ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第45話 お説教とお勉強

「か、帰ってきたんだっ!! 俺に帰ってきたんだっ!」


 俺は島の砂浜を踏んで叫んだ。ちなみに隠滅はもう解いてある。


「ワンっ!ワンワンっ!」


 スーちゃんがなにやら滅茶苦茶吠えている。ん?どうした? やっぱり島に帰って来れて嬉しいのかな? 俺がスーちゃんをわしゃわしゃするとスーちゃんは嬉しそうに尻尾をブンブンふる。


『るーっ! こわいよぅ、、、』


 ルーちゃんが何かに怯えてる? 俺はそっと後ろを振り返る。


「どうでした? ここを離れた感想は。ええ、ええ! それは楽しかったでしょうね? 女まで連れて帰ってきて嫌なことはほっぽり出して帰ってきたんですからね」


 そこには般若、いやディアンヌが立っていた。


「えっ、、、いやその! 違うんです! 違うんですよ! ディアンヌさん!」


「いーえ。全てヤミから報告は受けています。さて、お説教を受けていただきましょうか」


 やばい。これは絶対にやばいやつや! なんとかして逃げないとっ!


「すーちゃん!」 


「く、くぅーん、、、」


 スーちゃんは何かを思い出したふうにどっかへ行ってしまう。


「ルーちゃん!」


『ルーちゃんはね! この島探検するのぉ!ばいばーい!』 


 あっ、ルーちゃんも上手く逃げやがった!


「さてと。ご主人様の仲間はいなくなったみたいですし、お説教部屋へご案内しますよ」


 嫌だっ!それだけは絶対に嫌だ! 俺は逃げる!ここからも逃げるぞ!


 俺は隠滅を使いディアンヌの横をすり抜ける。


 ガシッ


「へっ!?」


「何度も何度も同じ手は食いませんよ? 私のことを甘く見すぎではないですか? マスター?」


 ディアンヌはニコニコしながら見えないはずの俺に話しかける。


「えっ? なんで。 隠滅は誰にもバレないはずじゃ、、、」


「うふふ。そうですよ。確かに私たちにはマスターの姿も声も聞こえません。それどころか痕跡すらも辿れません。ですが、1人だけマスターの隠滅を破れる者がいます。誰だと思いますか?」


 えっ? えーと、、、ディースとか?


「ぶっぶー。不正解です。ディースも見える相手ならスキルを無効に出来ますが隠滅中の相手のスキルは無効に出来ません」


 そ、それじゃあ誰なんだよ!


「ヤミです」


「へ?」


「ヤミです。ヤミは隠滅の神。隠滅を発動してる人の位置は狂うことなく把握出来ます。そして私は今ヤミとスキルの交信で繋がっています」


「なっ!!」


「つまり、、、マスター。詰みです。さぁ行きましょう」


「・・・はぃ。」


 俺はディアンヌに漁港のとある建物に連れていかれて5時間の説教を受けた。


 ディアンヌの説教の内容はハルの力の大きさ、ハルの影響力、そしてハルのこの島での重要度など多岐に渡ったが中でもハルがもたらす利益、そしてハルの職業のことについて最も重点的に説教した。


「というわけでマスターはその国に大きな利益をもたらします。
 さらにこの職業。シャルルはリタを炙り出すために嘘をついたのもありますが、聖女、ヴァルキリー、これらの職業は絶対に知られてはいけません。
 なぜならこれらの職業には確実に宗教団体が食いついてくるからです。そしてそれを擁護することは冒険者ギルドでさえ不可能です。」


「ちょっと質問いい?」


「はい、なんでしょうか?」


「そもそも職業って何?」  
  

 俺の質問にディアンヌは呆れたようにため息を吐く。


「シャルルはそこまで教えていなかったんですか、、、まぁ確かに教える必要もありませんからね。  
 説明しましょうか。職業とは冒険者としての役割を示すものです。聖女ならヒーラー。ヴァルキリーならアタッカー兼タンクというようなものです。どこに自分が向いているか。それを示します。
 また、伸び代を表すものでもあります。例えば聖女。これはヒーラーで最高峰の職業です。男性の場合は聖者となります。聖女は最終的に人を蘇らせるところまで育ちます。
 まぁ、マスターは人を不老不死にすることぐらい他愛ないことですからなんともありません」


「いや、出来ないよ?」


「いいえ、できます。今はまだマスターの体内でスキル達が頑張って色々制御をしているだけなのですよ」


「そ、そうなのかぁ」


 なんか他人に自分の体内弄られてるっていうの怖いよね。


「話を戻します。もし、宗教団体が絡んでくるとこちらは徹底抗戦しかしようがありません。どうせこの島を突き止めて攻めてくるでしょう。
 ならばこちらは迎え撃つまで、となります」


 まぁ確かに宗教ってすっごいしつこいもんな。世界の果てまで追いかけて来そうだ。


「そうなると相当な数の死亡者が出ます。それはマスターが望まないことは百も承知です。
 ですから今度はしっかりと職業を偽ってください。そうですね、、、今回はスフィアにはお留守番させますのでルプルを引き連れたテイマーと言うことで通して下さい」


「分かった」


「あと、もうすぐ迎えが来ますので覚悟しておいて下さいね」


「はえ?」


 迎え? あぁ、あのガランとかいうおっちゃんか! 確かに人見知りの俺からしたらキツイ相手だな。


「ご主人様、お迎えに上がりましたよ?」


 あっ、そうきちゃう? そう来ちゃったかぁ、、、


「サラバだー!」


ガシッ


「逃がしませんよ?」


 シャルルの顔はさっきのディアンヌの顔よりも怖かった。でもなんで! なんでここに居るんだよ!


「それはですねぇ。これのおかげです。うふふ!」


 そういうとシャルルは指に付けた指輪を見せびらかして来た。


「それって、まさかっ!」


「そうですよ! ご主人様が作った指輪です! これがあればいつでもどこでもご主人様の傍に飛ぶことが可能です」


 や、やられたっ! こんなの持たれてたら逃げ場ないじゃん! なんとか島から食料持ち出そうと思ったのにぃ!


「あっ、それについては構いませんよ。ご主人様がここに逃げてくればマナ変換の縛りは解くことにしていたので。というよりこれ以上続けていると私の身が持ちません!」


 あっ、ディアンヌにも負担あったんだね。何かと俺のこと考えて行動してくれてるんだな。


「なにかと、じゃないわよ。ディアンヌ、もといここにいるディース以外の神はあんたのことしか考えてないわよ! そんなことも分からないなんてお母さんはほんと子供ね!」


 リーフィアがなんか小っ恥ずかしいこと言いながら現れた。ほんとにお母さんとかやめて! 俺男だし! それに子供じゃねぇし! 電車賃だって大人料金だし! ぐすん。


「まぁ、私達はマスターの手足のようなものですんでね。マスターもそんな存在に怒られるなんて少しは恥を知っていただきたいものですね!」


「うふふ、そうですね」


 いや、嬉しいけどさ! 嬉しいんだけどさ! 怒るのって怒る方の勝手


「「今なんか考えましたか?」」


「いえなんでもないです」


 無理! こんな手足に適うわけないじゃん! 俺はこれからも怒られ続けるぞ!


「全く! まぁそんなマスターが好きなんですけどねぇ」


「奇遇ですね、私もですよディアンヌ。やはりご主人様は抜けてないといけませんよね」


「ええ、そうですね!」


 そう言って2人はふふふと笑い合っていた。

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