ぷかぷか孤島になっちゃった?
第21話 ぷかぷか孤島vs海竜の巫女 2
 「ダアァァァァァァァ! クソったれがァ!」
 俺は思わず叫んでしまった。思い出すのはあの時の退屈な時間。海に一人ぼっちで浮かんで過ごすあの時間。動くに動けず、隠れてなければなからなかったあの時間。そう、ブリクスト大皇国の襲来である。そして今回俺が叫んだ理由も同じだ。
 「マスター、どうしたんですか? そんな品のない声をあげて。」
 「また来たんだよ。アイツらが。」
 「あー、、、なるほど。それは叫びたくもなりますね。」
 ディアンヌにはアイツらって言っただけで通じた。それほどまでに俺らにとってはうざったるい存在だったわけだ。
 ということで島民全員にこのことを伝えた。ドワーフ族はここに逃げてきたのにまだアイツらと関わらなきゃならないのかという面倒くさそうな顔をしていた。一方、リーフィアは腕をブンブン回して「やってやるわよ!!」と言っていた。めんどくさいことになるからやめて欲しい。
 しかし、ルージュの反応はそれらと違った。
 「ふっふっふー! ご主人様! 実は私! この日のために計画を練ってきたんです!! さぁ! これをどうぞ!」
 そう言ってルージュは俺に何枚かの紙を渡した。流石、運命神。未来はそれなりに分かるようだ。詳しくは分からないので確実になるまで報告しなかったらしいが。それをディアンヌとリーフィアと一緒に読んでみるとなかなかいい案のように思えた。
 「なかなかいいじゃん!」
 「当たり前です! 私はこの日のために色々考えてきましたから! あ、あとそれ読んでもらったら分かると思うんですが、海竜の巫女はどーでも良いんですが黒の勇者は殺さない方が吉です。」
 黒の勇者とは黒髪黒目の転生者のことらしい。この世界に来た時に全身真っ黒コーデをしていたためこのような名前になった。転生者らしくチート級のスキルを持っている。
 海竜の巫女は先祖が海竜を助け、そのおかげで予言というスキルを代々受け継いでいる一族のことである。ブリクストのお偉いさんらしい。
 黒の勇者を殺しては行けない理由。それは世界を敵に回すからである。
 確かに敵国にとってみれば黒の勇者は厄介極まりない存在ではある。しかし、現在は悪しきもの(ここでは悪魔族の王であるため魔王と呼ばせてもらう)との争いが激化しているそうで転生者である黒の勇者の力が不可欠らしい。
 なのでそんな黒の勇者を殺してしまうと魔王側の陣営と判断されてしまうらしい。
 俺はルージュの持ってきた作戦を実行するためにまずは奇術の世界を発動する。発動範囲は俺を中心として半径5kmの円。そこには入っただけで1秒を1分として感じてしまい、体な動きもそれと同じになってしまう幻覚をかかるようにする。つまり、超スローでしか動けない。消費MPは1分で1000MP。俺も上限がかなり増えたため今は余裕をもって4時間は発動し続けることが出来る。
 この中に入り、幻覚を受けてしまうと俺に対する勝ち目はなくなる。なぜなら俺は幻覚で見せたダメージを相手に受けさせることが出来る。つまり相手の首を切る幻覚を見せたら、俺はいつでもそいつの首を切り飛ばすことが出来るのだ。それが奇術の世界。幻覚が現実のものになってしまうスキルなのだ。しかし、それにはかなりのMPを使ってしまうので出来るだけ避けたい。
 次に俺は島全体に隠滅をかける。これで気配などは完全に隠すことが出来る。
 そこまで終えると俺は自分にも隠滅をかけ、漂流してブリクスト大皇国の船に乗り込んだ。当然気づく者はおらず、侵入に成功した。隠滅、暗殺術、忍術の三段重ねで侵入できない所などないと思う。
 しばらくすると勇者が斬撃をそこらじゅうにバラマキ始めた。監視カメラで確認すると島に命中しそうな斬撃はリーフィアが全て片手で処理していた。めんどくさかったみたいでディアンヌやルージュに手伝いを求めていたが隠滅がかかっているので聞こえるわけがない。意外と可愛いとこがあるんだな。あとでからかってやろう。
