ぷかぷか孤島になっちゃった?
第38話 ぷかぷか孤島、宿屋へ向かう
「んじゃ、俺はまだやることがあるから気をつけて行ってきな!!」
 「は、、、はいっ!」
 ディアンヌとガランはその場に留まって、俺とシャルルと半蔵とヤミとスーちゃんで1ヶ月、カンネル王国で過ごすことになった。
 ディアンヌはまだやることがあるのだそう。
 あれからガランと色々話してみて分かったのだが、ガランはあんな図体をしているにも関わらず商人をしていのだそうだ。絶対漁師の方が似合うよ。
 そして、俺がここに連れてこられたのは全てディアンヌ達の作戦だったらしい。
 俺の事を 「島民全員宝のように可愛がっている子供」 って説明して 「可愛い子には旅をさせないといけない」 などと適当なことを言って約束事の中に 「ハルは特別に身分を隠し、国の領域で過ごすことを許可する」 というものを組み込んだらしい。
 これはカンネル王国にとっては飲まざるを得ない条件だった。
 他の国が貿易出来ないこの島と貿易権が得られることを考えるとこの条件はとても軽いものだったからだ。
 「それにしてもなんかザ・中世ヨーロッパって感じの建物が並んでるな」
 俺は周りをキョロキョロと見渡して言った。港からほど近い所にある街並みは赤っぽいオレンジ色の屋根に白やベージュなどの壁の家がズラーッと並んでいるような景色が続いていた。
 俺達はその通りを突き進んでいく。
 ガランの紹介で1ヶ月泊まれるように予約してくれている宿屋があるそうで、俺達はそこで生活することになっているからそこに向かっているのだ。
 「コラっ、ご主人様。キョロキョロしてると田舎者だと思われますよ」
 「いや、だって田舎者じゃん」
 「もう。この子は屁理屈ばっかり」
 いつから俺はシャルルの子供になったのだろう。でも確かにあんまりキョロキョロするのも恥ずかしいしやめておこう。
 でも、さっきから歩いていて気になることがある。
 「なんか俺達避けられてない?」
 俺は後ろを振り向いてシャルル達に同意を求める。
 「そうでしょうか? でしたらご主人様の服装が珍しいからではないでしょうか? この国には巫女服などはないらしいですし」
 「それなら拙者の服装もでござろう。こんな体中布で覆った奴を街中で見かけたら不審者としか思えないでござる!」
 あっ、自覚あったんだ!
 「私も少しおかしい・・・かも? この季節にこんな厚着してる人あんまいない」
 確かに今はそんなに寒くない。むしろ日に日に暑くなっているような気もする。そんな日にこんな厚着をしている人が目立つのは当たり前だろう。
 「グルルルルルゥゥゥゥ!!」
 はい! 犯人発見しましたぁ! スーちゃんは街の人一人一人に牙を剥き出して睨みつけている。 
 可愛いモードのスーちゃんでもその顔は怖いぞ。
 「ほら、スーちゃん落ち着いて! よしよし」
 「クゥーン、、、わふ!わふ!」
 俺が撫でるとスーちゃんは直ぐに尻尾を振ってご機嫌になる。
 「おぉー、スーちゃんは可愛いなぁ! 」   
 ゴツン!
 俺が調子に乗ってスーちゃんと道のど真ん中で戯れ始めるとシャルルの拳が頭に飛んできた。
 「ご主人様、そろそろ向かわないと日が暮れてしまいますよ! 今日は沢山やることがあるんですからね!」
 「うぅー、わかったよぉ!」
 「主殿もシャルル殿には叶わんでござるな!」
 半蔵がそんな俺をみてケラケラ笑っている。ちっくしょー、お前だってシャルルに顎で使われてるくせに生意気な! でも仕方ない。シャルルには適わないし、さすがに道の真ん中で犬と戯れるのもそろそろ恥ずかしくなってきた。進もう。
 当のスーちゃんは少し遊んだら満足したみたいで俺の横にピッタリひっついて尻尾をフリフリしながら歩いている。
 俺達は数分通りを直進して行くとシャルルが不意に立ち止まる。
 「着きましたよ。ここです。ここが私たちが1ヶ月間泊まる宿になります」
 シャルルはそういって右にある建物を指さす。そこには他の建物の3倍位の横幅があり、高さも他のものに比べて高くなっている。
 「うわー、でけぇなぁ」
 「当たり前でしょう。なにせ宿屋にはたくさんの人を止めなければならず、食事をとる所も必要になってくるのですから」
 そういうことじゃないじゃん!! ちょっとぐらい感動に浸らせてくれよ!
