ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第41話 ぷかぷか孤島と内職

 「うおぉ! これがこの世界の食事なのか!」


 俺達は宿に戻ったあと1階にある酒場で食事をとることにしていた。
 そんな俺達に出された食事はパンに塩漬け肉や野菜が沢山入ったシチュー、あと少量のチーズだった。飲み物はなぜか水ではなく真っ赤なワインがついてきた。


 「ご主人様の世界ではどんな食事をなされていたのですか?」


 そうか、シャルルはディアンヌやルージュ達とは違って前世の記憶は共有されていないのか。


 「ヤミも気になる」


 「拙者は知ってるでござるよ! 米を蒸したものを食べていたのでござろう!」


 「それ、時代古過ぎない? 確か強飯って平安時代とかの食事じゃなかったっけ?」


 「なんと! 主殿はそれよりも進んだ世界に生きておったのでござるか! なら拙者も気になるでござる!」


 半蔵も中途半端にしか日本のことは知らないようだ。スキルから産まれた神たちと俺の記憶の繋がりってどうなってるんだろ、、、 気になる。


 「まぁ、そういうのは食べながら話そうよ! 冷めちゃうしさ!」


 俺がそういうとシャルル達は俺の事を可哀想なものを見る目で見てくる。


 「まぁ、そうですね。これ以上ご主人様を虐めるのも酷ですしね」
  

 「俺まだ何もされてないんだけど!?」


 「主、、、ごめんなさい」


 なになになに? えっ? 俺なんかされたの??怖い! 怖いよ!


 「な、何をしたでござるか? まっ、まさか! 主殿の食事に毒を入れたりはしてないでござるな!」


 「しても俺死なねぇけどな!」


 俺の体は体内に入れたもの全てをマナ化してくれる。だから毒や腐ったものを食ってもしなない。食いたくないけど。
 それでも満腹とか空腹とかの感覚はある。どうなってんだ? この体。


 「まぁ、いいや。食べよっ、いただきまーす!」


 「「「いただきまーす」」」


 俺はまず見た目少し固そうなパンを口にする。


 ガリィ、ギリリリ


 「か、硬ぇ、、、硬たいよぉ」


 「ぶふっ!」
 

 「くすくす」


 「ぐぬぬぬ! 固いでござる!!」


 ぬうぅぅぅ、、、 このパンどうやって食うんだ? その時俺の頭に衝撃が走る!


 「シチューに浸して食えばいいじゃないか!!」


 「おぉ! そうでござるな!! では早速!」


 「ぶふっ、ふふふ」 


 「いーっひっひっひっひっひ!」


 さっきからシャルルとヤミが笑ってばっかで飯を食ってないな。どうしたんだろうか。まぁいいや。
 俺と半蔵はガッチガチのパンを無理矢理ちぎりシチューに浸してふやかしてから食べる。


 「う、うーーーん、、、おいし、、、くはないかな」


 「ふむ、食べられないことはないでござるが確かに何か足りない気がするでござる」


 あの日本で食べていた濃厚でクリーミーな旨みたっぷりのシチューとは程遠い味だった。
 どこか乳臭く塩っ辛い。野菜から甘みなどは感じるものの、肉は固くやっぱり塩っ辛い。


 そして1番の違いは肉から出る旨みの無さだ。俺の家では骨付きの鶏肉を入れてたのだが、それからたっぷりと旨みが出て美味しかったのだ。だが、これにはそれがあまりない。どこか味気ないのに味だけ濃い。俺にとってはビミョーすぎる。 
 お肉も鶏肉じゃないし、塩漬けされてるからホロホロじゃないしね。


 「それではご主人様の世界の料理について教えていただけませんか?」
 

 なんかシャルルが半笑いだけどまぁいいや。
 俺は日本の食生活や食文化について熱く語った。
 結果、俺は物凄いホームシックにかかってしまった。美味しくないご飯を食べてる時に自分の国の美味しいご飯の話したら、そりゃ食いたくなるわ!! 帰りたい! 島に帰りたい!!


「うぅ、米、米が食いたいよぉ、、、」


「ご主人様、ほら、ここにチーズがありますよ、ぶふふ」


「ヤミのチーズもあげる! ふふふ」


 俺はシャルルからチーズを受け取りそれをかじる。、、、〇印の6〇チーズが恋しい、、、


「なんという策略だ、、、シャルル殿、やはり末恐ろしい」


 俺達はそんなこんなで楽しい?食事時間を過ごした。


「それではご主人様! 内職のお時間でございます!」


「やだ、、、もうおうち帰る」


 俺は食事を終えたあとお風呂の代わりに濡れた布で自分の体をふいて、ようやく眠りにつくという所だった。そこに訪れた悪夢。内職。


「それは不可能ですね。漂流も封印されてますし、帰る手段がありません。報酬もこちらで預からせて頂いておりますし」


「ぐぬぬぬぬ!」


「大丈夫ですよ。やってれば楽しくなりますから! 今回やってもらうのはこれです!!」


そういうとシャルルは俺の目の前に大量の鉄のインゴットとガーネットやサファイアや翡翠が宝石のようにカットされたものを置いた。


「これでなにしろっていうの?」


「ご主人様はここから綺麗なアクセサリーを作ってもらいます。さあ! 頑張りましょう!!」


「いや......。無理だけど。」


 まずこれどうやって加工するの? 無理だよ? 流石に鉄のインゴット引きちぎって成形するなんて無理だよ?