 おっ、遂に青髪が島の周りの斬撃が消えていることに気づいたようだ。氷塊をぶつけようとして確認をしている。氷塊が消えたことにより島がそこにあると判断し、ブリクストの大艦隊はその場所へと突き進んでいく。
 そろそろかな? 俺は幻覚で自分の体と島を作り上げる。島の幻覚を作り出したのはドワーフたちの存在を隠すため。俺が直接出ていかないのはめんどくさいからだ。幻覚なら戦闘になってもなんでも出来るし楽だ。
 勇者はいきなり現れた俺の幻影を切りつけてくるが避ける。余裕があるのをアピールするため「いきなり切りかかってくるなんて礼儀がなってないですね」とか言って煽っておく。
 勇者に何者か尋ねられたのでホントのことを言っておく。
 青髪が下につけだのなんだの言ってくるから丁重にお断りした。すると勇者が威嚇してきたのでそれに対し、より大きな威嚇で返す。ちなみにこの攻撃は幻覚ではなく本物だ。俺がドワーフ達に貰った武器で海を割ったのだ。
 それに怒った青髪が笛を吹き鳴らす。お世辞でも綺麗だとは思えない音。耳を塞ぎたくなるほどの音量、そして地響きのような音色に俺は思わず顔をしかめる。
 その笛を吹き出すと青髪の姿は変わった。人魚と言うにはあまりに不細工。もとの美少女だった顔はのっぺりとしたカエルのような顔になり、顎には大きなエラが刻まれていた。足は無くなり、人魚のようになっている。色は美しい。だが、如何せん雄々しすぎる。ゴツゴツとしていて鱗というよりは甲殻といったほうが正しいのかもしれない。しかし、青髪はそれを惚れ惚れとした目で見つめていた。
 そして、笛での演奏が終わると海面に海竜が現れた。体は青髪の甲殻に似たもので覆われており、手足はなく、顔はヘビのような鋭い目付き。口が大きく開いており、中には無数の鋭い歯が歯並びなど気にせずに生えている。俺がもし名前をつけるとしたらリヴァイアサンと付ける。それほどまでの威圧感。
 青髪は海竜に俺の殺害を要求した。
 海竜の答えはNOだった。
 
 
 俺は思わず叫んでしまった。思い出すのはあの時の退屈な時間。海に一人ぼっちで浮かんで過ごすあの時間。動くに動けず、隠れてなければなからなかったあの時間。そう、ブリクスト大皇国の襲来である。そして今回俺が叫んだ理由も同じだ。
 「マスター、どうしたんですか? そんな品のない声をあげて。」
 「また来たんだよ。アイツらが。」
 「あー、、、なるほど。それは叫びたくもなりますね。」
 ディアンヌにはアイツらって言っただけで通じた。それほどまでに俺らにとってはうざったるい存在だったわけだ。
 ということで島民全員にこのことを伝えた。ドワーフ族はここに逃げてきたのにまだアイツらと関わらなきゃならないのかという面倒くさそうな顔をしていた。一方、リーフィアは腕をブンブン回して「やってやるわよ!!」と言っていた。めんどくさいことになるからやめて欲しい。
 しかし、ルージュの反応はそれらと違った。
 「ふっふっふー! ご主人様! 実は私! この日のために計画を練ってきたんです!! さぁ! これをどうぞ!」
 そう言ってルージュは俺に何枚かの紙を渡した。流石、運命神。未来はそれなりに分かるようだ。詳しくは分からないので確実になるまで報告しなかったらしいが。それをディアンヌとリーフィアと一緒に読んでみるとなかなかいい案のように思えた。
 「なかなかいいじゃん!」
 「当たり前です! 私はこの日のために色々考えてきましたから! あ、あとそれ読んでもらったら分かると思うんですが、海竜の巫女はどーでも良いんですが黒の勇者は殺さない方が吉です。」
 黒の勇者とは黒髪黒目の転生者のことらしい。この世界に来た時に全身真っ黒コーデをしていたためこのような名前になった。転生者らしくチート級のスキルを持っている。
 海竜の巫女は先祖が海竜を助け、そのおかげで予言というスキルを代々受け継いでいる一族のことである。ブリクストのお偉いさんらしい。
 黒の勇者を殺しては行けない理由。それは世界を敵に回すからである。