 「さっ、入りましょう」
 そういってシャルルは何も無かったように宿屋の中への入っていく。俺たちもそれに続いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 「な、なんだあいつらっ!!!」
 「こ、怖かったぁ、、、、」
 「あの犬っころなんなんだい! グルグル唸りやがって!」
 ハルたちが通ったあと、人々は一斉に喋り始めた。さっきまでの静まり返った雰囲気は嘘みたいだ。
 「そっちじゃねぇだろ!! あの付き人みてぇな3人だよ! あいつらやばいぞ。絶対に」
 「あぁ、あいつらの目がヤバかった。全く力仕事に縁のない俺でも分かるっ! ありゃあ次元が違う! アイツらには関わらない方が吉だ!」
 この街に住む人々が黙っていた理由はハル一行の服装が原因ではなかったようで、原因は3人+1匹が撒き散らす威圧感にあった。
 その威圧感はまるで子を守る猛獣のようであった。
 そんな3人と1匹に近づくほどのバカはこの通りにはいなかったのだ。
 「でも、あの守られてた子可愛かったよな」
 「あぁ、なんか守りたくなる可愛さがあるよな! 胸も大きいし!」
 「お前はそこかよ!! ほんと懲りねぇやつだなぁ! アハハハハハ!」
 「ったく! ほんとに男ってやつは! まぁ、でもうちに来たらサービスしてやってもいいかな」
 なお、ハルの評判は案外悪くなかったようだ。
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「いらっしゃい! 泊まりかい? それとも食事?」
 俺達が宿屋に入るとそこにはたくさんのテーブルや椅子が並んでいる酒場だった。客はそれほど多くない。きっと食事を時ではないからだろう。
 「今回は泊まりです。多分ハルという名で予約していると思うのですが」
 「あぁー! あんたらかい! おいで! 部屋は空けてあるよ! 確か契約魔獣が1匹いるんだったね。ん? なんだ小さいねぇ。これならあんたらの部屋に入ることが出来るよ。どうする?」
 「ではそうさせていただきます」
 「分かったよ。ほらこれが鍵だ! 3階の右奥の部屋だからね。間違えるんじゃないよ! あんたらの部屋は特別なんだから」
 「ありがとうございます。さぁ、行きますよ皆さん」
 シャルルはすらすらと従業員らしきおばちゃんと話をつけると手前にある階段を上っていく。
 俺は初めてみる中世の酒場というやつに感動しながらもシャルルのあとに続く。
 「ここですね。部屋番号は301と302です。301に私とご主人様とスフィアが。302に半蔵とヤミが泊まることになります」
 「異議あり......。 私が301でシャルルが302にする」
 「却下です。ヤミ、気持ちは分かりますが私はご主人様の内職をお手伝いする義務があります。ここは譲れません」
 「むむむ、その内職はヤミ苦手。今回は諦める」
 「はい、それがいいでしょう。ではご主人様。私どもは部屋に荷物を置いてきますのでそのあと冒険社ギルドへと向かいましょう」
 そういうと3人はそれぞれの部屋の中へと入っていった。俺はすることも無かったので廊下でスーちゃんとじゃれ合っていた。
 「は、、、はいっ!」
 ディアンヌとガランはその場に留まって、俺とシャルルと半蔵とヤミとスーちゃんで1ヶ月、カンネル王国で過ごすことになった。
 ディアンヌはまだやることがあるのだそう。
 あれからガランと色々話してみて分かったのだが、ガランはあんな図体をしているにも関わらず商人をしていのだそうだ。絶対漁師の方が似合うよ。
 そして、俺がここに連れてこられたのは全てディアンヌ達の作戦だったらしい。
 俺の事を 「島民全員宝のように可愛がっている子供」 って説明して 「可愛い子には旅をさせないといけない」 などと適当なことを言って約束事の中に 「ハルは特別に身分を隠し、国の領域で過ごすことを許可する」 というものを組み込んだらしい。
 これはカンネル王国にとっては飲まざるを得ない条件だった。
 他の国が貿易出来ないこの島と貿易権が得られることを考えるとこの条件はとても軽いものだったからだ。
 「それにしてもなんかザ・中世ヨーロッパって感じの建物が並んでるな」
 俺は周りをキョロキョロと見渡して言った。港からほど近い所にある街並みは赤っぽいオレンジ色の屋根に白やベージュなどの壁の家がズラーッと並んでいるような景色が続いていた。
 俺達はその通りを突き進んでいく。
 ガランの紹介で1ヶ月泊まれるように予約してくれている宿屋があるそうで、俺達はそこで生活することになっているからそこに向かっているのだ。
 「コラっ、ご主人様。キョロキョロしてると田舎者だと思われますよ」
 「いや、だって田舎者じゃん」
 「もう。この子は屁理屈ばっかり」
 いつから俺はシャルルの子供になったのだろう。でも確かにあんまりキョロキョロするのも恥ずかしいしやめておこう。
 でも、さっきから歩いていて気になることがある。
 「なんか俺達避けられてない?」
 俺は後ろを振り向いてシャルル達に同意を求める。
 「そうでしょうか? でしたらご主人様の服装が珍しいからではないでしょうか? この国には巫女服などはないらしいですし」
 「それなら拙者の服装もでござろう。こんな体中布で覆った奴を街中で見かけたら不審者としか思えないでござる!」
 あっ、自覚あったんだ!
