ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第50話 ペットショップ探索

「これってペットショップ的なやつかな?」

「そうでござるな。戦闘用に調教された魔獣からペットとしての魔獣まで色々でござる」

『ルーと同じ?』

 んー、ルーちゃんと一緒なのかなぁ? なんか微妙に違う気もするけど。

「そうだなぁ、ルーちゃんと大体は同じかなぁ」

「主殿、見ていくでござるか?」

「もちろん!」

 俺がそう答えると半蔵は顎に手を当て少しの時間考えてから口を開いた。

「そうでござるか。では行くでござる」

「何か考えてたみたいだけどどうしたの?」

「いや、主殿の世界では少し嫌われていることがこの店に潜んでいるでござる。
 だから先に店主に頼んでそれをはけさせて貰うか考えてたんでござるが、主殿もこれから永くこの世界で暮らす身、ある程度のこの世界の常識には慣れて貰わなければならぬでござる。
 だから主殿にとっては納得のいかない光景が出てくるやも知れぬがどうか取り乱さぬよう」

 あー、俺の常識と世界の常識の齟齬があるからそれを考慮してくれてたんだな。それよりその齟齬は一体何なのだろうか。動物虐待とかだったらひっそりと魔物全員の首輪断ち切ってから店を出てやろう。うん、そうしよう。

「わかった、多分大丈夫だよ。ありがとう」

「いえ、これも拙者の授かった任務ゆえ」

 半蔵からの警告を受けたあと、俺達はその店に足を踏み入れた。

 その店の中には小さな魔物から大きな魔物までたくさんの魔物が居た。犬や猫の形をしているものも居れば、爬虫類っぽい形をしたものも居る。
 その魔物達は種類によってスペースで区切られていて、中にはこちらから中が完全に見えないように囲われているスペースもあった。

「いらっしゃいませ、今日はどのようなご要件でしょうか? ここには全国から様々な種類の魔物を取り揃えております」

 店の奥から店主と思わしき老紳士が歩いてくる。や、ヤバい、冷やかしに来ただけだからなんも言えない、、、

「あぁ、今日は主殿に見合うペットの選定に来たでござる。ただ下見の段階でござるゆえ今日購入するかはまだ分からぬでござる」

 は、半蔵ナイスーー!

「そうでございますか。ならごゆっくりご覧になって下さいませ」

 老紳士はそう言うとまた店の奥に下がって行った。

「は、半蔵ありがと」

「いえいえ、主殿が人見知りなことは百も承知でござりますからな」

 いやー、頼りになるね半蔵は。今の場面シャルルだったら絶対1人でやらせるもんね!

『ルー! お友達いっぱーい!』

 ルーがぷかぷか浮きながら見ていたのはたくさんの種類のスライムが詰め込まれている水槽。その水槽には「どんな魔物の餌にも使えます!」と書いてあった。
 俺はいたたまれなくなってルーちゃんを抱えてその場を離れる。これか! 半蔵の言ってたことってこれか!

 俺達はその後大体店の中をまわり終わり、あとは最後の中が見えない2スペースという所まで来ていた。俺がここまでで特に気に入ったのはカメっぽい魔物だった。なんか葉っぱを食んでいる姿がとっても愛らしかった。甲羅はトゲトゲしてたけどさ。 

「本当にここも回るでござるか?」

「勿論!」

「ならばこのスペースだけは拙者苦手でござる。主殿だけで進んで欲しいでござるよ」

 半蔵は片方のスペースを指さしてそんなことを言った。

「分かったよ。行こっ、ルーちゃん!」

『ルーー!』

 俺達は半蔵の指さした方のスペースへと入っていく。そこに居たのはアンデッドと呼ばれる魔物だった。いや、誰に需要があるの? ほんとゾンビは臭いし、スケルトンはカタカタ煩いし!
 ははーん、さては半蔵アンデッドが苦手なんだな!

『ルーー! 見てみてぇ! これ面白ーい!』

 ルーちゃんが興味を示したもの。それはレイスと書かれた瓶に入っている魔物だった。その中には黒いローブを羽織って身の丈ほどの鎌を持った手のひらサイズの骸骨2匹が真っ青な液体の中に浮かんでいた。

「え、、、ルーちゃんこれのどこが面白いの?」

『えーとねぇ、青い液体がいっぱい形を変えてるの!』

 え、そっち? 骸骨の方じゃないの? ま、まぁルーちゃんが気に入ったんなら買っちゃおうかな。俺はそう思い値札を見る。

 1シルバ、、、安っ! 何これ? ま、まぁ安い分にはいっか。

「ルーちゃんこれ欲しい?」
 
『ルーね、これ欲しい!』

 そっか、なら買おう! 即決だ!

 ルーちゃんはお目当てのものが買ってもらえて嬉しかったのか翼をパタパタさせて喜んでいる。

 俺はその骸骨2匹が入った瓶を持って半蔵の元へと戻った。

「ルーちゃんがこれ気に入ったから買うことにした」 

「むっ、むむ? それはなんでござるか?」

「レイスだってさ。ルーちゃんが青い液体が動くのが好きらしいよ」

「レ、レイスでござるか。確か実態は見えぬがとあるトラップで簡単に捕まえられる魔物だったでござるな。主にほかのアンデッドの餌として使われるでござる」

「えっ? 見えないの?」

「いや、見えるでござるか?」

「ここに居るじゃん。骸骨みたいなのが」

「む、むぅ、拙者には見えないでござるな」

 えっ? 俺に霊感があったパターン? 嬉しくない! だってお化け見えるとか最悪だろ? 見えないものは見えないままの方が絶対楽だと思うんだ。

「ま、まぁ、ここも見終わったことでござるし次のスペースに向かうでござるよ」

「そ、そうだね」

 俺と半蔵はビミョーな雰囲気を漂わせながら次のスペースへと向かった。

「あぁ、半蔵が言ってたのはこういうことか」

 そこには首輪を付けられた獣人達がボロ布を纏った姿で座っていた。大抵は若い獣人が揃っていて値段も見たところ女の、特に綺麗な獣人が高値で売られていた。
 まぁペットショップで売られるってことはそういう用途なんだろうなと察しはつく。

「そうでござるな。獣人の奴隷が魔物を売っている店で売っているのは主殿の暮らす世界では考えられぬこと、一応の忠告はしておいた方が良いかと」

 まぁ、確かに奴隷に対して抵抗はある。俺は異世界だからーと割り切れるようなそんな人間ではない。

 だが、それは抵抗がある。というだけであって奴隷制を廃止しようとかそんなことは全く考えない。ただ、気に食わないから関わらない。それだけだ。俺はそこまで大物ではないし、大物を気取るつもりもない。

「まっ、あれだね。気分は良くないから会計を済ましてこの店を出ようか」

「そうでござるな」

『ルー? 気分良くないの? ルーが癒してあげるー!』

 そう言ってルーちゃんが俺の頭の上でぴょんぴょんと跳ねる。これがルーちゃん流の励まし方なのだろう。

「ありがとう、ルーちゃん。元気でたよ」

『ルー!』

 俺たちはレイスの代金を老紳士に支払い、店を出た。空はもうぼんやりと赤く色づいていた。

「そろそろ帰ろうか」

「そうでござるな」

『楽しかったー!』

 ルーちゃんが楽しかったのなら良かった。まぁ嫌なものも見てしまったけど今回の散歩は概ね満足かな。帰ったらレイス達にもブルーホースを分けてあげよう。




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