 確かに敵国にとってみれば黒の勇者は厄介極まりない存在ではある。しかし、現在は悪しきもの(ここでは悪魔族の王であるため魔王と呼ばせてもらう)との争いが激化しているそうで転生者である黒の勇者の力が不可欠らしい。
 なのでそんな黒の勇者を殺してしまうと魔王側の陣営と判断されてしまうらしい。
 俺はルージュの持ってきた作戦を実行するためにまずは奇術の世界を発動する。発動範囲は俺を中心として半径5kmの円。そこには入っただけで1秒を1分として感じてしまい、体な動きもそれと同じになってしまう幻覚をかかるようにする。つまり、超スローでしか動けない。消費MPは1分で1000MP。俺も上限がかなり増えたため今は余裕をもって4時間は発動し続けることが出来る。
 この中に入り、幻覚を受けてしまうと俺に対する勝ち目はなくなる。なぜなら俺は幻覚で見せたダメージを相手に受けさせることが出来る。つまり相手の首を切る幻覚を見せたら、俺はいつでもそいつの首を切り飛ばすことが出来るのだ。それが奇術の世界。幻覚が現実のものになってしまうスキルなのだ。しかし、それにはかなりのMPを使ってしまうので出来るだけ避けたい。
 次に俺は島全体に隠滅をかける。これで気配などは完全に隠すことが出来る。
 そこまで終えると俺は自分にも隠滅をかけ、漂流してブリクスト大皇国の船に乗り込んだ。当然気づく者はおらず、侵入に成功した。隠滅、暗殺術、忍術の三段重ねで侵入できない所などないと思う。
 しばらくすると勇者が斬撃をそこらじゅうにバラマキ始めた。監視カメラで確認すると島に命中しそうな斬撃はリーフィアが全て片手で処理していた。めんどくさかったみたいでディアンヌやルージュに手伝いを求めていたが隠滅がかかっているので聞こえるわけがない。意外と可愛いとこがあるんだな。あとでからかってやろう。
 おっ、遂に青髪が島の周りの斬撃が消えていることに気づいたようだ。氷塊をぶつけようとして確認をしている。氷塊が消えたことにより島がそこにあると判断し、ブリクストの大艦隊はその場所へと突き進んでいく。
 そろそろかな? 俺は幻覚で自分の体と島を作り上げる。島の幻覚を作り出したのはドワーフたちの存在を隠すため。俺が直接出ていかないのはめんどくさいからだ。幻覚なら戦闘になってもなんでも出来るし楽だ。
 勇者はいきなり現れた俺の幻影を切りつけてくるが避ける。余裕があるのをアピールするため「いきなり切りかかってくるなんて礼儀がなってないですね」とか言って煽っておく。
 勇者に何者か尋ねられたのでホントのことを言っておく。
 青髪が下につけだのなんだの言ってくるから丁重にお断りした。すると勇者が威嚇してきたのでそれに対し、より大きな威嚇で返す。ちなみにこの攻撃は幻覚ではなく本物だ。俺がドワーフ達に貰った武器で海を割ったのだ。
 それに怒った青髪が笛を吹き鳴らす。お世辞でも綺麗だとは思えない音。耳を塞ぎたくなるほどの音量、そして地響きのような音色に俺は思わず顔をしかめる。
 その笛を吹き出すと青髪の姿は変わった。人魚と言うにはあまりに不細工。もとの美少女だった顔はのっぺりとしたカエルのような顔になり、顎には大きなエラが刻まれていた。足は無くなり、人魚のようになっている。色は美しい。だが、如何せん雄々しすぎる。ゴツゴツとしていて鱗というよりは甲殻といったほうが正しいのかもしれない。しかし、青髪はそれを惚れ惚れとした目で見つめていた。
 そして、笛での演奏が終わると海面に海竜が現れた。体は青髪の甲殻に似たもので覆われており、手足はなく、顔はヘビのような鋭い目付き。口が大きく開いており、中には無数の鋭い歯が歯並びなど気にせずに生えている。俺がもし名前をつけるとしたらリヴァイアサンと付ける。それほどまでの威圧感。
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 海竜の答えはNOだった。
 
 
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