ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第43話 ぷかぷか孤島とエルフ①

「で、嬉しくなって部屋の中で楽器を吹き鳴らしたと言うわけですか」


「はい」


 俺はものっすごい寝癖をつけたシャルルの前で正座していた。


「幸いほかの宿泊客に気を配ることは出来ていたようですが、私への配慮が出来なかったと」


「はい」


「そもそも夜中に楽器吹き鳴らすってどういう神経してるんですか?」


「はい」


「はいじゃありませんっ!」


「ごめんなさいぃ!」


「ったく。あなたは眠る必要がないのかもしれませんけどねっ! 私達は寝ないと生きていけないんですよっ! 分かってるんですかっ!?」


「はい、ごめんなさい」


「許しませんっ! 次私が起きるまでにアクセサリーを15こ作っておいてください。あっ、もちろん手抜きは許しませんよ。手を抜いてたら、、、」


「い、いえっす! マムっ!」


「なんですか、その返事は、、、まぁいいです。よろしくお願いしますよ」


 と、こんな感じで俺は夜を過ごした。正直夜中にトロンボーン吹き鳴らすとかマジで頭おかしかったと自分でも分かる。


 でも、そのおかげでアクセサリーの発想が生まれた。これはかえってよかったのかもしれない。俺の考えたアクセサリーとは楽器をイラスト化したキーホルダーだ。確か楽器屋とかに1000円ぐらいで売ってたような気がする。


 しかし、着色する道具がないので形だけ作ってあとでシャルルに着色の仕方を聞こうと思う。
 

俺はテューバ、トランペット、トロンボーン、ホルン、ユーフォニウム、クラリネット、アルトサックス、フルート、ドラム、タンバリンのキーホルダーのキーホルダーを思い出して、今回は銀のインゴットにマナを注ぐ。
 すると可愛い楽器たちのイラストが掘られた銀の板が出来た。


「おぉ! ちゃんと楽器のシルエットが作れてるっ! すげぇ! でもやることなくなっちゃった」 


 俺はシャルルが起きるまですることも無いのでルーちゃんやスーちゃんの寝顔をじっくりと観察して夜を過ごした。


「あら、本当に10こ作るとは思っていませんでしたよ。銀オンリーという所が手抜き感満載ですが」


「それはあとで着色しようと思ったのっ! 俺着色の仕方とか知らないし!」


「あぁ、なるほど。それならあとで半蔵にやらせておきますので大丈夫です」


「おぉ! 半蔵って器用なんだな!」


「えぇ、ですからす・べ・て 半蔵に任せてください」


「お、おう、なんか棘があるけど。まぁいっか」


 シャルルがその後半蔵にその事を告げた時、半蔵は布の上からでもげっそりしているのが見えたような気がする。


「ご主人様、ちなみにこの世界には朝食とい物が存在しません。昼に軽食、夜にがっつりというような感じです」


「ま、まぁあのご飯を朝から食べるのは辛いしいっかな」


 ということなので、俺達は合流してからすぐさまギルドへと向かった。俺達がギルドに着く頃には建物の中は人でごった返していた。
 俺達はそれをかき分けて進む気力もなかったので人混みが引いていくのを1歩離れたところで見ていたのだが、、、


「おいっ! あそこっ、、、見てみろよっ! 猫の獣人がいるぜっ! ひっひっひっ! あんな弱小種族が冒険者になるみたいだぜ! ガハハ!」


「そもそも獣人が冒険者になったところで大した結果も出せねえのにそん中でも弱小の猫かよっ! ネズミでも狩ってろよ! ひーひっひっひ!」


「ほんと、こんな所に獣人なんかが蔓延らないで欲しいわよね」


「まったくです、ふふふ」


 笑いながら指を指してきたのはアイネのような姿をしていながらも肌色は真っ白で金髪の女性1人と男性一人、肌色がグレーで銀髪をしている女性1人と男性一人のエルフのグループだった。


 なんだこいつら? 気持ち悪い笑い方してんなぁ。と思いながらエルフのグループを見ていると後ろからお久しぶりと言わんばかりの殺気が感じ取れた。いや、ほんと。しょっちゅう殺気放ちすぎじゃないですかね。またムキハゲが出てきちゃうよ?


「ぐっ!! なんだあいつらっ!! 後ろのヤツらちょっとやべぇぞっ!」


「そうか? 俺にはヒョロっヒョロのガキにしか見えねぇけどな」


「いいえ、私にも分かるわ。あれは確実に強者の威圧よ」


「ええ、そうですね。今にも私達に襲いかかってきそうですね」


 おぉ、シャルル達の殺気が感じ取れるってのはある程度の能力がないとできない事だったよな!
 この人たち凄いんじゃないの!? ムキハゲみたいに殺気を当てられてもビビってないし!


「ビビっていないのは弱者の証拠です。きっと七勇神でさえも額に冷や汗をかくほどの威圧。これにビビっていないのは威圧の全貌を感じ取れていないのでしょう」


 シャルルがそう呟く。
 えーー? ほんとにぃ? 強がってるだけじゃないのぉ?