 「私も少しおかしい・・・かも? この季節にこんな厚着してる人あんまいない」
 確かに今はそんなに寒くない。むしろ日に日に暑くなっているような気もする。そんな日にこんな厚着をしている人が目立つのは当たり前だろう。
 「グルルルルルゥゥゥゥ!!」
 はい! 犯人発見しましたぁ! スーちゃんは街の人一人一人に牙を剥き出して睨みつけている。 
 可愛いモードのスーちゃんでもその顔は怖いぞ。
 「ほら、スーちゃん落ち着いて! よしよし」
 「クゥーン、、、わふ!わふ!」
 俺が撫でるとスーちゃんは直ぐに尻尾を振ってご機嫌になる。
 「おぉー、スーちゃんは可愛いなぁ! 」   
 ゴツン!
 俺が調子に乗ってスーちゃんと道のど真ん中で戯れ始めるとシャルルの拳が頭に飛んできた。
 「ご主人様、そろそろ向かわないと日が暮れてしまいますよ! 今日は沢山やることがあるんですからね!」
 「うぅー、わかったよぉ!」
 「主殿もシャルル殿には叶わんでござるな!」
 半蔵がそんな俺をみてケラケラ笑っている。ちっくしょー、お前だってシャルルに顎で使われてるくせに生意気な! でも仕方ない。シャルルには適わないし、さすがに道の真ん中で犬と戯れるのもそろそろ恥ずかしくなってきた。進もう。
 当のスーちゃんは少し遊んだら満足したみたいで俺の横にピッタリひっついて尻尾をフリフリしながら歩いている。
 俺達は数分通りを直進して行くとシャルルが不意に立ち止まる。
 「着きましたよ。ここです。ここが私たちが1ヶ月間泊まる宿になります」
 シャルルはそういって右にある建物を指さす。そこには他の建物の3倍位の横幅があり、高さも他のものに比べて高くなっている。
 「うわー、でけぇなぁ」
 「当たり前でしょう。なにせ宿屋にはたくさんの人を止めなければならず、食事をとる所も必要になってくるのですから」
 そういうことじゃないじゃん!! ちょっとぐらい感動に浸らせてくれよ!
 「さっ、入りましょう」
 そういってシャルルは何も無かったように宿屋の中への入っていく。俺たちもそれに続いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 「な、なんだあいつらっ!!!」
 「こ、怖かったぁ、、、、」
 「あの犬っころなんなんだい! グルグル唸りやがって!」
 ハルたちが通ったあと、人々は一斉に喋り始めた。さっきまでの静まり返った雰囲気は嘘みたいだ。
 「そっちじゃねぇだろ!! あの付き人みてぇな3人だよ! あいつらやばいぞ。絶対に」
 「あぁ、あいつらの目がヤバかった。全く力仕事に縁のない俺でも分かるっ! ありゃあ次元が違う! アイツらには関わらない方が吉だ!」
 この街に住む人々が黙っていた理由はハル一行の服装が原因ではなかったようで、原因は3人+1匹が撒き散らす威圧感にあった。
 その威圧感はまるで子を守る猛獣のようであった。
 そんな3人と1匹に近づくほどのバカはこの通りにはいなかったのだ。
 「でも、あの守られてた子可愛かったよな」
 「あぁ、なんか守りたくなる可愛さがあるよな! 胸も大きいし!」
 「お前はそこかよ!! ほんと懲りねぇやつだなぁ! アハハハハハ!」
 「ったく! ほんとに男ってやつは! まぁ、でもうちに来たらサービスしてやってもいいかな」
 なお、ハルの評判は案外悪くなかったようだ。
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「いらっしゃい! 泊まりかい? それとも食事?」
 俺達が宿屋に入るとそこにはたくさんのテーブルや椅子が並んでいる酒場だった。客はそれほど多くない。きっと食事を時ではないからだろう。
 「今回は泊まりです。多分ハルという名で予約していると思うのですが」
 「あぁー! あんたらかい! おいで! 部屋は空けてあるよ! 確か契約魔獣が1匹いるんだったね。ん? なんだ小さいねぇ。これならあんたらの部屋に入ることが出来るよ。どうする?」
 「ではそうさせていただきます」
 「分かったよ。ほらこれが鍵だ! 3階の右奥の部屋だからね。間違えるんじゃないよ! あんたらの部屋は特別なんだから」
 「ありがとうございます。さぁ、行きますよ皆さん」
 シャルルはすらすらと従業員らしきおばちゃんと話をつけると手前にある階段を上っていく。
 俺は初めてみる中世の酒場というやつに感動しながらもシャルルのあとに続く。
 「ここですね。部屋番号は301と302です。301に私とご主人様とスフィアが。302に半蔵とヤミが泊まることになります」
 「異議あり......。 私が301でシャルルが302にする」
 「却下です。ヤミ、気持ちは分かりますが私はご主人様の内職をお手伝いする義務があります。ここは譲れません」
 「むむむ、その内職はヤミ苦手。今回は諦める」
 「はい、それがいいでしょう。ではご主人様。私どもは部屋に荷物を置いてきますのでそのあと冒険社ギルドへと向かいましょう」
 そういうと3人はそれぞれの部屋の中へと入っていった。俺はすることも無かったので廊下でスーちゃんとじゃれ合っていた。
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