてもしっかり鑑定しないといけないな。注意しよう。
 
 こんな感じでキノコを集めて1時間。俺はやっと全てのきのこの判別を終えた。結果から言うと毒を持ったキノコはなかった。
 各種数本ずつ残しておいたが、それでも10本ずつは採取出来たので良かった。

 ただ、黄金キノコというキノコだけ1本しか生えてなかった。もちろんこいつは収穫しました。

 次は苔だ。これはヒカリゴケが大半をしめ、残りの殆どはニゴリゴケ。少量だけだが、プルーンモスというスギゴケに似たような苔が取れた。

 そこからも目に見える草をぶち抜いたりしていると、いつの間にか空が赤く染っていた。

「そろそろ戻らないとな。シャルルは大丈夫かな?」

 俺は元来た道を戻ろう。そう考えたのだが・・・

「やばい、どっちから来たっけ?」

 そう。俺は極度の方向音痴なのだ。

 方向音痴の特性として、まずはどこから来たかを忘れて帰れなくなる。

「いや! なんかこっちから来た気がする!」

 そして、根拠のない自信が湧いてくる。

「あっ! そうだここだここ! 俺この木見たことあるもん!」

 更には見たことの無いものでさえ「見た覚えがある」と認識し、そのまま突き進む。そしてこの認識を疑うということを知らない。

「あ、あれ? なんか木の葉の色が変わってきたぞ? 流石にこんな風景は見てない。戻ろう」

 戻る。

「えー、なんでだろ? ここまでは合ってると思うんだけどなぁ」

 進む。

「うーん・・・」

 戻る。

「あっれー? あそこにも戻れなくなったぞ? いや、あの木の配置見たことある! あっちだ!」

 進む。

「うんうん、こっちだこっち!!」

 進む。

 そんなことをしているうちに、空には月が昇っていた。

「ま、まずい。完全に迷った・・・」

 以前から完全に迷ってるだろ!、というツッコミは置いといて。実際かなり不味いことになった。

 シャルルは俺の居るところまでワープ出来るアクセサリーを持っているが、今のシャルルは如何せん頼りにならない。多分今も森のどこかを駆け回っているに違いない。

 ディアンヌを呼ぶのも良いけど、流石にここからディアンヌに届くかも微妙すぎる。

 俺がどうしようかと考えを巡らせていると、とある声が聞こえてくる。

「異界からの訪問者さん。こちらにおいで。私が案内してあげる」 

 「・・・嫌だけど」

「えっ!? ・・・ゴホンゴホン。いいのよ、無理しないで。対価は要らないわ」

 「行かないって。 どうせ魂とか吸われるやつなんだろ?」

「なっ! 何故それを!」

「言っちゃダメだろ! てか魂吸うってマジ? 適当に言っただけなんだけど」

「し、しまったぁぁぁ! ぐぬぬ! さてはお前私を嵌めたな! 卑怯者め!」

 いや、嵌めようとしたのはお前だろ。

「まぁ、どうでも良いけどさ。お前は一体何者なんだよ」

 俺がそう聞くとその声は得意げにふっふっふと笑ってこう言った。

「しっかた無いのぉ! 私の正体を教えてしんぜよう!」

 どうでも良いから早くしてほしいなぁ。などと考えていると俺の目の前の木の裏からふわふわモフモフの生物に乗った白髪幼女が出てきた。 

 ふわふわモフモフの動物は羊のようにクルクルとした角をもち、体中が白い体毛で覆われているせいで目も鼻も口もほとんど隠れてしまっている。 

 だが! それがいい! えっ? 幼女? 俺ロリコンじゃないから。それに今、もふもふに精一杯なんで。

「ふふん! 私は水の大精霊! あなたはマナが豊富そうだから吸ってあげるわ! 光栄に思いなさい!」 

 あぁー、あの羊をもふもふしたいなぁー!

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