ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第28話 最終決戦③

 俺はルージュが帰ってきたのでもういいだろうと判断し、勇者や他の兵士たちを繰糸を使って捕縛する。なんか戦闘では全く出番のなかったステュワードも一応捕縛しておいた。


 「なぁ、ルージュ。とりあえずこいつらどうするんだ?」


 「そうですね、、、 一応捕虜として捉えておきましょうか。ムガルさん、ドワーフの皆さんに至急牢獄を作るように言ってきてください」


 「あいわかった」


 そう言うとムガルはさぞ疲れたような足取りで氷の上を歩いて島の幻影へと向かう。


 「それ幻影だぞ?」


 「むっ!では島はどこにあるのだ?」


 「今戻す、ちょっとまってて」


 俺は発動していた全てのスキルを解き、漂流で島を近くまで持ってきた。


 「うむ、では行ってくる」
 

 ムガルがやけに疲れている。なんか嫌な予感がする。


 「んで、終わったって何が終わったんだ?」


 俺はルージュに恐る恐る尋ねる。どうか、どうか面倒事には結び付けないでくれよ! と祈りながら。 


 「うーん、そうですねぇ。言うなればブリクストの反映ですかね?」


 ルージュがドヤ顔しながらそんなことを言い出す。あー、不安だわぁ。絶対にやらかしてるわ。


 「んで何したんだよ」


 「えっ? そりゃこの島をディースさんと海竜さんの力のゴリ押しで国だと認めさせたに決まってるじゃないですか。
 それで、ブリクストは宣戦布告もなしに攻め入ったことで戦犯国扱い。これから武力制裁が行われるでしょう」


 はい、、、面倒事発生!! あぁぁぁぁぁぁ! 嫌だァァァァァ! 国のお偉いさんと口論したり親しくしたりしたくないーーーー!


 「あっ、その点は大丈夫です。ご主人様の存在は隠してますし、この国のトップは名目的にディースさんと海竜さんとムガルさんですから」


 ルージュがそう告げると海竜とディースが物凄い目付きで睨んでくる。
 まるで「お前だけ面倒事から逃げたな? みてろよ? 絶対にいつかヒィヒィ言わせてやっからな!」みたいな目付きをしている。


 「ならいいや。 でも、いざとなったら俺も出張るから! だからそんなに睨まないで!」


 ディースと海竜が奥歯ガタガタ言わせたろかぁ!? って言ってるような気がする。そんな顔してる。怖すぎ。


 「あっ、でもご主人様には看板娘として雑用をこなしてもらいますんで。特に一週間後のハル自由国建国祝いの会がここで行われますんでその時の給仕をお願いします。色んな国の代表が集まるんです! 責任重大ですよ!」


 「は?」


 俺は思わず腑抜けた声を出してしまう。


 いやいやいや!! いやいやいやいや!! 無理でしょ? うちそんな設備ないよ?


 「ないなら作ればいいのです。ムガルさんにはもう伝えてあるので5日もあれば出来るでしょう」


 また心読まれた。いや、正直ここの島の価値かなり高いよ? でっかい国に目を付けられたらやばくない?


 「大丈夫です。それを追い払うだけの力はこの島にはあります。それに、この島を独占すると他の国が黙っていません。つまり、この島の独立は保たれる確率が高いです。ですが、一つ問題が」


 「はいはい、分かりますよ。移住者だったり観光地として利用される場合のことだろ? そんなの全部拒否したらいいんだよ。貿易はやってやっから入国は許された船以外禁止、また滞在期間は3日までってことで」


 何故それが問題になるのか。それはこの島の豊かさにある。この島はまさに金の成る木、移住さえしてしまえばあとは全て何とかなってしまう。
するとどうなる? 
 そう、生活の苦しい農民などが一斉に移住してくる。だが、この島は移動する島。逃げ出した農民達がたどり着けるような島ではない。多数の死者が出る。
 

 また、もしたどり着けたとしても次はこちらが困ってしまう。現在そんな移住者たちが来てもしてもらうことがない。結果タダ飯ぐらいが島に居座る形になる。すまないが、そんな奴らを島に置いておくほど俺は親切ではない。また、スパイなどの危険性も出てくる。


 ルージュがため息をつく。


 「問題はあっていますが対処法が面倒事しか生みません。それならいっそ鎖国体制を築いたほうが無難ですが、それは出来ません。なにせ、こちらは借りのある身です。そんな我々が鎖国体制を敷くのは不可能ですよ」


 「めんどくせぇー!」


 「えぇ、ほんとに」


 「とにかく、その話は建国記念が終わってからです。じゃないと方向性も決まってきませんし」


 確かにこちらはどう足掻いても後手後手にまわるしかない。今考えても無駄といえば無駄なのだ。


 「はぁ、1つ問題が片付いたら次の問題が顔を出す。難しいもんだな」
 

 「ですね」


 俺とルージュは顔を見合わせて深いため息を吐いた。


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 「な! なんだと? あの島が国として認められただと!? ありえん!! 何故だ!!」


 ブリクストの現国王のヘインズ5世は思いっきり円卓を叩いた。しかし、その衝撃と音に円卓を囲んでいる8人の臣下は微動だにしない


 「陛下、これまでの我々の行為の精算のときが来たかと思われます。ここは降伏一択でしょう。今なら賠償金を支払い、植民地をいくつか失うだけで済みます」


 王の隣に座る白銀色の鎧を着た騎士が発言する。それに対して王は目くじらをたてて言い返す。


 「ワシらがなにをしたというのだ!!! 我らは国を強くするため必死に手立てをうっただけではないか!!!」


 騎士はそれに対してこう返す。ほかの臣下はあくまでもだんまりを決め込んでいるようだ。


「我々は非人道的だったのでありましょう。ヒューマンが選ばれた民だという認識からくるほかの種族を軽んじた行い。
 また、嘘で塗り固めた外交。特にヒューマンでない国との同盟など守ったことがありません。きっと天はそれを咎められたのでしょう。そこに慈悲などありません」


 王は顔を真っ赤にして言い返す。


 「光の神と闇の神はその道を我々にしめした!! ならばその道に進むのが道理であろう!? なぜ咎められなければならぬのだ!!」


 騎士はそれに対してなにかを言おうとするが、途中で止めて口を噤む。


 「ええい!! この際じゃ! 他の国を圧倒し、何としても戦争に勝つんじゃ!! 
••••••なるものか!! 諦めてなるものか!!」


 「「「はっ!!」」」


 王の命令に円卓を囲っていた臣下全員が胸に手を当て礼をする。


 しかし心の中では全員ひとつのことを考えていた。


 (どうやって亡命しようか、、、、)


 


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