「そう思うなら見ておいてください。あれならきっとルプルに瞬殺されますよ」


・・・流石にそれはないと思うんです。ルーちゃんはまだ弱っちいからねっ! 俺は絶対に戦わせないからねっ!!


「ふーん、向こうがやる気ならこっちもいっちょやってやるかぁ?」


 そういうと灰色男エルフが何も無い空間からとてつもなく大きな剣を取り出す。


「えぇ、獣人を殺してもエルフならなんの罪にも問われませんしね。害獣を駆除しておきましょう」


 真っ白ペタンヌ金髪エルフもやる気満々で杖を俺達に向けてくる。


 「しょーがないわね。面白そうたし私も付き合うわ」


 灰色ペタンヌ銀髪エルフはそう言って紫色の刃を持つナイフを取り出し、臨戦態勢にはいる。


 一方シャルル達は1歩も体勢を変える様子はなかった。いや、1匹だけ体勢を変えた者がいる。それはルーちゃんだ。


 ルーちゃんは俺の頭の上でポンポンと跳ねたあとエルフと俺の間に立ちふさがり、「ルーーーっ!」とひと吠えした。滅茶苦茶可愛いっ!


 そんなこんなで乱闘が始まりそうになり、周りの冒険者たちも煽り出したその時。


 「「馬鹿野郎っっ!!! 止めんかっ!」」


 そんな声が辺りにこだました。


 声の主はムキハゲと真っ白金髪ヒョロヒョロエルフの2人だった。ヒョロヒョロエルフは身長2m越えは明らかなのに、体はものっすごく細い。まるでもやしのようだ。というか髪の色と肌の色も合わさってもやしにしか見えない。


「やばいんだ。あの相手はやばい。それにこの国では獣人も同じ人族だと教わっただろうっ!! 何故獣人を襲おうとするんだっ!!」


 もやしはそうやって仲間を怒鳴りつけていた。仲間たちは納得が行かない様子だったが、もやしの言うことには逆らえないようだ。全員武器を下ろした。いや、しっかりと握ってるけどね。


 「ほんとーーーーっにすまないっ!! 昨日の今日でこのようなことが起こるとはっ、、、 だが、エルフと獣人の関係はしっているだろう? ここはどうにか抑えてくれないか?」


「分かりました。ほら半蔵、ヤミ、警戒を辞めなさい」


 シャルル達はそういうとグングンと殺気を霧散させていく。


 だが、俺にはどうしてもムキハゲに聞かなければならないことがあった。


「じゅっ、じゅじゅじゅ、獣人とエルフの関係ってなんですか?」


 俺がそういうとムキハゲはぱっちりと目を開け、「嘘、お前知らないの?」という目付きで俺の事を見てきた。


「1つ注意してくれ。『エルフと獣人』だ。何があってもこの順番は変えちゃならん。エルフに聞かれると面倒なことになる」


「がっつりきこえてるんですけどぉ?」


 灰色ペタンヌの声はムキハゲも俺も聞こえないように振舞った。面倒くさそうだし。


「まぁ簡単に説明すると獣人はエルフの奴隷身分なんだ。戦争で負け、獣人という種族がエルフの奴隷になったというわけさ。
 しかし、この国ではそんなルール通用しない。人族なら全員平等。殺人での罪の重さも同じなんだが、、、エルフはそういう意識が抜けないやつが多くてな」


 しかし、ここで1つ疑問が浮上する。


「で、ででででもっ! 私の故郷に住んでるエルフは私の事差別しませんでしたよっ! 確かに肌色は褐色でしたが、それが関係あるんですか?」


 俺がそういうとギルドマスターがダラダラと冷や汗をかきはじめる。それは殺意を受けた時よりも凄まじい量だった。


「それは本当か?」


 灰色男エルフがギルドマスターのすぐ後ろから問いかける。嘘をつく理由もないので頷く。


「そうか、、、ならお前を殺す大義名分ができたって訳だ。おまえらぁぁぁぁっ!! ぶっころすぞぉっ!!!」


「これは、、、殺すしかないわね」


「ええ、でも良かったです。害獣駆除に大義名分が出来て」


「お前らっ!やめろと言っているのが分からないのかっ!」


 昂る3人を必死で止めるもやし。俺はそんな光景をみてまたやらかしたことをハッキリと感じ取った。


「ふふふ、いい機会じゃありませんか、ご主人様。スーちゃんとルーちゃんの力。見といた方がいいと思いますわよ。少なくとも私たちじゃ」


「「「手加減できませんから」」」


 なんで最後だけ3人でハモったの??


 でも大丈夫かな? ルーちゃんはプルプル揺れてやる気満々だけどスーちゃんは俺の足に顔を擦りつけてるんだよ? 滅茶苦茶心配だわ。
 あっ!ルーちゃんはまだ幼獣なんだから戦わせないからなっ!!

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