「えっ?そんなの簡単ですよ? マナをそのまま金属に通せばグニャングニャンになりますから。ちなみにグニャングニャンの金属に魔力を流せば固まります!」


 はい、問題2つ目ー! 俺の手先がこの上なく不器用なことー!


「そ、それは、、、頑張りましょう!」


 はい、問題3つ目ー! 俺に美術のセンスが欠片もないことー! 


「・・・どうしましょうか、これが出来れば島が発展すること間違いなしなんですが」


「無理だよ、無理無理。だいたい俺がグニャングニャンになった金属を上手く扱えるわけねぇだろ。さぁ寝よ寝よ!」


「いーえ! 絶対に今日中に1つ完成させてもらいますからね!」


「えーーっ!! むぅ、、、仕方ないなぁ。1個だけだぞ? それも簡単なの。指輪とか」


 俺がそういうとシャルルはめちゃくちゃ笑顔になった。なんだコイツ! きもちわるっ!!


「分かりましたっ! それではお願いします!(もしかしたら、苦労して作った1つの方が付加価値がつくかも知れませんね)」




 こいつほんとに分かってんのか? まぁいいや! 早く寝るために仕事すんぞー!


 俺は鉄のインゴットにマナを流す。するとインゴットはまるで昼間みたスライムのように柔らかくなる。


「おぉー! すっげぇ! ドロッドロだ!」


 俺は一通り鉄のインゴットをいじくり倒してから作業を始める。
 ドロッドロになった鉄のインゴットを少しだけちぎり、他のインゴットに魔力を通して固めておく。


「うーん、流石にこのやわさだと形づくれないよな。もう少し固くならないかな」


 俺がそんなことを呟くとちぎった鉄が少し固くなった。


「うおお! すげぇ! ちょっと固くなった! これなら形を作りやすいな!」


 俺は少し固くなった鉄を指輪の形に成形する。


「うん、めちゃくちゃ歪だな。」


 俺の作った輪っかはゴツゴツしてて綺麗な円を描けていない。


「こっからどうすればいいんだよ。お手上げ! 無理っ! お疲れっした!」


 ベッドに飛び込もうとする俺を止めたのはシャルルだった。


「ご主人様? 1個作ってからという約束でしたよね? もしかしてその約束を破ろうとしていたんですか? どうなんですか?」


「い、いやぁ、そんなことないと思うよ? ほ、ほらっ! やっぱり休憩も必要だと思うんだよ!」


「へぇ。たった3分で疲れるんですか。へぇ」


「そ、そうそう! マナって操るの疲れるんだよ! いやぁー疲れたなぁ!」


「・・・仕事に戻ってください」


「はい・・・」


 とは言っても無理じゃんかぁ! こんなのどうやって綺麗な円にするんだよ! 


 あっ!そうだ! 俺のマナが入ってグニャングニャンになってるんだから俺がマナを綺麗な円の形にすれば綺麗な円の形になるに違いない! そうだ! そうなんだ!!


 俺は半ばやけくそだった。実際外に出したマナの操作などしたことも無い。てかどうやったらいいのかも分からない。


「こう、綺麗な指輪の輪っかを想像してぇ、えいっ!」


 俺が想像したのは2本の線が入った鉄の指輪。
 出来上がったのは2本の線が入った綺麗な鉄の指輪。


「マナすげぇ。俺の想像に更に磨きをかけてきやがった!! てことではいっ!出来たぞ!」 


 俺は寝る気満々で出来上がったのは指輪をシャルルに見せつける。


「宝石もつけてください」


「はっ?」


「宝石もつけてください」


「マジで?」


「マジです」


 ねぇ、指輪の宝石ってどうやってつけるの? ドワーフたちと至急連絡を取りたいんだけど。俺がドワーフから貰った指輪にも宝石が着いてるから、、、あっ!!! 


 この指輪の見た目パクればいいんじゃね? 俺はそう考え指輪をじっくりと観察する。


 俺の指輪は真っ赤なキャッツアイの宝石がついていてそれを4本の爪で固定しているみたいだ。


「よしっ! やるぞ! パクるぞ!」


 そう、こういうのは教えてもらうんじゃない! 見て盗むんだ! 盗むの意味が違う気もするけど。


 俺はさっき出来た指輪に少し小さめのまぁるい宝石を手で固定する。そして目を閉じて頭の中にドワーフが俺にくれた指輪をイメージする。


「えいっ!」


 俺が目を開くとそこには宝石が爪によってしっかりと固定されている指輪があった。


「やったぁーー! 出来たぁ!!」


 俺は出来上がった指輪に魔力を通すと指輪はちゃんと硬くなった。


「これで文句ないだろ!! さぁ寝かせろ!」


「おぉ! いいですね! でも最後の作業が残っていますよ。銘を刻んで下さい」


「ちぇーっ! 仕方ないなぁ」


 俺は金属にマナを通し少し柔らかくしてからシャルルの用意していた小さな針のようなもので「ハル」と刻む。そしてその指輪に魔力を通した。


「はい、ありがとうございます! どれどれ? おおっ! 思った以上の効果ですっ! 今日はお疲れ様でした。それでは寝ましょうか」


 そうして俺達はようやくそれぞれのベッドで眠りについたのであった。
 



 


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